BIM 360とは?ACCへの移行方法と廃止スケジュール【2026】
この記事のポイント
BIM 360はオートデスクが提供する建設プロジェクト向けCDEで、図面や3DモデルをクラウドでリアルタイムにRhino連携・共有できます。2026年現在は後継のAutodesk Construction Cloud(ACC)への移行が推奨されており、廃止スケジュールや機能変更への対応が急務です。本記事では機能比較・BYOSライセンスの仕組み・移行手順チェックリストを解説します。
「BIM 360のサポート終了や廃止のスケジュールを知りたいけれど、後継のAutodesk Construction Cloud(ACC)との違いや既存データの具体的な移行手順まで把握したい。」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- BIM 360の基本機能と役割
- 後継プラットフォームであるACCとの違いやライセンスの比較
- 廃止スケジュールと既存プロジェクトデータの移行手順
BIM 360の概要と終了時期を理解し、正しい移行手順を踏むことで、クラウド環境でのBIMデータ運用を安全に継続できます。
本記事を読めば、移行時に役立つツールの情報や、BYOS(持ち込みライセンス)の仕組みまで詳しく分かります。ぜひ最後までお読みいただき、ACCへのスムーズな移行計画に役立ててください。
BIM 360の基本機能とプロジェクト管理における役割
BIM360とは、Autodesk社が提供する建設プロジェクト向けのクラウド型プラットフォームであり、BIMソフトの比較で取り上げられる設計ソフト群とは異なる役割を担います。設計から施工、維持管理に至るまでのプロセスで発生する情報をクラウド上で一元管理します。
これにより、共通データ環境(CDE)が構築されて建設DXが大きく推進されます。2026年現在では、後継である「Autodesk Construction Cloud(ACC)」への統合が進む重要なツールです。
クラウド上で図面やモデルを共有するBIM 360 Docsの役割
BIM 360の土台となるのが「BIM 360 Docs」と呼ばれるドキュメント管理機能です。関係者全員がクラウド上の同じフォルダにアクセスし、図面や3Dモデルをリアルタイムで共有します。
これにより、古い図面での誤作業や手戻りを防ぐことが可能です。特に施工BIMの現場では常に最新バージョンが反映されるため、安全にプロジェクトを進められます。
また、図面上へのマークアップや指摘事項(Issue)の記録も容易です。これにより、指示の内容や履歴がクラウド上に残り、確認ミスを防げます。
アクセス権限は、設計や施工といった「役割」ごとに細かく設定可能です。関係者の入れ替わりがあっても、権限管理の負担を軽減できます。
異なるメンバーが同時に共同編集を行う設計連携の機能
3Dモデルを用いた設計段階では、複数の担当者が同時に同じデータを編集する「設計連携」が不可欠です。この共同編集を実現するために、専用の連携機能が用意されています。
RevitなどのCADソフトと連携し、クラウド上で中央モデルを共有する仕組みです。これにより、離れた拠点同士でもリアルタイムで設計作業を進められます。
なお、この同時編集を行うには「BIM Collaborate Pro」などの上位機能が必要です。BIM 360 Docsだけでは同時編集ができないため、目的に応じたライセンス設計を行います。
変更履歴が自動で記録されるため、誰がどこを修正したかが一目で分かります。データの競合や上書きミスを防ぎ、設計品質の向上に寄与する機能です。
建設プロジェクトの各フェーズを結ぶデータ管理の仕組み
改めてBIMとは何かを踏まえると、BIM 360は、設計から施工、維持管理までの各フェーズでデータを途切れさせない仕組みを提供します。各フェーズで蓄積されたデータは、後工程での有効な活用が可能です。
具体的なフェーズごとの役割やデータ管理の内容は以下の通りです。
| フェーズ | 主なデータ管理の内容 | BIM 360(ACC)での具体的な役割 |
|---|---|---|
| 設計 | 3Dモデルの作成と履歴管理 | クラウド上で中央モデルを共有し、複数人で同時編集を行う |
