建築BIM加速化事業の条件と後継事業の違いを解説【2026年】
この記事のポイント
建築BIM加速化事業は、複数事業者が連携してBIMデータを活用するプロジェクトの設計費や工事費を補助する制度です。2026年現在は後継の「建築GX・DX推進事業」が実施されています。本記事では、補助対象の要件や経費の範囲、jGrantsでの申請手順を分かりやすく解説します。
「建築BIM加速化事業の補助金を受け取りたいけれど、自社が対象になる要件や経費がよくわからないし、後継事業である建築GX・DX推進事業に今からでも間に合うのか知りたい。」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- 建築BIM加速化事業の概要と最新の公募状況
- 補助金の対象事業者とプロジェクトの要件
- 具体的な補助対象経費と申請手順
建築BIM加速化事業は終了しましたが、後継の建築GX・DX推進事業の条件を満たせば、設計費や工事費の負担を軽減してBIMを導入できます。
本記事を読めば、申請に必要な具体的な手順や、2026年現在の最新の後継事業「建築GX・DX推進事業」との違いまで理解できます。ぜひ最後までお読みいただき、建設DXの一歩を踏み出してください。
建築BIM加速化事業の概要と最新の公募状況
建築BIM加速化事業が創設された目的
建築BIM加速化事業は、建築分野でのBIMの普及を後押しするために、令和4年度補正予算で創設された国土交通省の補助事業です。中小事業者が建築BIMを活用する建築プロジェクトを支援し、設計から施工、維持管理に至るプロセスでの生産性向上を目指しました。BIMそのものの基礎はBIMとはの記事で解説しています。
従来の建築業界では、BIMの導入コストや運用の難しさが課題となっていました。そこで国が費用の一部を補助し、民間事業者によるBIM導入を後押しする仕組みが用意されました。
特徴は、複数の事業者が連携してBIMデータを活用するプロジェクトを対象にした点です。元請事業者が下請事業者のBIM導入を支援する形をとることで、中小事業者への普及が図られました。
令和5年度から令和6年度にかけた実施概要
本事業は令和4年度補正予算で創設されました。令和5年度補正予算では60億円の国費が投じられ、令和6年度まで実施されています。
具体的には、BIMモデルの作成やBIMライセンスの購入費用などが補助対象となりました。また、元請事業者が下請事業者のBIM導入を支援する仕組みも導入されています。
国土交通省は、令和4年度補正予算による支援を通じて、地方都市の案件、小規模な案件、改修案件でもBIM活用のニーズが高いことが分かったとしています。この結果が、LCCO2評価(建築物のライフサイクル全体のCO2排出量の評価)への支援と一体になった後継事業へ引き継がれました。
2026年現在の後継事業である建築GX・DX推進事業の公募状況
2026年現在、建築BIM加速化事業は終了しており、令和7年度からは後継の「建築GX・DX推進事業」が実施されています。建築物のLCCO2評価によるCO2削減(GX)と、建築BIMの普及拡大による生産性向上(DX)を一体的に支援する事業です。令和8年度の当初予算は73億円です。
令和8年度の日程と補助区分は次のとおりです。
- 代表事業者・事業者の登録:令和8年4月7日から12月31日まで
- BIM活用事業者登録:令和8年8月6日から12月31日まで
- 交付申請:令和8年7月1日から9月30日まで(新規・既存のプロジェクトとも同じ期間)
- 補助区分:BIMを活用するプロジェクトの設計費・建設工事費を補助する「BIM活用型」と、LCCO2評価の費用を補助する「LCCO2評価実施型」の2種類
- 令和8年度の特徴:設計でBIM図面審査を行うプロジェクトは、BIMコーディネーター、BIMマネジャー、BIMモデラーの人件費の上限額が設けられない
