建設コンサルタントはなくなる?将来性と生き残り【2026年】
この記事のポイント
建設コンサルタントは公共事業の縮小やAIで「なくなる」と懸念されるものの、インフラ老朽化の維持管理や防災の需要を背景に必要とされ続け、資格取得やAI活用力を備えれば将来も活躍できます。
「建設コンサルタントはなくなると聞いて不安です。AIや公共事業の縮小で本当に仕事が失われるのか知りたいです。」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- 建設コンサルタントがなくなるといわれる理由
- なくならないといえる根拠と将来性
- 将来も活躍するためのスキルと資格
建設コンサルタントはなくなるどころか、インフラの維持管理や防災の需要を背景に役割を変えながら必要とされ続けます。
なくなる説の真偽と生き残る方法を理解すれば、不安なくキャリアを描けます。根拠とともに確認していきましょう。
建設コンサルタントがなくなるといわれる理由
社会インフラの調査・計画・設計を担う建設コンサルタントが「なくなる」といわれる背景には、大きく3つの要因があります。公共事業の動向、AI・デジタル技術の進展、そして担い手となる人材の問題です。それぞれの実態を、公的な資料で整理します。
公共事業の縮小という懸念
建設コンサルタントの仕事は、主に公共インフラの調査・計画・設計です。施工を担うゼネコンと同様に、公共事業費の動向が受注量に直結します。
財務省の資料によると、国の公共事業関係費(当初予算)は平成9年度(1997年度)の9.8兆円をピークに減り、平成24年度(2012年度)には4.6兆円と、ピークの半分以下になりました。建設コンサルタンツ協会の白書も、公共事業予算の減少を背景に、会員企業数が2003年度以降に減少へ転じたと説明しています。この時期の経験から、「公共事業が減れば仕事がなくなる」という不安が業界に根付きました。
その後は持ち直し、平成26年度(2014年度)以降の当初予算は6兆円前後で推移しています。令和8年度(2026年度)予算の公共事業関係費は6兆1,078億円(前年度比0.4%増)で、このうち国土交通省関係は5兆2,950億円です。大幅な削減が続いているわけではありませんが、金額はピークの6割程度です。
AIとデジタル化の進展
生成AIやBIM(建物情報モデリング)の技術進化が急速に進み、これまで人手に頼ってきた業務の一部が自動化されつつあります。建設コンサルタント業界でも例外ではありません。
以下のような業務はAIによる自動化・効率化が進んでいます。
- 図面や測量データの解析・集計
- 標準的な構造計算や法規チェック
- 報告書の文章作成補助(生成AI活用)
- ドローン点検データからの異常検知
国土交通省は2024年4月に「i-Construction 2.0」を策定し、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割進め、生産性を1.5倍に高める目標を掲げました。建設コンサルタンツ協会の白書(令和8年度版)も、生成AIを使った定型的な文書の作成やレビューの補助、画像解析やセンサーデータ解析による危険箇所の抽出が進んでいると紹介しています。
こうした技術の広がりが、「コンサルタントの仕事が機械に置き換えられる」という懸念の背景になっています。
若手人材の不足と高齢化
建設コンサルタント業界は、技術者の高齢化と若手離れという構造的な課題を抱えています。
建設コンサルタンツ協会の白書(令和8年度版)によると、職員の人数が最も多い年齢は、1995年度が24〜26歳でした。その後の新卒採用が少なかったため、2024年度は52〜54歳が最も多くなっています。会員企業の技術職員数は2025年度の集計で56,806人と、2016年度の42,509人から増えていますが、50歳代が厚く、次世代への技術継承が課題です。
若手の離職も課題です。同白書によると、会員企業の離職者のうち20〜30歳代が占める割合は7割以上で、売上100億円以上の企業では2025年度に83%でした。これは離職者に占める若手の割合であり、若手の何割が辞めたかを示す離職率ではない点に注意してください。
担い手に関する数値を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 人数が最も多い年齢 | 1995年度は24〜26歳、2024年度は52〜54歳 |
| 離職者に占める20〜30歳代の割合 | 全会員で7割以上、売上100億円以上の企業は83%(2025年度) |
| 会員企業の技術職員数 | 56,806人(2025年度の集計。2016年度は42,509人) |
| 建設業就業者に占める29歳以下の割合 | 11.9%(2025年平均。全産業は17.0%) |
(出典:建設コンサルタンツ協会「令和8年度 建設コンサルタント白書」、国土交通省「最近の建設業を巡る状況について 参考資料集」)
