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建設業界の課題とは?人手不足・高齢化の現状と2026年の対策

経営・業界・資金調達

この記事のポイント

建設業界の課題は、就業者数が1997年比で約3割減るなど慢性的な人手不足を軸に、高齢化や技術継承の停滞、資材高騰、利益率の低下が連鎖する。対策は処遇改善や標準労務費の基準化、建設DX、外国人材の活用が柱となり、改正建設業法で構造改革が進む。

建設業界の課題とは?人手不足・高齢化の現状と2026年の対策

「建設業界が抱える課題の全体像を知りたいけれど、人手不足や高齢化、資材高騰がどう絡み合っているのか整理できず、何から手をつければよいのか判断できません」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 人手不足を軸とした建設業界の課題構造
  • 経営とコストを圧迫する要因の整理
  • 処遇改善や建設DXによる具体的な対策

建設業界の課題は、人手不足を中心に複数の問題が連鎖して生まれています。まずは公的データで全体像をつかみ、人・経営・コストの観点から構造的に理解することが解決の第一歩です。

本記事を読めば、断片的だった情報が整理され、自社が優先して取り組むべき対策の判断基準が見えてきます。2026年時点の最新動向をふまえて解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

建設業界が抱える課題の全体像

建設業界の課題は、人手不足を中心に複数の問題が連鎖して生じています。高齢化や長時間労働、技術継承の停滞が互いに影響し合い、業界全体の供給力を押し下げているためです。

現場側の受け止めとしては、ゼネコンがやばいといわれる理由にも同じ構造が表れています。

個別の問題を構造的に整理することで、全体像をつかみやすくなります。ここでは各課題のつながりを順に解説します。

建設業界の現状と最新動向

建設業界の現状は、就業者の大幅な減少と高齢化が同時に進む厳しい状況にあります。これは長期にわたる入職者の減少と団塊世代の引退が重なった結果です。

就業者数はピークだった1997年の約685万人から、近年は約479万人まで落ち込み、約30%減少しました。建設需要は防災・インフラ更新を背景に底堅い一方、担い手の供給が追いつかず、受注しても着工できない事例が各地で増えています。

人手不足という最大の課題

建設業界の課題のなかで最も深刻なのが、慢性的な人手不足です。担い手の高齢化と若手の不足が同時に進み、現場を支える人材が構造的に足りていません。

国土交通省の試算では、2025年時点で約90万人の労働力が不足するとされています。人手不足が業界に与える影響は、次のように連鎖していきます。

  • 工期の長期化や着工の遅れ
  • 人件費の上昇による収益の圧迫
  • 熟練技能者の引退に伴う技術継承の停滞
  • 受注機会の損失や事業継続の困難

背景を深掘りすると、建設業の人手不足が工期・採算・安全管理を同時に圧迫しています。

課題を生む2024年問題と2030年問題

建設業界の課題を語るうえで欠かせないのが、2024年問題と2030年問題です。前者は働き方をめぐる制度の問題、後者は人口構造に根ざした問題という違いがあります。

2024年問題は、2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されたことを指します。一方の2030年問題は、技能者の大量退職によって人手不足が一段と深刻化する局面です。

両者は性質が異なるため、混同せずに区別して捉える必要があります。違いを下表に整理します。

観点2024年問題2030年問題
主な要因時間外労働の上限規制の適用熟練技能者の大量退職
内容原則として月45時間・年360時間の上限。違反には罰則あり技能者の約35%が退職年齢に到達
主な影響工期の遅れや収入減への対応が必要担い手の急減と技術継承の断絶

新規入職が進まない場合、就業者数は2030年に約400万人、2040年には300万人を下回るとの見通しも示されています。これは未確定の将来予測ですが、対策の緊急性を示す数字といえます。

公的データで見る業界の構造

業界の構造は、公的データを見るとより客観的に理解できます。国土交通省や総務省が公表する統計が、高齢化の度合いを裏づけているためです。

総務省の労働力調査をもとにした国土交通省の集計では、2024年時点で建設業就業者の55歳以上が36.7%、29歳以下が11.7%を占めます。全産業の数値と比較すると、建設業の偏りの大きさが明確になります。

区分建設業全産業
55歳以上の割合36.7%32.4%
29歳以下の割合11.7%16.9%

このように、建設業界は他産業よりも高齢層に偏り、若手の比率が低い構造を抱えています。公的データに基づく現状把握は、自社の立ち位置を見極め、課題の優先順位をつける出発点になります。