交付申請は、総額が予算額に達すると打ち切られます。実施支援室の2026年9月29日のお知らせによると、予算額73億円に対する交付申請額は70億1,500万円(96.1%)です。予算の上限に達した後、または9月30日より後に提出された交付申請は仮受付となり、その時点では予算が確保されません。これから申請を考える場合は、実施支援室のサイトで最新の執行状況を確認します。
申請には、国の補助金申請システム「jGrants」を使います。利用にはGビズIDのアカウントが必要なため、早めに取得しておきます。
建築BIM加速化事業の補助対象者となる条件
ここからは、現行の建築GX・DX推進事業のうち、建築BIM加速化事業を引き継ぐ「BIM活用型」の要件を、令和8年度の募集要領にもとづいて解説します。 対象となる事業者やプロジェクトの要件を順に見ていきましょう。
補助対象に含まれる事業者の要件
BIM活用型では、複数の事業者が連携してBIMを活用する体制が求められます。 元請事業者等が代表事業者となり、代表事業者のほかに少なくとも1者以上の設計者または施工者がBIMを導入することが要件です。設計業務では、建築主から直接設計を依頼される意匠設計事務所などが元請事業者等にあたります。
代表事業者は、建築士事務所として登録された者か、建設業の許可を受けた者である必要があります。建築BIMの利用経験は問われません。 あわせて、次の要件を満たします。
- 元請事業者等が、下請事業者等によるBIMの導入を支援する
- BIMを活用する全事業者がBIM活用事業者登録制度に登録し、補助事業の完了後3年間、BIMの活用状況を報告する
- 元請事業者等が、整備する建築物について、維持管理の効率化に資するBIMモデルを整備する旨を宣言する
- 補助事業の活用実績に応じて、BIM活用推進計画を策定する(活用初年度の下請事業者等を除く)
補助対象に指定されているプロジェクトの規模
BIM活用型には、延べ面積の最低要件がありません。小規模な建物も対象になり、改修プロジェクトも含まれます。 ただし、整備する建築物には次の要件があります。
- 耐火建築物等または準耐火建築物等であること
- 建築物エネルギー消費性能基準(省エネ基準)に適合すること(改修の場合は規制対象の建築物に限る)
- 土砂災害特別警戒区域など、募集要領が定める災害リスクの高い区域での住宅の新築でないこと
また、新築する建築物が、敷地に接する道路の中心線以内の地区面積1,000㎡以上、延べ面積1,000㎡以上、地階を除く階数3以上のすべてにあてはまる場合は、国土交通省が定める利用方法でBIMを活用する必要があります。クラウド上でのモデル共有による合意形成、BIMデータの重ね合わせによる干渉チェック、施工計画での活用、BIM図面審査での活用などが挙げられています。
補助限度額は延べ面積に応じて変わります。金額は次の章の表で確認できます。
代表事業者と連携事業者の関係性
申請では、代表事業者と協力事業者(下請事業者等)が役割を分担します。 交付申請や実績報告などの手続きは、代表事業者が全体をとりまとめて行います。補助を受けようとする協力事業者は、必要な情報を代表事業者に伝えます。
たとえば、元請の施工会社が代表事業者となり、下請の専門工事会社が協力事業者として参加する形です。 BIMソフトウェアの利用費、パソコンなどの関連費、CDE環境の構築費・利用費、BIM講習の実施費用は、代表事業者が費用を負担して協力事業者に現物給付やサービス提供を行う形も認められます。この場合は、代表事業者と協力事業者の間で共同事業実施規約等を結ぶ必要があります。
事業者を追加する場合や補助対象経費を変更する場合は、交付申請の変更手続きが必要です。 役割分担と費用負担を先に決めておくと、申請後の手戻りを減らせます。
建築BIM加速化事業で補助対象となる経費と補助率
BIM活用型では、BIMモデルの作成や関係者間のデータ連携にかかる経費の一部が補助されます。 補助対象経費は次の7つです。
- BIMソフトウェア利用費
- BIMソフトウェア関連費(パソコンやARゴーグルのリース料など)
- CDE環境の構築費、利用費
- BIMコーディネーターの人件費
- BIMマネジャーの人件費
- BIM講習の実施費用
