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施工計画書の作り方|記載項目・テンプレート・提出手順を解説

施工管理・現場DX

この記事のポイント

施工計画書は工事着手前に提出が義務付けられた計画の根幹書類です。発注者要求の確認・現場調査・様式入手・事前協議の4ステップで準備し、工程・品質・安全・施工方法・仮設・環境対策の6本柱で各項目を記載します。国土交通省の無料テンプレートや施工管理アプリを活用すると作成効率が高まります。

施工計画書の作り方|記載項目・テンプレート・提出手順を解説

施工計画書を初めて作成する、あるいは久しぶりに担当することになったとき、「何から手をつければいいのか」「どこまで書けばよいのか」と迷う方は少なくありません。工程表・安全管理計画・使用機械の選定など、盛り込むべき内容は多岐にわたります。

締め切りが迫る中で必要な項目を漏らさずまとめるのは、経験者でも時間がかかる作業です。とくに公共工事では提出書類として審査されることもあるため、内容の精度と体裁の両方を意識しなければなりません。

民間工事においても、施工計画書は発注者・元請・協力業者の三者が同じ認識で動くための基準書として機能します。作り込みが甘いまま着工すると、後工程での手戻りや安全事故のリスクが高まります。

施工計画書の品質は、現場全体の生産性にも直結します。どこで何をするかが明確になっていれば、担当者間の認識齟齬を減らし、工期内完成の確率を高めることができます。

また、近年は建設業における働き方改革の推進や週休二日制の普及に伴い、施工計画の精度向上が一層重視されるようになっています。限られた作業日数の中で品質を確保するためにも、計画書の段階で工程や資源配分を綿密に検討することが求められます。

この記事では以下のことを解説します。

本記事の内容

  • 施工計画書の作成準備と全体の流れ
  • 共通記載項目と各項目の書き方のポイント
  • 工種別計画書の特徴と注意点
  • 効率化テンプレートとツールの選び方
  • 無料テンプレート入手先と管理アプリ活用

本記事では「まず提出できる水準に仕上げ、現場の進捗に合わせてアップデートする」という現実的なアプローチで解説します。ステップごとに順を追って説明しますので、ぜひ最後まで読み進めてください。

施工計画書の作り方:着手前に押さえる準備と全体の流れ

図面アプリと同様に、施工計画書の作成は、着手前の準備が品質を左右します。国土交通省の共通仕様書では「工事着手前に施工計画書を監督職員に提出しなければならない」と規定されており、提出期限は工事請負契約書に明記されるのが一般的です。

①発注者要求の確認 → ②現場調査 → ③様式入手 → ④事前協議、という4ステップを順番に踏むことで、手戻りのない計画書を作ることができます。

①:工事概要と発注者の要求事項を確認する

最初に行うのは、設計図書・仕様書・契約書を読み込んで工事概要を正確に把握することです。図面には意匠図・構造図・設備図などが含まれ、それぞれが施工手順に直結する情報を持っています。

確認すべき主な事項は次のとおりです。

  • 工事名・工事場所・工期(着工日・竣工日)
  • 発注者が要求する品質水準・使用材料・性能仕様
  • 契約書や事前打合せで示された特記事項・制約条件
  • 官公庁工事の場合は適用する公共建築工事標準仕様書のバージョン

発注者の要求を正確に把握しないまま計画書を書き始めると、後から全面修正が必要になります。疑問点があれば着手前に発注者へ確認を取るのが鉄則です。

②:現場状況と施工条件を調査する

工事概要を把握したら、現場に足を運んで実態を確認します。設計図書の情報と現地の状況が異なるケースは珍しくなく、現場調査で得た情報が施工手順の根拠になります。

現地で確認すべき主な項目を下表に示します。

調査カテゴリ確認内容
地形・地盤傾斜・軟弱地盤・地下水位
周辺環境隣接建物・道路幅・架空線の有無
搬出入条件資機材の搬入経路・仮設ヤードの確保可否
既存設備埋設管・既存構造物の位置と状態
規制事項騒音・振動・交通規制・近隣への影響範囲

