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施工計画書の安全管理計画の書き方|記載項目と記入例を解説

施工管理・現場DX

この記事のポイント

施工計画書の安全管理計画は安全衛生方針・組織図・工種別リスクアセスメント・日常安全活動計画が基本項目。リスクアセスメントは発生可能性と重篤度のマトリクスで評価し、具体的な低減措置を記入することが差し戻しを防ぐポイント。

施工計画書の安全管理計画の書き方|記載項目と記入例を解説

「施工計画書の安全管理の章に何を書けばいいかわからない。リスクアセスメントの記入欄を具体的にどう埋めるのかイメージがつかめない」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

本記事の内容

  • 施工計画書の安全管理計画・工事安全衛生計画書・安全衛生計画書の違いと位置づけ
  • 安全管理計画に記載すべき項目とリスクアセスメントの具体的な記入方法
  • 形骸化を防ぐ現場運用のコツとDXツールによる書類効率化の手順

施工計画書の安全管理計画は、工事における危険性を事前に洗い出し、低減措置と実施体制を文書化するものです。国土交通省の土木工事共通仕様書が記載事項の基本ベースとなりますが、記入の具体性が問われるのはリスクアセスメントと組織図です。

本記事では記載項目の一覧から記入例・発注機関ごとの対応まで体系的に解説します。最後まで読んで、差し戻しのない安全管理計画を作成してください。

施工計画書における安全管理計画の基本

施工計画書の安全管理計画は、工事期間を通じて発生しうる労働災害や第三者被害を防止するための方針・体制・具体的な実施事項を文書化したものです。近年、現場の利便性を高めるために図面アプリを採用する企業が増えていますが、これと同時に安全管理体制を適切に構築し、書類としてまとめることも重要です。施工計画書全体の一章として位置づけられる場合と、「工事安全衛生計画書」として単独の書類として提出する場合の両方があります。

施工計画書と安全管理計画の関係を整理する

混乱しやすい書類の関係を次の表で整理します。安全管理は、工事の基本となる施工計画書と密接に関連しているため、その全体像を理解した上で作成することが求められます。

書類名位置づけ主な内容
施工計画書工事全体の計画書(総合書類)施工方法・工程・品質管理・安全管理・環境管理など全般
施工計画書の安全管理の章施工計画書内の一章安全衛生方針・組織体制・工種別安全計画・リスクアセスメント等
工事安全衛生計画書安全管理に特化した単独書類施工計画書の安全管理章を単独書類として独立させたもの
安全衛生計画書労働安全衛生法に基づく計画書事業者(会社全体)の年度ごとの安全衛生活動計画

施工計画書の「安全管理」の章と「工事安全衛生計画書」は実質的に同じ内容を扱いますが、発注機関の様式指定によってどちらの形式で提出するかが決まります。「安全衛生計画書」は事業者全体の年度計画であり、工事単位の施工計画書とは性格が異なります。

安全管理計画の記載根拠となる法令と仕様書

施工計画書に安全管理計画を記載する義務の根拠は、以下の法令・基準に由来します。(施工計画書とは何か

  1. 労働安全衛生法第28条の2:危険性・有害性等の調査(リスクアセスメント)の実施義務
  2. 建設業法第26条:主任技術者・監理技術者の配置と施工管理義務
  3. 国土交通省「土木工事共通仕様書」第1編:安全管理計画の記載事項を規定
  4. 発注機関の特記仕様書:工事固有の安全対策・制限事項を指定

リスクアセスメントは全事業者に努力義務(一部業種は義務)が課されており、施工計画書の安全管理計画に「どのような危険があり・どのように低減するか」を具体的に記載することがその証拠になります。

元請と下請それぞれの作成責任

安全管理計画の作成責任は元請と下請で分担されます。(施工計画書の提出義務

  • 元請の責任:工事全体の安全管理計画を作成し、発注者(監督職員)に提出する。すべての下請工種を網羅した総合的な安全計画を策定する。
  • 一次下請の責任:担当工種の安全管理計画を作成し、元請に提出する。元請の安全管理計画に組み込まれたうえで発注者に提出される。
  • 二次・三次下請の責任:元請・一次下請の指揮下で安全活動を実施し、安全書類(作業員名簿・特別教育記録等)を元請に提出する。

