横断測量とは?やり方・手順から測量幅・横断図まで詳しく解説
この記事のポイント
横断測量とは道路や河川の中心線に直角な断面で地形の距離と地盤高を測り横断図を作る測量です。中心杭の確認から横断図作成まで手順を踏み、トータルステーションやドローン測量で効率化できます。
「横断測量とは何か、どうやって測ればよいのか分からない。できれば一人でも効率よく測りたい」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
本記事の内容
- 横断測量の役割と縦断測量との違い
- 中心杭を基準にした横断測量の手順
- 使用機器と最新技術による効率化
横断測量とは、道路や河川の中心線に直角な方向で地形の距離と地盤高を測り、横断図を作る測量です。
本記事を読めば、手順や機器、測量幅の目安からドローンやアプリを使った効率化まで理解できます。基本から順に見ていきましょう。
横断測量とは
そもそも測量とは何かを踏まえると、横断測量は、道路や河川の中心杭を基準に、中心線の接線に対して直角方向の地形の変化点や地物について、中心点からの距離と地盤高を測定する作業だとわかります。一言でいえば、路線を横切る断面の形を数値で捉えるための測量といえます。
観測にはトータルステーション(光波測距儀)やレベルとポケットコンパスを用い、中心杭の左右に横断方向見通杭を設置してから測ります。得られたデータは横断面図にまとめられ、設計や土量計算の基礎資料になります。
横断測量の役割
横断測量の役割は、中心線上の各測点における地盤の断面形状を明らかにし、設計と施工の精度を支えることにあります。縦断測量が路線に沿った高さの変化を示すのに対し、横断測量は各地点で路線を直角に切った断面の凹凸を捉えます。
これにより盛土や切土の範囲が決まり、断面ごとの面積から掘削や盛土の土量を算出できます。土量が正確に求まれば、工事費の積算や残土処分の計画が現実的な数値に近づきます。
河川では地盤の変化や河床の変動による断面の変化を把握し、改修や維持管理の判断材料にもなります。
こうした断面把握の役割は、着工前に現況地形を捉える起工測量の手順とも重なる部分があります。
縦断測量との違い
縦断測量と横断測量は、どちらも路線測量の一部ですが、測る方向と成果物が異なります。両者の違いを次の表に整理します。
| 項目 | 縦断測量 | 横断測量 |
|---|---|---|
| 測る方向 | 中心線に沿った方向 | 中心線に直角な方向 |
| 測る対象 | 中心杭高や中心線上の地盤高 | 中心点からの距離と地盤高 |
| 主な成果物 | 縦断面図 | 横断面図 |
| 主な用途 | 路線の勾配や高低の把握 | 断面形状の把握と土量計算 |
縦断測量が路線全体の高さの流れを把握する縦のラインなら、横断測量は各地点での横のラインを描く作業と整理すると分かりやすいです。両者は別々に存在するのではなく、縦断面図と横断面図を組み合わせて初めて路線の三次元的な形が見えてきます。
路線測量や河川測量での位置づけ
横断測量は単独で行うのではなく、一連の測量工程の一部として位置づけられます。道路や鉄道の路線測量では、次のような順序で作業が進みます。
- 作業計画と線形決定
- 中心線測量
- 仮ベンチマーク(仮BM)設置測量
- 縦断測量
- 横断測量
- 詳細測量と用地幅杭設置測量
このように、横断測量は中心線測量と縦断測量を終えた後に実施される後半の工程です。中心線が現地に定まり、各測点の高さが縦断測量で確定して初めて、その測点を直角に切る断面を測れます。
河川測量でも考え方は同じで、距離標設置測量や水準基標測量、定期縦断測量を経て定期横断測量が行われ、河道の断面変化を継続的に記録します。いずれの分野でも、横断測量は設計図や土量計算へ橋渡しする重要な工程といえます。
横断測量の手順
横断測量は、道路や河川の中心線に対して直角方向の地形断面を求める作業です。中心杭を起点として、左右の地形変化点まで距離と地盤高を測ることで横断図が完成します。
手順は大きく4段階に分かれます。中心杭の確認から始まり、横断方向の設定、変化点の測定、図面化へと順番に進めれば、現場で迷うことなく断面データを取得できます。
基準となる中心杭を確認する
横断測量の出発点は、中心線測量で設置済みの中心杭です。各測点に打たれた中心杭が動いていないか、番号や位置に誤りがないかを最初に確認します。
基準が狂うと断面全体がずれるため、ここでの点検が精度を左右します。中心杭の地盤高は縦断測量で求めた値を引き継ぐので、最新の縦断成果と照合しておくと安心です。
横断方向を決める