調査結果は写真と記録票で残しておき、施工計画書とは何かを具体化する「現場条件」欄に反映させます。

③:施工計画書の様式・ひな形を入手する

調査が終わったら、記述に使う様式を確定させます。発注者がひな形を指定している場合はそれを最優先で使用し、指定がない場合は以下の入手先から適切なものを選びます。

  • 国土交通省・各地方整備局の公式サイト(関東地方整備局「施工計画書記載項目等参考例」など)
  • 日本建設業連合会(日建連)関西支部が公開している「施工計画書ひな形集(改訂版)」
  • 都道府県の土木工事書類作成マニュアル(近畿地方整備局版・広島県版など)

官公庁発注の土木工事では、総合施工計画書と工種別施工計画書の2段構えが標準的です。施工計画書の安全管理とも連動する工種別は、掘削工・コンクリート工・仮設工など工種ごとに個別作成が求められるため、様式の種類と部数をあらかじめ整理しておきます。

④:関係者と内容を事前協議する

様式が決まったら、計画書の骨子を固める前に関係者と協議します。施工計画書は提出後に監督職員が内容を確認するため、事前にすり合わせを行うことで差し戻しのリスクを大幅に下げられます。

協議すべき主な相手と論点は以下のとおりです。

  • 発注者・監督職員:施工方法の妥当性、品質管理基準の適用範囲
  • 専門工事業者(下請):工程・役割分担・安全管理の担当者
  • 近隣住民・行政窓口:騒音・振動・交通規制の実施時期と手続き

施工計画書の提出義務を果たすためにも、協議の内容は議事録に残し、施工計画書に反映した事項と未決事項を区別して管理します。未決事項を残したまま提出すると、着工後に手順変更が生じて二度手間になります。

施工計画書の記載項目と作り方のコツ

施工計画書の骨格を構成するのは、工程・品質・安全・施工方法・仮設・環境対策・緊急時対応の7領域です。各項目の「何を・どう書くか」を押さえることが、発注者に一発で承認される計画書を作る近道になります。

工程・品質・安全の各管理計画の書き方

工程計画は、バーチャートまたはネットワーク工程表で各工種の着手日と完了日を可視化します。降雨・降雪など気象の影響を受けやすい工種は、過去の気象データをもとに予備日を設けることが審査で好印象を与えます。

品質管理計画には、管理項目・測定方法・測定頻度・規格値(社内管理値)を一覧表で整理します。表の構成例は次のとおりです。

管理項目測定方法測定頻度規格値
コンクリート強度圧縮強度試験打設ロットごと設計基準強度以上
型枠精度鋼製巻尺組立完了時±3mm以内

安全管理計画は、安全施工サイクル(朝礼・KY活動・安全巡視)の実施スケジュールを示したうえで、高所作業や重機作業など特定リスクへの対策を工種別に記載します。施工計画書テンプレートを基準に、有資格者の配置一覧と担当職務も必ず明記します。

施工方法・使用機械・仮設計画の書き方

施工方法は「誰が・いつ・どこで・何を・なぜ・どのように」の5W1Hを軸に書くと、監督職員が施工手順を具体的にイメージできます。施工要領書と施工計画書の違いを考慮しつつ、主要工種ごとに作業フローを箇条書きで示し、図解やスケッチを添えると審査通過率が上がります。

使用機械は、機種・形式・規格・台数・使用工種をまとめた一覧表で記載します。低騒音型・排出ガス規制適合型などの指定がある場合は、仕様書の要件を満たすモデルであることを明示します。

機種形式・規格台数使用工種
バックホウ0.45m³ 低騒音型1台床掘工
クレーン25t ラフタークレーン1台橋桁架設工

仮設計画では、足場・支保工・仮囲い・仮設ヤードの配置を平面図で示します。資機材の搬入経路と仮置き場の位置も記載し、近隣への動線干渉がないことを確認できるようにします。

環境対策と緊急時対応計画の書き方

環境対策は、騒音・振動・粉じん・水質汚濁・廃棄物の5項目を網羅します。工事現場の近隣環境(住宅地・病院・学校など)に応じて対策の優先度を変え、具体的な機器名や工法名を明記します。

主な記載例は以下のとおりです。

  • 騒音:低騒音型建設機械の使用、防音シートの設置箇所と仕様
  • 振動:振動規制法の基準値と計測頻度
  • 廃棄物:建設副産物の種別・処理方法・処分業者名(許可番号を含む)

施工要領書とは何かと整合させながら、緊急時対応計画は、「どのような事態が起きたときに・誰が・何をするか」を連絡体制図と手順フローで示します。現場代理人・監督職員・発注者・警察・消防への連絡ルートを明確化し、夜間・休日の連絡先も一覧に含めます。