- BIMモデラーの人件費(対象に制限あり)
補助率は対象経費の2分の1です。 補助限度額は対象プロジェクトの延べ面積によって異なり、設計費と建設工事費のそれぞれに設定されています。
令和8年度の補助限度額は次のとおりです。
| 延べ面積の区分 | 設計費の補助上限額 | 建設工事費の補助上限額 |
|---|---|---|
| 10,000㎡未満 | 2,500万円 | 4,000万円 |
| 10,000㎡以上 30,000㎡未満 | 3,000万円 | 5,000万円 |
| 30,000㎡以上 | 3,500万円 | 5,500万円 |
人件費には事業者ごとの上限もあります。BIMコーディネーターとBIMマネジャーの人件費は、それぞれ1事業者あたり500万円です。BIMモデラーの人件費のうちモデル作成にかかるものは、区分ごとに1事業者あたり1,000万円です。設計でBIM図面審査を行うプロジェクトは、これらの上限額が設けられません。
BIMモデル作成にかかる設計費の補助範囲
設計段階で補助されるのは、設計のBIMモデルを作成し、関係者と共有するための経費です。 BIMモデリングソフトのほか、アドオンソフトやビューワーソフトなど、BIMを利用するために必要なソフトウェアの利用費が含まれます。補助対象となるソフトウェアの条件と一覧は、実施支援室のサイトで公開されています。ソフトごとの特徴はBIMソフトの比較の記事で整理しています。
BIMデータをクラウド上で共有するためのCDE環境の構築費や利用費、BIMモデラーの人件費も対象です。 BIMモデラーの人件費のうち導入初期のモデル作成にかかるものは、従業員が1,000人を超える元請事業者等と、事業を最初に活用した年度から4年度目以降の事業者は対象外です。令和6年度までに建築BIM加速化事業を活用した事業者は、活用初年度を2年度目とみなします。
BIMデータ活用にかかる建設工事費の補助範囲
施工段階で補助されるのは、施工のBIMモデルを作成し、現場で活用するための経費です。 ソフトウェアの利用費やパソコンのリース料のほか、各事業者が作成したBIMモデルの統合、干渉チェック、調整を担うBIMマネジャーの人件費が対象になります。施工段階での使い方は施工BIMの記事で解説しています。
元請事業者等と下請事業者等が作成した施工BIMモデルの統合・調整を行い、BIMマネジャーを補助するBIMモデラーの配置費用も対象です。 維持管理BIMモデルの作成にかかるBIMモデラーの費用は、そのモデルを発注者に提供する場合に限り対象になります。
補助金の対象から除外される経費の具体例
補助対象になるのは、補助事業の期間に発生した費用です。 代表事業者の登録の申請日以降に契約や購入をしたものが対象で、それより前のものは対象になりません。登録の申請日から交付決定までの間に発生した経費も対象になりますが、交付決定を受けない経費は補助されません。
募集要領が対象外としている主な例は次のとおりです。
- 設計業務が完了している場合の、設計事務所によるソフトウェアの購入費など
- 躯体工事が完了している場合の、躯体工事のみを請け負った施工業者によるソフトウェアの購入費など
- 2万円以上の備品(ソフトウェアなどを含む)の、プロジェクト終了時点の残存価値分
- 市場価格や定価より高い金額が設定された利用料、購入価格、人件費
- BIMマネジャーが、所属する事業者が行うべき業務のみのBIM作成を行う時間の人件費
- 補助対象のプロジェクトで用いないBIMソフトウェアの講習会の受講料
パソコンなどの周辺機器は、BIMソフトウェアの導入とあわせて導入する場合に限り対象になります。
建築BIM加速化事業を申請する手順と審査のポイント
建築BIM加速化事業を引き継いだ建築GX・DX推進事業の補助金を受けるには、定められた手順に沿って手続きを進めます。令和8年度の流れを順に確認します。
①:jGrantsでオンライン申請を行う