次に、中心点における中心線の接線に対して直角方向の線を設定します。この線が横断測量の測線となり、左右へ伸ばして測定範囲を決めます。
方向の出し方には、トータルステーション(TS)の角度設定で直角を振る方法や、直角プリズム・ポールで簡易に出す方法があります。測量幅とは、この測線を中心から左右へどこまで取るかの範囲を指し、設計に必要な幅まで確保します。
地形の変化点を測定する
横断線上に出てきた地形や地物の変化点について、中心点からの距離と地盤高を順に測定します。測る対象は、傾きや構造物が切り替わる箇所で、代表的な測定点は次のとおりです。
- 法肩(のりかた)と法尻(のりじり)など、斜面の上端・下端
- 道路の端部や路肩、側溝・U字溝の縁
- 民地境界や擁壁などの構造物
- 水面や河床など、河川断面の変化点
地盤高は、レベルを用いた直接水準測量か、TSやRTK-GPSによる間接水準測量で求めますが、視準や器械据付のわずかなずれが測量誤差の種類につながるため注意が必要です。測定値はその場で野帳に記録し、左ページに数値、右ページに横断図の略図とコメントを書くと整理しやすくなります。
横断図を作成する
最後に、測量野帳の書き方に沿って記録した距離と地盤高をもとに横断図を作成します。中心点を基準に、左右の変化点を縮尺に合わせてプロットし、地盤線を結んで断面を描きます。
横の縮尺と縦の縮尺をそろえるか、目的に応じて縦を強調するかは設計条件に合わせて決めます。完成した横断図は切土・盛土の土量計算や丁張りの設定に使われ、出来形管理や積算の基礎資料にもなるため、測定段階での確認が重要です。
横断測量で使う主な機器
横断測量を正確に進めるには、目的に合った機器を組み合わせて使います。中心線に直交する方向の地形変化点について、水平距離と高低差を読み取るのが基本だからです。
具体的には角度と距離を測るトータルステーション、高さを測るレベル、距離を補助的に測る巻尺、そして読み取り点を示すスタッフが代表的な道具になります。役割ごとに使い分けることで、断面の形状を効率よく記録できます。
機器ごとの役割を整理すると、次の表のようになります。
| 機器 | 主な役割 | 測れるもの |
|---|---|---|
| トータルステーション | 角度と距離を同時計測 | 水平距離・高低差・角度 |
| レベル | 高さの基準測定 | 標高・比高 |
| 巻尺 | 距離の補助測定 | 水平距離 |
| スタッフ | 読み取り点の表示 | 高さの目盛 |
トータルステーションによる測定
トータルステーションは横断測量の中心となる機器です。角度と距離を同時に高い精度で測れるため、断面上の変化点を一度に押さえられます。
実際には中心杭に据え付けて望遠鏡を横断方向へ回し、各点に立てたプリズムを視準して水平距離と高低差を読み取ります。起伏の多い地形でも、放射状に各点を測ることで短時間に断面データを取得できる点が強みです。
レベルによる高さの測定
レベルは各測点の高さを精密に求めるために使います。望遠鏡を水平に保ち、スタッフの目盛を読み取って標高や比高を算出する仕組みです。
とくに昇降式や器高式と呼ばれる方法では、後視と前視の読みの差から地盤の高低を順に求めていきます。トータルステーションが使えない平坦地や、高さの精度を特に重視する場面で有効でしょう。
巻尺による距離の測定
巻尺は中心杭からの水平距離を補助的に測る道具です。スチール製やガラス繊維製があり、短い区間や障害物が少ない箇所では手早く距離を確認できます。
トータルステーションで測りにくい近接点を押さえたり、機器の測定値を現場で照合したりする用途にも向きます。簡便ですが、たるみや傾きで誤差が出やすいため、水平を保って張ることが大切です。
測量幅の標準的な目安
測量幅とは、中心線を基準に左右どこまで地形を測るかを示す範囲のことです。中心線の位置は測量座標系の種類に基づく座標で管理されており、道路の横断測量では全幅50メートル、すなわち中心線から左右へ25メートルずつを標準とする例が一般的とされています。
ただし計画する道路の規模や周辺の地形条件によって、必要な幅は変わります。設計に必要な範囲を確実に含めるため、発注図書や標準歩掛で定められた測量幅をあらかじめ確認しておくと安心です。
横断測量を効率化する最新技術
従来の横断測量は、トータルステーション操作者とピンポールを持つ作業員の2人体制が基本で、測点ごとに据え付けと観測を繰り返すため時間がかかりました。この負担を軽くするのが、ドローン、地上レーザースキャナ、スマホ測量アプリという3次元計測技術です。
