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ゼネコンの利益率は低い?最新ランキングと向上策【2026年】

経営・業界・資金調達

この記事のポイント

ゼネコンの利益率は粗利益率で約10パーセント前後、営業利益率は数パーセントで近年は改善傾向にあるものの、一括請負や低採算受注、重層下請構造により他産業より低く、選別受注や建設DXが向上の鍵となります。

ゼネコンの利益率は低い?最新ランキングと向上策【2026年】

「ゼネコンの利益率が実際どのくらいで、なぜ低いといわれるのか、最新の数値で知りたいです。」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

本記事の内容

  • ゼネコンの利益率の最新データと業界平均
  • 利益率が低いといわれる構造的な理由
  • 規模別ランキングと利益率を高める方法

ゼネコンの利益率は粗利益率で1割前後、営業利益率で数パーセントが目安で、近年は改善傾向にあります。

低採算の背景と向上策まで理解すれば、業界の収益構造と今後の見通しがつかめます。最新の数値とともに見ていきましょう。

ゼネコンの利益率の現状と最新データ

総合建設業を営むゼネコンの利益率は、長年にわたり他業種と比べて低い水準が続いてきました。しかし直近の決算では、採算改善の動きが数字として明確に現れています。

ここでは、スーパーゼネコン5社の最新データと業界全体の平均値を整理します。

スーパーゼネコンの利益率

業界の頂点に立つスーパーゼネコンとはどのような存在か、一般には鹿島建設・大林組・大成建設・清水建設・竹中工務店の5社を指します。これらは国内ゼネコンの中でも売上高・施工能力ともに群を抜く存在です。

2025年度(2026年3月期)決算では、5社いずれも営業利益が前期比で大幅増となりました。具体的な数値は以下のとおりです。

社名売上高営業利益営業利益率
鹿島建設3兆672億円2,407億円約7.8%
大林組2兆5,862億円1,946億円約7.5%
大成建設2兆890億円1,879億円約9.0%
清水建設2兆578億円1,223億円約5.9%
竹中工務店1兆1,543億円622億円約5.4%

(出典:総合資格navi「【2026年】スーパーゼネコン5社の決算概況と展望」)

大成建設が営業利益率9.0%でトップとなり、鹿島建設・大林組も7%台を確保しています。竹中工務店は非上場のため連結の粗利益率データは非公開ですが、営業利益は前期比81.2%増と大幅に改善しました。

業界全体の平均利益率

スーパーゼネコン5社の数値は業界全体の平均を上回ります。上場ゼネコン53社の粗利益率(売上総利益率)は、2025年3月期に平均10.7%となりました。

前期の8.9%から1.8ポイントの改善で、近年の水準としては高い値です。

より広い範囲でみると、地域に密着して活動する地場ゼネコンとは異なり、広域で展開する上場ゼネコン100社ベースの粗利率平均は2024年度に11.3%を記録しました。これは資機材コストの上昇分を請負金額に転嫁できた企業が増えたことが主因です。

業界全体の収益指標をまとめると以下のようになります。

指標数値対象・時点
粗利益率(上場53社平均)10.7%2025年3月期
粗利益率(ゼネコン100社平均)11.3%2024年度

(出典:総合資格navi「ゼネコン100社決算業績(完工高順)からわかること【2025年版】」)

近年の利益率の改善傾向

ゼネコンの利益率は、ゼネコンランキングの推移に見る各社の売上規模と同様に、2020年代前半までは建設資材の高騰や人件費の上昇を受注価格に転嫁できず、長期低迷が続いていました。転換点となったのは採算重視の受注選別が業界に浸透し始めた2023年度以降です。

改善を後押しした主な要因は次の3点です。

  • 資材価格高騰分の請負金額への転嫁が進んだ
  • 働き方改革により適正な工期・労務費を反映した見積もりが定着した
  • 低採算案件の受注を意識的に回避する「選別受注」が加速した