下請会社が独自に発注者に安全管理計画を提出することは例外的です。ただし、元請からの依頼に基づき「安全施工計画書(工種別)」などを作成・提出することは実務上よくあります。

施工計画書の安全管理に記載する項目

国土交通省「土木工事共通仕様書」が求める安全管理計画の記載事項は、工事規模・工種・発注機関によって異なりますが、共通して記載が求められる項目は体系的に整理できます。安全管理は、設計ミスによる事故を防ぐための図面管理と同様、施工全体のクオリティを支える重要なプロセスです。

安全衛生方針と安全衛生目標を設定する

安全管理計画の冒頭に記載する「安全衛生方針」は、工事を通じた安全への基本姿勢を表明するものです。単なるスローガンではなく、この工事で特に重視する安全上の取り組みを具体的に記します。(施工計画書テンプレート

安全衛生目標の設定例は次のとおりです。

  • 休業4日以上の労働災害:ゼロ件
  • ヒヤリハット報告件数:月5件以上(隠ぺいしない組織風土の醸成)
  • 安全パトロール実施回数:週2回以上
  • 特別教育・技能講習の受講率:対象作業員100%

目標は「達成できる現実的な数値」を設定し、工事完了時に達成状況を評価できる形にしてください。

工種別の安全管理スケジュールを組む

施工計画書の安全管理計画には、工程表と連動した工種別の安全管理スケジュールを記載します。「この工程では・このタイミングで・この安全対策を実施する」という対応関係を明示することが重要です。これは、契約上定められた施工計画書の提出義務を果たすためだけでなく、現場でのヒューマンエラーを防ぐ具体的なロードマップになります。(施工計画書の作り方

工種リスクの高い作業実施する安全措置
掘削工土砂崩壊・転落法面保護・立入禁止区画・バリケード設置
型枠工・コンクリート打設型枠崩壊・感電支保工の計算書確認・仮設電気点検
高所作業墜落・飛来物安全帯着用・足場設置・ネット養生
クレーン作業転倒・吊り荷落下アウトリガー設置確認・玉掛資格確認

各工種着手前のKY(危険予知)活動の実施タイミング・TBM(ツールボックスミーティング)の頻度も記載します。

リスクアセスメントで危険性を特定して低減措置を検討する

リスクアセスメントは、工種ごとの危険性・有害性を事前に特定し、リスクの大きさを評価したうえで低減措置を決定するプロセスです。労働安全衛生法の改正により、建設業を含む全業種でリスクアセスメントの実施が義務・努力義務化されています。(施工要領書と施工計画書の違い

施工計画書に記載するリスクアセスメントの基本的な書式は次のとおりです。

  1. 危険性・有害性の洗い出し:工種ごとに「転落・挟まれ・感電・有害物質」などのリスク源を列挙する
  2. リスクの見積もり:「発生可能性(大・中・小)」×「重篤度(死亡・休業・軽傷)」でリスクレベルを評価する
  3. 低減措置の決定:「除去→代替→工学的対策→管理的対策→保護具」の優先順位で対策を検討する
  4. 残留リスクの確認:措置後も残るリスクについて周知・教育を計画する

リスクアセスメントの様式は発注機関から指定される場合があります。指定がない場合は、厚生労働省が公開する「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」に準じた様式を使うことを推奨します。

日常の安全衛生活動と資機材・保護具を管理する

施工計画書の安全管理計画には、工事期間を通じた日常の安全衛生活動も記載します。(施工要領書とは何か

記載すべき日常活動の例は次のとおりです。

  • 朝礼・KY活動:実施頻度・参加者・記録方法(また、これらは建設業の日報にも記録され、現場全体の日常的な安全活動の実施証明となります)
  • 安全パトロール:実施者・頻度・指摘事項の是正確認フロー
  • 作業員安全教育:雇入れ時・作業変更時の教育内容と記録(現場で用いる工事写真の黒板の書き方に関する安全上のルールや、特別教育の受講状況を含みます)
  • 健康管理:熱中症対策(水分補給・休憩時間の確保)・定期健康診断の実施状況