いずれも面的に点群(地表を多数の3次元座標点で表したデータ)を取得し、そこから横断面図を切り出す発想で、国土交通省のi-Construction(ICTの全面活用による生産性向上の取り組み)を背景に普及が進んでいます。手作業の測量から面的データ取得へ移行することで、省力化と一人測量が現実になりました。
おおまかな特性を従来手法と比べると次のようになります。
| 手法 | 体制 | 取得データ | 主な適地 |
|---|---|---|---|
| 従来TS測量 | 2人以上 | 測点ごとの座標 | 狭小・少数測点 |
| ドローン写真測量 | 1〜2人 | 広域の3次元点群 | 広い造成・土工現場 |
| 地上レーザースキャナ | 1〜2人 | 高密度の3次元点群 | 法面・構造物まわり |
| スマホ測量アプリ | 1人 | 近距離の3次元点群 | 小規模・部分計測 |
ドローンによる3次元計測
ドローン(UAV)写真測量は、上空から撮影した多数の写真を解析ソフトで処理し、地表全体を3次元点群として復元する手法です。広い造成地や土工現場をまとめて計測できるため、横断面図は点群から任意の位置で切り出すだけで作成でき、現地での測点設置が大幅に減ります。
効率化の効果は大きく、トータルステーションで5日(約40時間)を要した作業が、UAV写真測量では1日程度に短縮された事例も報告されています。i-Constructionの起工測量や出来形管理でも標準的な選択肢となっており、得られた点群はそのまま3次元設計データとの比較に活用できます。
レーザースキャナの活用
地上レーザースキャナ(TLS)は、レーザー光を対象に照射し、その方向と距離から地形や構造物を高密度の3次元点群として取得する機器です。ドローンが苦手とする法面や構造物まわりも、機器を据えてスキャンするだけで短時間に面的な計測ができます。
横断測量では、取得した点群から断面位置を指定して形状を抽出できるため、測点を一つずつ観測する必要がありません。一方で起工測量のように整地前の現場では、機器を水平に据えて漏れなく点群を取得する据付の手間が残る点には注意が必要です。
スマホ測量アプリの登場
近年はLiDARセンサー(対象までの距離をレーザーで測る装置)を搭載したiPhone ProやiPad Proを使い、スマホ単体で3次元測量を行うアプリが登場しています。代表例がオプティムのOPTiM Geo Scanで、GNSS受信機の位置情報と組み合わせ、対象をスキャンするだけで一人での測量を可能にします。
同社の情報によると、従来の光波測量と比べて測量時間を最大60パーセント削減でき、ドローンやレーザースキャナと比べた機材費も抑えられるとされます。取得した点群や座標は図化アプリ上で平面・縦断線形や横断形状の作成に使えるため、小規模現場や部分的な横断測量を手軽に効率化できる手段として広がっています。
まとめ:横断測量とは中心線に直角な断面の距離と地盤高を測る測量
横断測量とは、道路や河川などの中心線に直角な方向で、地形の変化点までの距離と地盤高を測る作業です。本記事では、縦断測量との違いや手順、使用機器、測量幅の目安、ドローンやアプリによる効率化までを解説しました。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- 横断測量は中心線に直角な断面の距離と地盤高を測る
- 手順は中心杭の確認から横断図の作成まで進める
- ドローンやスマホ測量アプリで省力化できる
手順と機器の役割を押さえれば、横断測量を正確に進められ、横断図の作成や土量計算にも自信を持って取り組めます。
横断測量や測量のICT化についてお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。導入事例をまとめた資料もご用意しています。
横断測量に関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
Construction DX 編集部は、建設DX・建設テック・業界動向に関するニュースや解説記事を制作する編集チームです。最新の技術・市場・制度・導入事例をわかりやすく整理し、建設業界のDX推進に役立つ情報を中立的な視点で発信しています。
監修者
リサーチチーム
Construction DX リサーチチームは、建設DX市場や最新技術、法制度、国内外の事例を継続的に調査・分析する専門チームです。公開情報や一次情報をもとに内容を検証し、正確性・信頼性の高いコンテンツ制作を支援しています。
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