若手が定着しない状況が続けば業務を担う技術者が不足するという危機感が、「なくなる」という言葉につながっています。一方で、技術職員の総数は増えており、白書は20歳代に増加傾向がみられるとも述べています。
建設コンサルタントがなくならないといえる理由
建設コンサルタントがなくなるという懸念がある一方で、業務の需要を支える要因は公的な資料で確認できます。インフラの老朽化、防災、技術的な判断の3つに分けて整理します。
インフラ老朽化による維持管理需要
高度経済成長期に集中的に整備されたインフラが、これから一斉に老朽化します。国土交通省の資料によると、建設後50年以上を経過する施設の割合は、道路橋が2023年3月の約37%から2040年3月に約75%へ、トンネルが約25%から約52%へ、港湾施設が約27%から約68%へ上がる見込みです。
維持管理・更新にかかる費用も増えます。国土交通省が平成30年度に公表した所管12分野の推計では、不具合が生じてから直す「事後保全」を続けた場合、年間の維持管理・更新費は2018年度の5.2兆円から2048年度に10.9〜12.3兆円(約2.4倍)になります。不具合が生じる前に手を入れる「予防保全」に切り替えた場合は5.9〜6.5兆円(約1.3倍)にとどまり、30年間の合計では約32%少なくなる試算です。
| 考え方 | 2048年度の年間費用(2018年度は5.2兆円) | 30年間の合計(2019〜2048年度) |
|---|---|---|
| 事後保全 | 10.9〜12.3兆円(約2.4倍) | 254.4〜284.6兆円 |
| 予防保全 | 5.9〜6.5兆円(約1.3倍) | 176.5〜194.6兆円 |
(出典:国土交通省「国土交通省所管分野における社会資本の将来の維持管理・更新費の推計」平成30年度)
こうした背景を受け、国土交通省は「インフラ長寿命化計画(行動計画)」のもとで予防保全型の維持管理への転換を進めています。橋梁・トンネル・ダムといった施設を点検・診断・補修・更新のサイクルで管理する取り組みでは、点検・診断や補修設計、長寿命化計画の策定といった建設コンサルタントの業務が継続して発生します。予防保全でも、年間5兆円台後半から6兆円台の維持管理・更新費が2048年度まで見込まれています。
防災と災害対応の重要性
防災・減災の分野でも、中期の計画が決まっています。政府は2025年6月6日に第1次国土強靱化実施中期計画(令和8〜12年度)を閣議決定しました。計画期間内に実施する326施策のうち114施策を「推進が特に必要となる施策」と位置づけ、その事業規模を5年間でおおむね20兆円強程度としています。
| 施策の柱 | 事業規模の目途 |
|---|---|
| 防災インフラの整備・管理 | おおむね5.8兆円 |
| ライフラインの強靱化 | おおむね10.6兆円 |
| デジタル等新技術の活用 | おおむね0.3兆円 |
| 官民連携強化 | おおむね1.8兆円 |
| 地域防災力の強化 | おおむね1.8兆円 |
(出典:内閣官房「第1次国土強靱化実施中期計画(概要)」)
単年度の予算でも、令和8年度の公共事業関係費6兆1,078億円のうち4兆1,106億円が国土強靱化関係予算です。防災インフラの計画・設計・施工監理には技術的な判断が必要で、建設コンサルタントの業務が発生します。
同計画は施策の目標を、おおむね20年から30年程度を目安に設定しています。防災インフラの整備と維持に関する業務は、単年度で終わるものではありません。
高度な専門知識と判断の必要性
建設コンサルタントの仕事の核心は、技術的な根拠にもとづく判断と、その結果への責任を引き受けることにあります。国土交通省の土木設計業務等共通仕様書(案)は、業務の技術上の管理を行う管理技術者と、成果物の内容について技術上の照査を行う照査技術者を定めるよう求めており、どちらも技術士やRCCMなどの資格を持つ技術者が担います。AIはデータ処理・点検支援・設計解析を補助する道具として使われています。
以下は、AIが支援できる業務とコンサルタントが担う業務の違いです。
| 業務区分 | AIの役割 | コンサルタントの役割 |
|---|---|---|
| データ収集・整理 | 自動化・効率化が可能 | 調査方針の設定・検証 |
| 設計解析・シミュレーション | 計算処理の高速化を支援 | 条件設定・結果の解釈・判断 |
| 報告書作成 | 文章生成・テンプレート化を支援 | 内容の正確性確認・最終承認 |
| 技術的意思決定 | 参考情報の提供にとどまる | 責任をともなう最終判断 |
地形・地質・気象・法規制・地域事情を総合的に読み解き、複数のリスクと便益を比べて案を選ぶ判断力は、実務経験と専門資格によって培われるものです。現在の業務の仕組みでは、こうした判断と成果物への責任は技術者が負っています。
建設コンサルタントの将来性と今後の見通し