人に関する建設業界の課題

建設業界 課題のなかでも、最も根が深いのが人に関する問題です。人手不足や技能者の高齢化、技術継承の難しさ、長時間労働は、互いに連鎖して悪化する構造になっています。

ここでは4つの観点から、人に関する課題の現状を最新データとともに整理します。

慢性的な人手不足の実態

建設業の人手不足は、一時的な現象ではなく構造的な問題です。ピーク時から3割減った就業者数が回復しないまま、需要だけが底堅く残っているためです。

注目すべきは、減少が一時的な景気変動ではない点です。入職者の減少が長く続き、退職する高齢層を補えない状態が定着しています。

一方で老朽インフラの維持更新や災害復旧の需要は減らず、受注はあっても着工できないという供給制約が各地で起きています。建設業界の人手不足は、データの裏付けがある慢性的な課題です。

技能者の高齢化と若手の減少

人手不足を深刻にしているのが、世代構成の偏りです。高齢層が多く若手が少ないため、放置すれば就業者の減少が加速します。

全体像で見たとおり、建設業は55歳以上が3人に1人を超える一方、29歳以下は1割強にとどまります。この偏りが世代交代を難しくしている要因です。

問題は引退と入職のバランスにあります。今後10年で大量の高齢層が現場を去る一方、入職する若手だけでは抜けた穴を埋めきれません。世代構成の歪みが、人手不足をさらに長期化させる構造になっています。

技術継承が困難になる背景

高齢化が進むと、次に表面化するのが技術継承の問題です。熟練技能者が一斉に退職期を迎え、ノウハウが引き継がれないまま失われる恐れがあります。

技術継承が難しくなる背景には、いくつかの要因が重なっています。

  • 建設業の教育が、現場で先輩が後輩に教えるOJTに依存してきたこと
  • 人手不足で工程がタイトになり、教育に充てる時間を確保しにくいこと
  • 熟練者の経験や勘が言語化されにくく、マニュアル化が遅れていること

ある業界調査では、熟練技術者の大量退職を背景に、技術継承に不安を感じる回答が9割を超えました。教えたくても教える時間がないという現場の声が、課題の根深さを示しています。

長時間労働が常態化する理由

人手不足は、残る働き手の労働時間にしわ寄せをもたらします。少ない人数で工期を守ろうとすれば、一人あたりの負担が増えるためです。

国土交通省のデータでは、2024年の建設業の年間総実労働時間は1,987時間でした。製造業やその他の産業より長く、長時間労働が常態化してきた実態がうかがえます。

2024年4月からは時間外労働の罰則付き上限規制が建設業にも適用され、原則として月45時間、年360時間が上限になりました。規制によって労働環境の是正が進む一方、限られた人員で工期を守る難しさは残っています。

長時間労働の是正と人手不足の解消は、表裏一体の建設業界の課題なのです。

経営とコストに関する建設業界の課題

建設業界の課題は、現場の人手不足だけでなく経営とコストの面にも深く及んでいます。資材価格の高騰や利益率の低さ、人件費の上昇が同時に進み、受注があっても採算が合わない構造が広がっているためです。

ここでは経営を圧迫する4つの要因を、最新のデータとともに整理します。

建設資材の高騰と価格転嫁

建設資材の高騰は、2026年時点でも続く深刻な経営課題です。原価が上がり続ける一方で、受注価格への転嫁が追いつかないと、そのまま利益が削られていきます。

建設資材の価格は長期にわたって上昇しています。建設物価調査会などのデータでは、2015年を100とした建設資材物価指数や建築費指数は、この10年で約40〜50%上昇しました。

土木部門の建設資材物価指数は28カ月連続のプラスとなり、上昇トレンドに歯止めがかからない状況です。

問題は、この上昇分を発注者へ転嫁しきれない点にあります。東京商工リサーチの調査では、2025年度に価格転嫁できた中小企業は57.1%にとどまり、労務費の転嫁率は原材料費よりも約6ポイント低い水準でした。

建設業では資材高騰分の適切な転嫁が進まず、利益を圧迫している実態が指摘されています。

価格転嫁を進めるための主な取り組みは次のとおりです。

  • 見積書で資材費や労務費の内訳を明示し、上昇分の根拠を示す
  • 契約に資材価格の変動を反映するスライド条項を盛り込む
  • 原価をリアルタイムで把握し、交渉のタイミングを逃さない