上場ゼネコン53社の粗利益率は前期比1.8ポイント上昇しており、改善の度合いは過去数年で最大級の幅となっています。

ゼネコンの利益率は構造的な転換期を迎えており、この傾向は2026年度以降も続く見通しです。

ゼネコンの利益率が低いといわれる理由

ゼネコンの利益率が低いといわれるのは、価格決定権の欠如・コスト上昇・重層構造という3つの要因が複合的に絡み合っているためです。それぞれの構造を順に整理します。

一括請負と低採算受注の構造

建設業は「受注産業」であり、発注者が示す予算の範囲内で入札競争が行われるため、製造業のように自社で販売価格を設定できません。受注を優先するあまり、利益水準が低い案件を引き受けざるを得ない状況が生まれやすくなります。

一括請負では、設計・施工・管理を一括して請け負う代わりに、工事期間中のあらゆるコスト変動リスクも元請けが負います。当初の見積もりより資材費や労務費が膨らんでも、追加費用を発注者に転嫁しにくい契約慣行があるため、利益が大きく削られます。

特に大型工事では、受注段階で採算性を慎重に査定しても、数年にわたる工期の中で市況が変われば想定外の損失が生じます。低採算受注が続くと、次の受注に向けた値下げ競争がさらに激化するという悪循環に陥りがちです。

課題内容
価格決定力の弱さ発注者主導の入札で価格設定に制約
コスト変動リスク工期中の資材・労務費変動を元請けが負担
低採算案件の連鎖受注優先→採算悪化→値下げ競争の繰り返し

発注者と受注者における立場や役割を理解するために、関連する実務知識としてゼネコンとデベロッパーの違いも事前に確認しておきましょう。

資材高騰と労務費の上昇

2021年以降、建設資材物価は土木部門で約41%、建築部門で約37%上昇しています。2026年時点でもピーク時からの落ち着きは限定的で、依然として高水準が続いています。

労務費も同期間に15%程度上昇しており、2024年4月から建設業に適用された時間外労働の上限規制(いわゆる2024年問題)がさらに人件費を押し上げています。資材費・労務費の合計が全建設コストの80〜90%を占めるため、これらの上昇はそのまま利益率の低下に直結します。

  • 建設資材物価:2021年比で38%超の上昇(2026年時点)
  • 公共工事設計労務単価:2021年から2024年にかけて約15%上昇
  • 資材費・労務費が建設コスト全体の80〜90%を占める構造

重層下請構造によるコスト圧迫

ゼネコンは元請けとして工事を一括受注し、実際の施工は一次下請け、二次下請け、三次下請けと複数の階層に分散して発注します。各階層が管理費・利益を加算するため、最終的に現場で作業する企業に渡る金額は元の発注額から大幅に目減りします。これは設計や計画を担う建設コンサルタントとゼネコンの違いにも通じる特徴であり、実際の施工段階での複雑な管理と分業体制を反映したものです。

この構造は、ゼネコン自身の粗利率にも影響します。外注費が売上の大半を占めるため、製品を自社工場で製造するメーカーと比べて粗利率(売上総利益率)が構造的に低くなります。

大手ゼネコンの粗利率は概ね10〜15%台で推移しており、製造業平均(20%台)や情報サービス業(30〜40%台)と比較すると、業種特性として低水準に位置づけられます。重層下請構造は業界全体の収益性を押し下げる最大の構造問題の一つです。特に、元請けと一次下請け(専門工事業者)の関係性を示すゼネコンとサブコンの違いを把握することは、この重層下請構造を正しく理解するうえで極めて重要です。

ゼネコンの規模別利益率ランキング

ゼネコンの営業利益率は規模によって大きく異なり、スーパーゼネコン・準大手・中堅の順に数値の傾向が変わります。自社や取引先の収益性を業界標準と比較する際は、同規模の企業群を基準にすることが重要です。

スーパーゼネコンの利益率

スーパーゼネコン5社(鹿島・大林組・大成建設・清水建設・竹中工務店)は、2025年3月期(竹中工務店は2024年12月期)において軒並み高水準の営業利益率を記録しました。5社合計の売上高は約11兆4,149億円、営業利益は約8,347億円に達し、前期比55%増という大幅な増益となっています(出典:総合資格navi「スーパーゼネコン5社の決算概況と展望」2026年版)。