事態一次対応者連絡先連絡手段
負傷・災害現場代理人消防・救急、発注者電話
地盤崩壊安全担当監督職員、近隣電話・対面
資機材損傷現場代理人発注者電話・書面

差し戻しを防ぐチェックポイント

差し戻しの主な原因は、記載項目の抜け漏れ・数値根拠の不明確さ・発注者指定様式との不一致の3点です。施工要領書のひな形での基準なども参考に、提出前に以下の観点で自己チェックすることで、手戻りを大幅に減らせます。

  • 契約書・仕様書で要求された全項目が記載されているか
  • 品質管理計画の規格値が設計図書の数値と一致しているか
  • 使用機械の仕様が発注者指定の要件(低騒音型など)を満たしているか
  • 工程表の着工日・竣工日が契約工期と合っているか
  • 緊急連絡先に夜間・休日対応の担当者名と電話番号が入っているか
  • 環境対策が近隣の用途地域・規制区域の条件と整合しているか

工種別施工計画書は、各工種の着工前に個別提出することが義務付けられている場合があります。総合施工計画書の提出スケジュールとは別に、工種別の提出期限を一覧で管理しておくことが承認フローを円滑に進める実践的なコツです。

工種別の施工計画書の作り方

施工計画書は「総合施工計画書」と「工種別施工計画書」の2層構造で運用するのが基本です。工種によって使用する機材、品質管理の基準、安全上のリスクが異なるため、工種ごとに個別の計画書を作成することで、現場の実態に即した管理が可能になります。

土木工事の施工計画書テンプレートと記載のポイント

土木工事の施工計画書は、国土交通省や各地方整備局が公表する「土木工事書類作成マニュアル」の様式に準拠して作成します。共通仕様書では工事着手前の提出が義務付けられており、発注者が承認するまで施工を開始できない点に注意が必要です。

記載が求められる主な項目は次の通りです。

項目記載内容の例
工事概要工事名・場所・工期・請負金額
施工方法工種ごとの手順・使用機械・作業フロー
品質管理計画管理項目・測定頻度・検査方法
出来形管理計画測定箇所・頻度・不可視部分の管理方法
安全管理計画危険箇所の特定・対策・緊急連絡体制
環境保全計画騒音・振動・濁水対策
交通管理計画規制方法・迂回路・警備員配置

土木工事で特に重視されるのは「不可視部分の出来形管理」です。工事写真に黒板を後付けできるアプリなどは使わずに、埋め戻し後に確認できない部分は、施工中に写真撮影・測定記録を残す計画を計画書に明記しておきます。

仮設備の構造計算や資材の搬入・搬出経路も記載対象です。近接する道路や河川への影響を事前に整理した上で計画書に反映させます。

建築工事の施工計画書テンプレートと記載のポイント

建築工事の施工計画書は、発注機関によって「建築工事編」専用の手引きが整備されています。長崎県や小牧市など多くの自治体が独自の様式を公開しており、それらを参考にしながら工事の規模・内容に合わせて作成します。

土木における工事写真の撮り方のような基準とは異なり、建築工事では、仕上げ品質・室内環境・近隣対応など、居住者や利用者の視点が加わる点が土木工事との大きな違いです。以下の項目が特徴的な記載事項となります。

項目記載内容の例
工事組織・体制現場代理人・専門工事業者の分担
工程計画バーチャート・ネットワーク工程表
品質管理計画各工種の試験・検査・社内検査項目
安全衛生管理計画高所作業・重機作業の対策
建設副産物対策廃棄物の分別・処理・建設リサイクル法対応
周辺環境対策騒音・粉塵・振動・日照影響への配慮
写真管理計画撮影タイミング・保管方法

作成時は「5W1H(誰が・いつ・どこで・何を・なぜ・どのように)」を意識して各項目を記述します。施工計画書は提出のための形式的な書類ではなく、現場の品質・原価・工程・安全をコントロールする「現場運営のシナリオ」として機能させることが重要です。