建設コンサルタントは「なくなる」と言われることがありますが、登録業者数や売上高の統計を見ると、業界の規模は縮んでいません。事業量の推移・AIの影響・海外業務の3つの軸から、現状と今後の見通しを整理します。
市場規模と事業量の推移
国土交通省の調査によると、建設コンサルタントの登録業者数は令和7年度末(2026年3月末)時点で3,917業者です。前年度から13業者(0.3%)減り、ピークだった平成17年の4,214業者より約7%少ないものの、国土交通省は「概ね横ばい」としています。
売上高は増えています。建設コンサルタンツ協会の白書(令和8年度版)によると、会員企業のコンサルタント部門の売上高は、2016年度の8,802億円から2025年度の集計で1兆2,940億円へ、約47%増えました。
| 指標 | 数値 | 時点・出典 |
|---|---|---|
| 建設コンサルタントの登録業者数 | 3,917業者(前年度比0.3%減) | 令和7年度末、国土交通省 |
| 建設コンサルタンツ協会の会員企業数 | 516社 | 2026年3月末、同協会の白書 |
| 会員企業のコンサルタント部門売上高 | 1兆2,940億円(前年度比4.0%増) | 2025年度の集計、同協会の白書 |
| 会員企業の技術職員数 | 56,806人 | 2025年度の集計、同協会の白書 |
| 売上高上位50社の契約金額 | 7,367億円(前年度比4.6%増) | 2025年度、国土交通省「建設関連業等の動態調査報告」 |
上位50社の契約金額の内訳は、国内の公共が5,724億円、国内の民間が1,210億円、海外が432億円です。公共が約8割を占めるため、売上高は公共投資の動向に左右されます。建設コンサルタントのランキングで個別の会社を比べるときも、公共と民間、国内と海外の構成を確認すると、事業の性格がわかります。
AIで変わる業務と残る業務
AIの導入で建設コンサルタントの業務構成は変わりつつあります。自動設計ツールやBIM/CIMの普及により、定型的な作業の効率化が進んでいます。
一方、AIに代替されにくい業務領域も明確です。下表でその違いを整理します。
| 変わる業務(AI・自動化が進む) | 残る業務(AI代替が困難) |
|---|---|
| 定型図面・帳票の作成 | 地域課題の設計・問題定義 |
| 構造計算・単純解析 | 住民合意形成・ステークホルダー調整 |
| 設計書の定型フォーマット入力 | 複合リスクを伴う意思決定 |
| 過去データをもとにした類似設計 | 現地踏査・専門的な現場判断 |
| 報告書の初稿生成 | 環境・防災・都市計画の総合マネジメント |
AIは業務の一部を効率化する道具であり、建設コンサルタントという職種そのものを置き換えるものではありません。建設コンサルタンツ協会の白書は、品質確保や業務効率化の観点から生成AIの活用は必須だとしたうえで、文章を生成するときの著作権への配慮を課題に挙げています。専門技術に加えて、AIを適切に使う知識が技術者に求められるようになっています。
海外インフラ需要の拡大
国内に加えて、海外の業務もあります。建設コンサルタンツ協会の白書によると、国内の建設コンサルタント主要70社の海外業務受注総額は、2024年度に約806億円でした(国際建設技術協会の調査)。白書は、2020年度の大幅な落ち込みから回復していないと説明しています。
地域別ではアジアが52%で最も多く、次いでアフリカが25%です。分野別では運輸交通が40%を占めます。
世界のインフラ需要について、白書はアジア開発銀行の推計として、2016年から2030年までのアジア地域の需要が約26兆ドルを超えると紹介しています。需要は大きい一方で、日本の建設コンサルタントの受注額は伸びておらず、治安や衛生面のリスク管理も課題に挙げられています。海外業務では、語学力と国際的な基準に沿った設計の知識が必要です。
将来も活躍できる建設コンサルタントになる方法
建設コンサルタントとして長く働くための方向性を、資格の取得、AIの活用、業務が見込まれる分野の専門性の3つに分けて整理します。
資格を取得してスキルを証明する
建設コンサルタントの業務では、資格によって担当できる役割が決まります。国土交通省の建設コンサルタント登録では、登録部門ごとに技術管理者(原則として技術士)を置く必要があります。土木設計業務等共通仕様書(案)も、管理技術者と照査技術者の資格として技術士やRCCMなどを挙げています。
主な資格は以下のとおりです。
| 資格名 | 種別 | 業務での位置づけ |
|---|---|---|
| 技術士(建設部門など) | 国家資格 | 建設コンサルタント登録の技術管理者の原則的な要件。管理技術者・照査技術者の資格の一つ |
| RCCM | 民間資格(建設コンサルタンツ協会が認定) | 管理技術者・照査技術者の資格の一つ |
| 技術士補 | 国家資格 | 技術士第一次試験に合格し、登録を受けた者 |