利益率の低さと採算の悪化

建設業は、もともと利益率が低くなりやすい構造を抱えています。資材と人件費の同時高騰が、その薄い利益をさらに削っているのが現状です。

建設業の利益率の目安は、粗利益率で15〜30%、営業利益率で5〜10%程度とされます。実際には営業利益率が4%前後という調査もあり、他業種と比べて低い水準です。

利益率が低くなりやすい背景には、次のような要因があります。

要因内容
個別受注生産地形や設計が現場ごとに異なり、原価の正確な見積もりが難しい
多重下請構造元請から下請へと工事が流れる中で、各段階の利幅が薄くなる
価格競争経営事項審査で売上高が重視され、受注を優先した値下げが起きやすい

受注金額が変わらないまま資材費と労務費が上がれば、収益率は確実に低下します。採算の悪化を防ぐには、売上の拡大よりも原価管理と適正な見積もりが重要になります。

人手不足による倒産リスク

人手不足は採用の問題にとどまらず、企業の存続を左右する経営リスクへと深刻化しています。職人が確保できず工事を進められない、後継者が退職して事業が回らないといった理由で倒産する企業が増えているためです。

帝国データバンクの調査によると、2025年度の人手不足倒産は前年度比およそ1.3倍の441件となり、過去最多を更新しました。業種別ではサービス業に次いで建設業が112件と多く、労働集約型の産業で増加が目立っています。

従業員や経営幹部の退職を原因とする倒産も118件と、こちらも過去最多を記録しました。

受注があっても担い手がいなければ着工できず、売上にはつながりません。人材の確保と定着は、もはや採用活動の枠を超えた経営の最優先課題といえます。

人件費上昇への対応

人件費の上昇は、建設業界が避けて通れない課題です。国の政策として賃上げが進められており、これに対応できない企業は人材の確保と採算の両面で不利になります。

国土交通省が決定した2026年度の公共工事設計労務単価は、全国・全職種の単純平均で前年度比4.5%上昇し、14年連続の引き上げとなりました。加重平均は2万5,834円に達し、公表を始めた1997年度以降で初めて2万5,000円を上回っています。

さらに、事業主が負担する雇用に伴う必要経費の参考値も、従来の41%から48%へ引き上げられました。

この上昇は、人手不足の深刻化と2024年の時間外労働上限規制への対応コストを反映したものです。人件費上昇への対応として、企業に求められる動きは次のとおりです。

資金面の余力が乏しい会社では、建設業の資金調達を含めて原資確保を設計する必要があります。

  1. 賃上げの原資を確保するため、労務費上昇分を見積もりと契約に確実に反映する
  2. 建設キャリアアップシステムなどを活用し、技能に応じた処遇を整える
  3. 業務効率化で一人あたりの生産性を高め、賃金上昇を吸収する

人件費を単なるコスト増と捉えるのではなく、人材確保への投資として経営計画に組み込む視点が欠かせません。

建設業界の課題を解決する対策

人手不足や長時間労働といった建設業界の課題は、複数の対策を組み合わせて取り組むべきものです。賃金などの処遇改善、建設DXによる効率化、外国人材の活用、適切な工期設定が代表的な柱になります。

いずれも2025年12月に全面施行された改正建設業法とつながりが深く、業界全体で構造改革が進んでいます。自社の状況に合わせて優先順位をつけ、できるところから着手することが大切です。

処遇改善と労働環境の整備

技能者の賃金を引き上げることが、人材確保の土台になります。担い手を増やすには、働きに見合った収入と安心して働ける環境が欠かせないためです。

改正建設業法では、中央建設業審議会が「標準労務費」の基準を作成・勧告できるようになりました。発注者から元請、下請へと続く取引全体で適正な労務費が行き渡るための「ものさし」として機能します。

処遇改善を支える主な仕組みは次のとおりです。

  • 標準労務費の基準化により、著しく低い労務費での見積りや原価割れ契約を禁止
  • 建設キャリアアップシステム(CCUS)で就労履歴や資格を蓄積し、能力に応じた評価へつなげる仕組み
  • 公共工事設計労務単価の引き上げが14年連続で続き、賃金原資を確保