使用する保護具・安全資機材の管理計画も記載します。安全帯(墜落制止用器具)・ヘルメット・安全靴は日常点検の対象であり、点検記録の保管方法も明記してください。

施工計画書の安全管理計画の書き方と記入例

施工計画書の安全管理計画は「様式を埋める」だけでは発注機関から差し戻しを受けます。現場の実態に即した具体的な内容を、発注機関の要求様式に沿って記述することが求められます。

①:安全管理組織図と責任体制を記載する

安全管理組織図は、工事に関わる全員の安全に関する役割と責任を図示したものです。施工計画書の安全管理章の冒頭に配置するのが一般的です。(施工要領書のひな形

記載が必要な主な役割は次のとおりです。

  • 現場代理人(安全管理の最高責任者)
  • 主任技術者または監理技術者
  • 安全衛生推進者(常時10人未満の場合)または安全管理者(50人以上の場合)
  • 衛生管理者・産業医(規模に応じて)
  • 協力会社(下請)の安全担当者

組織図には氏名・所属・有資格情報(資格名・取得年月)を記入します。法令上必要な資格者が配置されているかを組織図で確認できる状態にすることが重要です。

記入例:

現場代理人:山田太郎(元請○○建設株式会社)
  ├ 主任技術者:鈴木一郎(1級土木施工管理技士)
  ├ 安全衛生推進者:田中花子
  └ 協力会社安全担当:佐藤二郎(A工業株式会社)

②:リスクアセスメント欄を具体的に記入する

リスクアセスメントの記入欄は、抽象的な表現では発注機関から「具体性が不足している」と指摘されます。工種・作業・場所・時期に応じた具体的なリスクとその低減措置を記入してください。(工事写真に黒板を後付けできるアプリ

記入のNGパターンと改善例は次のとおりです。

NG(抽象的)OK(具体的)
高所作業で転落するリスクがあるH=2m以上の型枠作業で安全帯なし作業による墜落リスクあり
対策として安全対策を実施するフルハーネス型安全帯着用・親綱設置・着用確認をKYシートで記録
重機使用時に注意するバックホウ作業半径内に作業員立入禁止・誘導員1名を専任配置

リスクの見積もりには「可能性(発生しやすさ)」×「重篤度(被害の大きさ)」のマトリクス評価を使います。評価が高い(リスクレベル大)項目から優先的に低減措置を記入してください。

③:発注機関の様式・共通仕様書に対応する

発注機関(国・県・市区町村・NEXCO等)によって求める様式・記載項目・提出方法が異なります。発注機関の指定様式がある場合は、必ずその様式を使用してください。また、改訂情報を現場全体へ共有するために図面管理システムなどを導入し、安全管理計画書と最新設計図のすり合わせが常に行えるようにすることも大切です。(土木における工事写真の撮り方

発注機関別の対応ポイントは次のとおりです。

  1. 国土交通省(直轄工事):土木工事共通仕様書の規定に基づき、安全管理計画を施工計画書の一章として提出。監督職員の確認印が必要。
  2. 都道府県・市区町村:各地方自治体の土木工事共通仕様書または特記仕様書に従う。様式が統一されていない自治体も多く、元請が独自に様式を作成する場合もある。
  3. NEXCO・鉄道建設・独立行政法人:各機関が独自の安全管理様式を定めていることが多く、事前確認が必須。

様式が指定されていない場合は、国土交通省「土木工事共通仕様書」の記載事項を参考に、「安全衛生方針・組織表・工種別リスクアセスメント・日常安全活動計画」の4章立てで作成するのが実務上の標準的な構成です。

実効性のある施工計画書の安全管理計画にするポイント

安全管理計画は作成して提出すれば終わりではありません。現場での形骸化を防ぎ、実際の事故防止に機能させるための運用の工夫が求められます。

形骸化を防ぐ現場運用のコツ

施工計画書の安全管理計画が現場で活用されず「提出用の書類」になってしまう原因は、計画の内容が現場作業員に伝わっていないことです。たとえば、現場で工事写真台帳アプリの無料版を用いて安全標識を記録するようになっても、その目的を作業員に周知しなければ効果は薄れてしまいます。(建設業の日報