日本技術士会の統計によると、令和7年度の技術士第二次試験(建設部門)は受験者14,094人に対して合格者1,304人で、合格率は9.3%でした。RCCMは2025年度の試験の合格率が34.4%、登録者数は2026年3月31日現在で35,004人です。
AIを使いこなす技術者になる
AIが定型的な作業を補助するようになると、技術者にはAIを道具として使う知識が求められます。
習得すべきAI・デジタル技術の主な領域は次のとおりです。
- 生成AI活用:設計仕様書の自動生成、報告書ドラフト作成、議事録整理などの上流業務への適用
- BIM/CIM操作:国土交通省の直轄の土木業務・工事では令和5年度から原則適用。建築確認では、BIMで作成した図面を審査するBIM図面審査が2026年4月に始まり、BIMデータそのものを審査するBIMデータ審査は2029年春に導入される予定
- 点検AIの読み解き:橋梁・トンネルの画像解析AI、ドローン点検データの活用能力
- 点群データ処理:ドローンやレーザー測量で取得した点群データを、設計や維持管理に使う技術の理解
AIが得意とするのは定型業務の高速処理です。技術的な判断、発注者との合意形成、地域の特性への対応など、経験と対話が必要な領域は、引き続き技術者が担います。
成長分野の専門性を深める
ここまでに見た公的な資料から、今後も業務が見込まれる分野を整理します。
- 維持管理・点検:建設後50年以上の施設が増えるため、点検・診断・補修設計・長寿命化計画の業務が続く
- 防災・減災、国土強靱化:第1次国土強靱化実施中期計画(令和8〜12年度)が114施策、おおむね20兆円強程度の事業規模を示している
- 発注者支援:発注者の体制を補うため、発注関係の事務や監督の補助を担う業務
- 海外のインフラ整備:主要70社の海外業務受注総額は2024年度に約806億円で、アジアが52%を占める
建設コンサルタンツ協会の白書で会員企業のコンサルタント部門の売上高(2025年度の集計)を部門別に見ると、道路が2,290億円(17.5%)、鋼構造及びコンクリートが2,106億円(16.1%)、河川・砂防及び海岸・海洋が1,957億円(15.0%)で、この3部門で約半分を占めます。
資格、AIの活用、専門分野の3つを組み合わせることが、業務の変化への備えになります。
まとめ:建設コンサルタントはなくならず役割が変化する
建設コンサルタントがなくなるといわれる理由と、なくならない根拠、将来性や生き残る方法を解説しました。公共事業関係費はピークの6割程度で、AIの活用も進んでいますが、インフラの維持管理や防災に関する業務は公的な計画や推計で長期にわたって見込まれています。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- なくなる説の背景は公共事業縮小とAIの進展
- インフラ老朽化と防災で需要は底堅い
- 資格とAI活用力が生き残りの鍵
将来性の根拠と必要なスキルを把握できたことで、建設コンサルタントとして長く活躍する道筋を描けます。
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建設コンサルタントがなくなるかに関するよくある質問
参考文献
- 社会資本の老朽化の現状と将来 - 国土交通省
- インフラ長寿命化計画(行動計画)第2次計画の策定 - 国土交通省
- 建設コンサルタントの現状 - 建設コンサルタンツ協会
- 国土交通省所管分野における社会資本の将来の維持管理・更新費の推計(平成30年度)- 国土交通省
- 令和8年度国土交通省・公共事業関係予算のポイント - 財務省
- 第1次国土強靱化実施中期計画(概要)- 内閣官房
- 測量業は22年連続減少、建設コンサルタント、地質調査業は横ばい(建設関連業登録業者数調査 令和8年8月28日)- 国土交通省
- 令和8年度 建設コンサルタント白書 - 建設コンサルタンツ協会
- 令和8年度 建設コンサルタント白書 資料編 - 建設コンサルタンツ協会
- 最近の建設業を巡る状況について 参考資料集(令和8年4月3日)- 国土交通省
- i-Construction 2.0を策定しました(令和6年4月16日)- 国土交通省
- 土木設計業務等共通仕様書(案)令和8年度版 第1編 共通編 - 国土交通省
- 2026年春、建築確認におけるBIM図面審査を開始 - 国土交通省
- 令和7年度技術士第二次試験 統計 - 日本技術士会
執筆者
編集部
Construction DX 編集部は、建設DX・建設テック・業界動向に関するニュースや解説記事を制作する編集チームです。最新の技術・市場・制度・導入事例をわかりやすく整理し、建設業界のDX推進に役立つ情報を中立的な視点で発信しています。
監修者
リサーチチーム
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