CCUSにはすでに168万人ほどの技能者が登録しています。経験や資格を客観的に証明できるため、レベルに応じた賃金設定がしやすくなります。

こうした制度を活用し、賃金と労働環境の両面を整えることが定着率の向上につながります。

建設DXによる業務効率化

限られた人員で生産性を高めるには、建設DXの推進が有効です。デジタル技術で作業を自動化すれば、少ない人手でも同じ成果を出せるようになります。

国土交通省は「i-Construction 2.0」を掲げ、施工やデータ連携、施工管理の自動化を進めています。BIMやICT施工はその中心となる技術です。

代表的な技術と効果を整理します。

技術内容主な効果
BIM/CIM3次元モデルで設計から施工までを一元管理手戻り削減、図面審査の効率化
ICT施工測量や施工に建機の自動制御などを活用施工の省人化と工期短縮
クラウド・現場管理ツール写真や書類、進捗をデジタルで共有間接業務の削減

ICT施工は導入により生産性がおよそ2割向上したとの報告があります。BIMによる図面審査は2026年春の本格運用が予定されており、効率化はさらに進む見通しです。

まずは日報や写真管理などのデジタル化から始め、段階的に範囲を広げる進め方が現実的といえます。

建設テックを業務単位で選ぶと、投資対象と期待効果を整理しやすくなります。

外国人材と多様な人材の活用

担い手を広げるには、外国人材や多様な人材の活用が欠かせません。国内の若手だけでは必要な人数を確保しにくくなっているためです。

2027年度には、技能実習に代わる「育成就労制度」が始まります。目的が「人材育成」から「人材確保」へと明確に変わり、長期的な戦力として迎える方向へ進んでいます。

外国人材の主な在留資格を比べます。

制度位置づけ特徴
育成就労(2027年度開始予定)人材確保が目的の新制度一定条件での転籍が可能、日本語要件を強化
特定技能人手不足分野での就労資格現場作業に従事でき、技能水準を満たせば在留

外国人材に加え、女性や高齢者など多様な人材が働きやすい環境づくりも重要です。育成就労では企業が「選ばれる」立場になるため、受け入れ体制や教育制度の整備が問われます。

多様な人材が活躍できる職場をつくることが、安定した人材確保の近道です。

適切な工期設定と週休二日の確保

長時間労働を是正するには、適切な工期設定と週休二日の確保が前提になります。無理な工期が残業や休日出勤を生む大きな原因だからです。

建設業では2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されています。過去には他産業より年間300時間以上長いとの指摘もあり、限られた人員のなかでこの上限を守る工程づくりが急がれてきました。

工期の適正化を支える仕組みは次のとおりです。

  • 国土交通省の「工期に関する基準」が、受発注者が考慮すべき事項を整理(2024年3月改定)
  • 改正建設業法で、著しく短い工期による契約締結を受注者にも禁止
  • 週休2日工事の普及拡大に向けた取り組みを継続

適正な工期があってこそ、週休二日が現実のものになります。発注者と受注者が早い段階で工程を共有し、休日を織り込んだ計画を立てることが欠かせません。

工期と休日をセットで見直すことが、建設業界の課題解決と人材定着の両方に効いてきます。

まとめ:建設業界の課題は人手不足を軸に対策を急ぐべき

建設業界の課題は、慢性的な人手不足を軸に、高齢化や技術継承の困難、長時間労働、資材高騰、利益率の低下が連鎖して生まれています。本記事では、これらを人・経営・コストの観点から整理し、処遇改善や建設DX、外国人材の活用といった対策まで解説しました。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 人手不足を起点に連鎖する課題構造
  • 経営とコストを圧迫する複合的な要因
  • 処遇改善と建設DXを軸にした対策の方向性

課題を構造的に捉えることで、自社が何から着手すべきか優先順位をつけられます。漠然とした事業継続への不安も、根拠あるデータと対策の理解によって解消へ向かうはずです。

自社の課題整理や具体的な改善策の検討でお困りの際は、ぜひお問い合わせください。詳しい資料もご用意していますので、あわせてご活用ください。

建設業界の課題に関するよくある質問

参考文献

  1. 国土交通省「建設業を巡る現状と課題」
  2. 国土交通省「建設業法・入契法改正(令和6年法律第49号)について」
  3. 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」

執筆者

Construction DX 編集部
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Construction DX 編集部は、建設DX・建設テック・業界動向に関するニュースや解説記事を制作する編集チームです。最新の技術・市場・制度・導入事例をわかりやすく整理し、建設業界のDX推進に役立つ情報を中立的な視点で発信しています。

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Construction DX リサーチチーム
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