規模の大きさを活かした案件選別力と、建設DX推進による生産性向上が高利益率を支えています。

社名売上高(連結)営業利益率の目安
鹿島建設約2兆6,201億円約5.5%
大林組約2兆4,000億円前後約5〜6%
大成建設約2兆2,000億円前後約4〜5%
清水建設約2兆1,000億円前後約4〜5%
竹中工務店約1兆8,000億円前後約4〜5%

※2025年3月期(竹中は2024年12月期)連結決算ベース。営業利益率は各社公表数値をもとに算出した目安値。

スーパーゼネコンは超大型案件への優先的なアクセスと、海外事業・開発事業による収益多様化が競争優位となっています。

準大手ゼネコンの利益率

売上高3,000億円から1兆円未満の規模を持つ準大手ゼネコンとはどのような企業群か、各社の2025年3月期営業利益率は、スーパーゼネコンとほぼ同水準か、得意分野への集中によりそれを上回るケースも見られます。マンション施工を主力とする長谷工コーポレーションは5〜7%台の営業利益率を維持しており、特化型ビジネスモデルの強みを示しています(出典:archi-book.com「ゼネコン規模別の営業利益率ランキング」2025年版)。

社名主力事業営業利益率の目安
長谷工コーポレーションマンション施工約5〜7%
安藤ハザマ土木・建築約6〜8%
前田建設工業土木・建築約4〜6%
戸田建設建築・土木約3〜5%
三井住友建設橋梁・建築約1〜2%
西松建設土木・建築約4〜6%
五洋建設海洋土木約3〜5%

※2025年3月期連結決算ベースの目安値。各社公表の有価証券報告書・決算短信を参照。

準大手は特定工種への集中度合いによって利益率に開きが生じます。安藤ハザマは選別受注と海外事業の拡大で比較的高い利益率を維持する一方、三井住友建設は大型案件での採算改善が課題となっています。

中堅ゼネコンの利益率

中堅ゼネコン一覧に名を連ねる企業の2025年3月期平均営業利益率は約4.4%と、前期比0.3ポイント改善しています。(出典:archi-book.com「ゼネコン規模別の営業利益率ランキング」2025年版)。スーパーゼネコンや準大手との差は縮まりつつあり、地域密着型や特定分野に強みを持つ企業では5%超を達成するケースも増えています。

社名特徴営業利益率の目安
熊谷組土木・建築・PPP約4〜6%
奥村組トンネル・地下工事約5〜7%
東洋建設海洋・港湾工事約3〜5%
鉄建建設鉄道関連工事約2〜4%

※2025年3月期単体・連結決算ベースの目安値。各社公表数値をもとに算出。

中堅ゼネコンは得意工種での差別化が利益率を左右します。トンネルや地下工事を主力とする奥村組は技術的参入障壁の高さを活かして高利益率を維持しており、規模が小さくても収益性でスーパーゼネコンを上回る事例もあります。

ゼネコンの利益率を向上させる方法

ゼネコンの利益率は、受注戦略・現場生産性・事業ポートフォリオの3つの軸で改善できます。2025年度の大手ゼネコン5社決算では、採算重視への転換が奏功し8年ぶりの全社増益・過去最高水準の利益を達成しており、その施策は中堅・専門工事業でも応用できます。また、こうした業績回復に伴う今後のゼネコンの株価の見通しも、業界の先行きを占ううえで重要な指標となります。

選別受注と価格転嫁を進める

利益率を高める最短ルートは、低採算工事を断り、適正利益を確保できる案件に集中することです。かつてのゼネコン業界は横並びで受注量を競い、低採算の大型工事を抱え込む「負のスパイラル」に陥っていました。

2026年時点では業界全体で意識が変わりつつあり、価格転嫁と選別受注が業績を左右する最重要テーマとなっています。

選別受注・価格転嫁を実践するための主な施策は次のとおりです。

  • 工種・地域・発注者ごとに過去の粗利データを可視化し、採算基準を数値で設定する
  • 資材高・人件費上昇をコスト積算に反映し、見積りに転嫁する(スライド条項の積極活用)
  • 採算基準を下回る案件は入札辞退または価格交渉を徹底し、受注量より利益率を優先する
  • 優良発注者との継続受注関係を構築し、価格競争から抜け出す