形骸化を防ぐための具体的な取り組みは次のとおりです。

  • 朝礼での読み合わせ:施工計画書の安全管理計画の中からその日の作業に関わるリスクと対策を朝礼で読み上げ、全員で確認する
  • KYシートへの反映:前日の段階でKY(危険予知)シートに施工計画書のリスクアセスメント結果を転記し、翌朝のKY活動の出発点にする
  • 掲示板への掲出:現場事務所と現場ゲートの掲示板に「この工事の重点安全対策」を要約して貼り出す
  • 安全パトロール記録との照合:パトロールで指摘した不安全事象を施工計画書の対応項目と紐付け、計画の実効性を検証する

安全管理計画を「生きた書類」として使うには、月次の安全会議でその月の実績と次月の計画を照合する習慣が有効です。

DXツールで安全書類を効率化する

安全書類の作成・管理・共有をデジタル化することで、書類作成の工数を削減しながら品質を均一に保てます。また、現場での写真撮影や指示共有をスムーズにする電子黒板のメリットと組み合わせることで、安全活動の見える化も同時に図れます。

安全書類のDXで効果が出やすい領域は次のとおりです。

業務従来の方法DXツールによる改善
安全書類の作成毎回ゼロから手書き・Excel作成テンプレートから自動生成・前回データの流用が可能
作業員名簿の管理紙での手書き・更新が滞りがちアプリで一元管理・変更をリアルタイム反映
日次KYシートの提出紙を事務所に持参・保管スマホから提出・クラウドで自動保管
安全パトロール記録手書きメモ→PC入力の二重作業現場でタブレット入力→即時共有

建設業向けの施工管理アプリ(グリーンサイト・ANDPAD・kintone等)では、安全書類のデジタル化機能が充実しており、作業員の資格情報管理から安全書類の電子提出まで一元管理できます。

定期的な見直しと更新サイクルを設ける

施工計画書の安全管理計画は、工事開始時に一度作成して終わりではありません。工事の進捗・季節変動・新たな作業員の入場・工法変更に応じて定期的に見直す必要があります。これには、現場で工事黒板アプリをアンドロイド無料で試行導入するなど、安全対策の実施フローが変わる場合も含まれます。

見直しのトリガーとなる主な事象は次のとおりです。

  1. 工程変更や施工方法の変更が生じたとき
  2. 新規入場者(特に資格保有状況・経験年数の確認が必要な作業員)が加わったとき
  3. 労働災害・ヒヤリハットが発生したとき(再発防止措置を計画に反映)
  4. 季節の変わり目(夏季は熱中症・冬季は凍結・悪天候への対応追加)

見直しの記録は「改訂履歴」として施工計画書の冒頭ページに記載し、「第何版・改訂日・改訂内容」を明記してください。改訂版は監督職員に速やかに提出して確認を受けることで、最新版が常に発注者と共有された状態を維持できます。

まとめ:施工計画書の安全管理計画は現場の事故防止を支える核心書類

施工計画書の安全管理計画は、提出義務を満たすための形式的な書類ではなく、工事の労働災害を防止するための核心的な計画書です。リスクアセスメントを具体的に記載し、現場での日常安全活動と連動させることで、はじめて実効性のある管理計画になります。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 安全管理計画は施工計画書の一章として、または工事安全衛生計画書として発注機関の様式に従い着工前に提出する
  • リスクアセスメントは「危険性の特定→リスク見積もり→低減措置」の順に工種別・作業別に具体的に記入する
  • 形骸化を防ぐには朝礼・KY活動での計画内容の周知と、月次見直しによる計画の更新が不可欠

施工計画書の安全管理書類をデジタル化することで、毎回の作成工数を削減しながら品質を均一に保てます。安全書類のDX化についてご検討の場合は、お気軽にご相談ください。

施工計画書安全管理に関するよくある質問

参考文献

  1. 国土交通省「技術調査:土木工事共通仕様書関係」
  2. 厚生労働省「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」

執筆者

Construction DX 編集部
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