工種別施工計画書(工種別の分冊)の作り方

工種別施工計画書は、総合施工計画書とは別冊で作成するのが原則です。小規模工事で工種が少ない場合は、総合施工計画書に組み込む形でも構いません。

作成対象は全工種ではなく、品質・安全に大きな影響を与える主要工種に絞るのが現実的です。

分冊の対象となりやすい主な工種は次の通りです。

  • 土工事(掘削・盛土・締固め)
  • 鉄筋工事(組立・継手・かぶり確保)
  • コンクリート工事(配合・打設・養生)
  • 鉄骨工事(建方・溶接・ボルト締め)
  • 仮設工事(足場・型枠・仮囲い)
  • 防水工事・仕上げ工事

建設業の日報などと連携できるよう、各工種別施工計画書の構成は、総合施工計画書と同じ大項目を踏襲しつつ、その工種固有の施工手順・品質管理基準・安全対策に絞り込んで記載します。当該工事に直接関係しない項目は省略し、実態に即したコンパクトな内容にまとめることがポイントです。

作成の流れは、まず総合施工計画書で全体の方針を確定させてから、工種ごとに分冊を追加していく順序が基本です。分冊は工事着手前に提出が必要なケースが多いため、工程表と照合しながら提出タイミングを計画書作成の初期段階で決めておきます。

施工計画書の作成を効率化するツールとテンプレート

施工計画書の作成は、ゼロから書き起こすよりも既存のテンプレートや専用ツールを活用するほうが品質のばらつきを抑えられます。無料で入手できる公的テンプレートと、デジタルツールを使った作成方法を順に解説します。

無料テンプレート(国土交通省・エクセル)の入手先と使い方

国土交通省や各地方整備局は、施工計画書の参考様式を公式サイトで無料公開しています。主な入手先は以下のとおりです。

  • 国土交通省官庁営繕部:「総合施工計画書(記載例)」をWord形式で公開
  • 関東地方整備局:土木工事向けの様式集をPDF・Word形式で提供
  • 各都道府県(岐阜県・長野県など):エクセル形式の様式集を公開

様式のダウンロード後は、まず発注者から「使用すべき様式」の指定があるかを確認してください。指定がない場合は国交省の記載例を土台にして、現場の条件に合わせて項目を追加・削除するのが最短の進め方です。

施工管理アプリで施工計画書を作成する方法

施工管理アプリを使うと、現場情報を入力するだけで書類の各項目へ自動反映できます。主なアプリの特徴を比較すると次のとおりです。

アプリ名主な特徴施工計画書への活用
ANDPAD工程表・安全書類を一元管理スマホ更新分が書類に自動反映
PhotoructionAI「KENGI」搭載図面・仕様書から項目を自動生成

どちらのアプリも2026年時点で建設業向けに広く普及しており、導入企業の現場では書類作成時間の削減効果が報告されています。アプリ導入時は、発注者への提出形式(紙・PDF)に合わせた出力設定を事前に確認することが必要です。

簡易版と詳細版の使い分け方

施工計画書には工事規模に応じた「簡易版」と「詳細版」があります。一般的な使い分け基準は以下のとおりです。

請負金額の目安提出形式
100万円未満原則不要(発注者指示に従う)
250万円未満簡易版での提出が認められるケースあり
1,000万円未満発注者の指示に応じて簡易版または詳細版
1,000万円以上詳細版が必須

金額以外にも、施工難易度・使用機材の種類・近隣への影響度・工期の長さも判断軸です。契約前に発注者へ必要書類の範囲を確認しておくと、後から詳細版の追加提出を求められる二度手間を防げます。

まとめ:施工計画書の作り方を押さえて現場をスムーズに動かそう

施工計画書は、工事を安全・確実に進めるための根幹となる書類です。段取り不足や記載漏れは現場での手戻り・品質トラブル・安全事故に直結するため、正しい手順で作成することが不可欠です。

この記事で解説したポイントを振り返っておきましょう。

本記事のポイント

  • 作成前の4ステップ準備で後工程の修正を防ぐ
  • 記載は工程・品質・安全・施工方法・仮設・環境の6本柱が基本
  • 土木は数量・手順の詳細、建築は工種間調整と仕上げ品質を重視
  • 国交省テンプレートと施工管理アプリで作成効率を確保する
  • 着工後も変更時はすみやかに改訂版を作成し現場と共有する

施工計画書の作成でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

施工計画書 作り方に関するよくある質問

参考文献

  1. 施工計画書(記載項目等参考例)|関東地方整備局
  2. 工事の書類の簡素化・効率化のための参考資料|北陸地方整備局
  3. 土木工事書類作成マニュアル(案)令和5年12月改訂版|近畿地方整備局

執筆者

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