大成建設が「建設物価の工事価格への転嫁」を明確に経営方針に掲げ、収益構造を改善した事例は、規模を問わず参考になります。

建設DXで生産性を高める

工事原価の削減には、現場の生産性向上が直結します。ICT施工・BIM/CIM・デジタル原価管理の導入が、利益率改善の具体的な手段として注目されています。

施策主な効果
ICT施工(ドローン測量・マシンコントロール)測量・施工時間の短縮、手戻りの削減
4D BIM(3D+工程)工程管理の可視化、工期短縮率15〜20%
5D BIM(3D+工程+コスト)設計変更が原価に与える影響をリアルタイム把握
デジタル原価管理システム予算と実績の差異を早期に検知し、損失を最小化

2026年の建設現場DX市場規模は586億円と推計されており、2030年度には1,250億円への拡大が見込まれています。早期に導入した企業ほど競争優位を確立しやすい状況です。

5D BIMは設計変更時の原価影響をリアルタイムで把握でき、意思決定の迅速化と精度向上につながります。建設DXはコスト削減だけでなく、品質向上や安全管理の強化にも波及するため、投資対効果が高い施策です。

高採算分野へ事業をシフトする

新築の請負だけに依存しない事業ポートフォリオへの転換が、中長期の利益率改善に有効です。以下の分野は、建設業の中でも相対的に採算性が高く、需要の持続性も見込まれます。

  • 都市再開発・市街地再開発:鹿島建設が虎ノ門・六本木エリアの採算性を確保した選別案件で売上高3兆円超・営業利益58.5%増を達成した典型例。大成建設もデータセンターや市街地再開発へ経営資源を集中。
  • インフラ更新・維持管理:高度成長期に建設されたインフラの老朽化更新需要は今後10〜20年で拡大見通し。土木事業の採算性が向上しており、鹿島建設の土木事業は営業利益が前期比114.9%増を記録。
  • データセンター・物流施設:旺盛な需要が続き、工期・仕様が標準化されやすく生産性が上がりやすい。
  • FM・維持管理サービス:竣工後のエネルギーマネジメントや施設管理を継続収益源とするビジネスモデルへのシフトが大手ゼネコンで進んでいる。

建設請負業から「建物ライフサイクル全体のソリューション提供業」へと転換する視点が、高採算化の本質です。受注競争が激しい新築一般建築に経営資源を集中させるより、専門性や地域優位性を活かせる分野にシフトすることが、中堅・専門工事業にとっても実現可能な利益率向上策です。

まとめ:ゼネコンの利益率は改善傾向だが構造課題が残る

本記事ではゼネコンの利益率について、最新データや低い理由、規模別ランキング、向上策を解説しました。建設コンサルタントランキングの一覧など、隣接するインフラ関連業界の収益指標とあわせて整理することで、業界全体の収益構造に対する理解が深まります。関連する実務知識として、設計段階から施工までに関わる建設コンサルタントの仕事内容についても事前に確認しておきましょう。粗利益率は改善が進む一方で、一括請負や重層下請といった構造的な課題は残っています。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • ゼネコンの利益率は近年改善傾向にある
  • 低採算受注や資材高騰が利益率を押し下げる
  • 選別受注と建設DXが利益率向上の鍵

利益率の実態と改善の方向性を把握できたことで、自社の経営指標の見直しや投資判断に役立てられます。

建設DXによる原価管理や生産性向上の進め方についてお悩みがあれば、お問い合わせや資料請求からご相談ください。

ゼネコンの利益率に関するよくある質問

参考文献

  1. 建設工事施工統計調査(令和5年度実績)- 国土交通省
  2. 建設業の経営分析(バックナンバー)- 建設業情報管理センター

執筆者

Construction DX 編集部
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編集部

Construction DX 編集部は、建設DX・建設テック・業界動向に関するニュースや解説記事を制作する編集チームです。最新の技術・市場・制度・導入事例をわかりやすく整理し、建設業界のDX推進に役立つ情報を中立的な視点で発信しています。

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