交付申請には、国の補助金申請システムであるjGrantsを使います。利用には、GビズIDプライムまたはGビズIDメンバーのアカウントが必要です。 GビズIDプライムの申請方法は、オンライン申請と書類申請の2つです。書類申請は審査に最大1か月かかるため、申請を検討する段階で取得を始めます。
オンライン申請を使えるかどうかは、事業区分やマイナンバーカードの保有状況によって変わります。必要な書類はGビズIDのサイトで確認できます。
②:代表事業者が事業の登録を進める
次に、代表事業者が実施支援室に応募し、登録を受けます。応募の際には、補助事業の活用を考えているプロジェクトと補助金の見込額も登録します。 実施支援室が内容を確認して登録を行い、代表事業者に登録通知を送ります。
| 区分 | 主な役割 | 登録 |
|---|---|---|
| 代表事業者 | 元請事業者等。プロジェクト全体の窓口となり、登録、交付申請、実績報告をとりまとめる | 実施支援室に応募して登録を受ける |
| 協力事業者 | 下請事業者等。代表事業者と連携してBIMを導入・活用する | 交付申請の際に、補助を受ける事業者として申請する |
補助対象になるのは、代表事業者の登録の申請日以降に契約や購入をしたものです。登録は補助金の交付を保証するものではないため、交付決定を受けるまでは対象経費が確定しない点に注意します。
③:BIM活用計画を作成して提出する
交付申請の前に、BIMを活用する全事業者がBIM活用事業者登録制度に登録します。ポータルサイトで自社のBIMの取組状況を入力し、登録完了の確認書を交付申請の際に提出します。 活用年度や事業者の区分に応じて、BIM活用推進計画として次の項目の目標も登録します。
- BIM活用方針:受託案件のうちBIMを活用する案件の割合、BIMを活用できる人数の割合、基本設計・実施設計・積算・施工図の作成・工程管理・維持管理など業務ごとの活用状況
- BIM活用の工程計画:BIM専門の部署の設置、社内ルールやマニュアルの整備、自社独自のオブジェクトやテンプレートの導入、BIMに関する教育
目標は事業完了の3年後を見すえて登録し、当該年度と事業完了後3年間、毎年の進捗を報告します。事業の活用後、合理的な理由なくBIM活用がまったく図られていない場合は、個別の事情を確認したうえで事業者名が公表される可能性があります。
登録を終えたら、プロジェクトごとに交付申請を行い、交付決定を受けます。事業の終了後に実績報告を行い、補助金の額が確定してから支払われる流れです。
まとめ:建築BIM加速化事業を活用して建設DXを加速させましょう
建築BIM加速化事業は、複数の事業者が連携してBIMデータを活用するプロジェクトを支援した制度で、現在は建築GX・DX推進事業に引き継がれています。BIM導入に伴う初期コストを抑える手段として、現行制度の要件と日程を確認しておきましょう。
本記事のポイント
- 設計費や工事費などが補助金の対象となる
- 代表事業者と連携事業者が共同で申請を行う
- 後継事業である建築GX・DX推進事業へ刷新されている
補助金を活用してBIMを導入することで、業務効率化や取引先からの信頼獲得に繋がります。社内のデジタル化を進める大きなきっかけとなるはずです。
補助金の要件確認や申請の準備について、まずは専門家へ相談することをおすすめします。
建築BIM加速化事業に関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
Construction DX 編集部は、建設DX・建設テック・業界動向に関するニュースや解説記事を制作する編集チームです。最新の技術・市場・制度・導入事例をわかりやすく整理し、建設業界のDX推進に役立つ情報を中立的な視点で発信しています。
監修者
リサーチチーム
Construction DX リサーチチームは、建設DX市場や最新技術、法制度、国内外の事例を継続的に調査・分析する専門チームです。公開情報や一次情報をもとに内容を検証し、正確性・信頼性の高いコンテンツ制作を支援しています。
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