| 施工準備 | 干渉チェックや施工計画の検討 | 異なる専門分野のモデルを統合し、干渉箇所を可視化する |
| 施工 | 現場での最新図面確認と指摘事項の記録 | モバイル端末から最新データにアクセスし、不具合を現場で記録する |
| 維持管理 | 竣工データの引き渡しと施設管理 | 施工中に蓄積した情報を建物ライフサイクルの管理データに活用する |
このように、データが一貫して引き継がれることで、建物全体のライフサイクルコスト削減につながります。これが、BIMのCDEとしても機能する、建設プロジェクト管理におけるBIM 360の最大の強みです。
後継であるAutodesk Construction Cloud(ACC)との違い
旧製品から新プラットフォームへの対応と移行マップ
BIM 360から次世代のAutodesk Construction Cloud(以下、ACC)への移行は、プラットフォームの統合と標準化が進められています。 2026年現在、新規プロジェクトはACCで作成することが推奨されており、既存のBIM 360プロジェクトはそのまま継続して利用可能です。
オートデスク社が建設業界全体のデータを一元管理する方針をとっているからです。 両プラットフォームは裏側で繋がっていますが、BIM 360からACCへの自動データ移行ツールは提供されていません。
たとえば、既存のBIM 360プロジェクト内の図面やデータをACCに移行させるには、手動でのデータ移動が必要です。 PC用の「Autodesk Desktop Connector」を活用して、ファイルをダウンロードした後にアップロードし直す方法が一般的になります。
そのため、将来のプロジェクトを見据えて、徐々にACCへ移行するロードマップを描く必要があります。 まずは新しく立ち上げるプロジェクトからACCでの運用を開始すると良いでしょう。
自社のライセンスを持ち込むBYOS方式における挙動の差
BIM 360とACCでは、自社ライセンスを持ち込むBYOS(Bring Your Own Subscription)の挙動が大きく異なります。特定ベンダーに依存しないopenBIMの考え方とは別の論点として、 ACCでは、プロジェクトに参加するメンバー全員が各自でライセンスを契約している状態が前提です。
BIM 360の時は主催者が外部メンバーにライセンスを貸し出す運用が多かったのに対し、ACCはユーザーライセンスの紐付けが強化されたためです。 これにより、主催者のライセンス枠を圧迫せずに協力会社を招待できます。
以下に、BIM 360とACCにおけるライセンスの仕組みと違いをまとめました。
| 項目 | BIM 360の挙動 | ACCの挙動 |
|---|---|---|
| 基本モデル | 主催者によるライセンス貸与 | BYOS(各自の持ち込み)が基本 |
| 招待された側の費用 | 主催者負担のため不要なケースあり | 参加者自身がサブスクリプションを保有 |
| メリット | 協力会社が手軽に参加できる | 主催者がライセンス費用を全額抱えずに済む |
このように、ACCでは各社がライセンスを持ち寄って共同作業を行います。 協力会社にプロジェクトへの参加を依頼する際は、事前にライセンス契約の有無を確認してください。
直感的なマークアップや指摘事項管理の変更点
図面へのマークアップや指摘事項(Issue)の管理機能も、BIM 360からACCへ移行する中で変更が加えられています。 ACCでは、より社内のセキュリティや作業分担を意識した権限管理ができるようになりました。
組織ごとの情報開示ルールに対応し、外部企業との連携をスムーズにするためです。 ただし、一部の機能では挙動が異なるため注意を要します。
具体的には、ACCでは指摘事項を「自社メンバーのみ」に見せる限定的な公開設定が追加されました。 これにより、協力会社に見せたくない内部のメモや検討事項を安全に記録できます。
一方で、BIM 360で可能だった3Dモデルへの直接的なマークアップが、ACCでは制限されるなどの違いもあります。
これらの変更点を把握し、図面レビューの運用ルールをアップデートすることが大切です。 機能を上手に組み合わせることで、現場の指摘事項の処理速度が向上するでしょう。
BIM 360のサポート終了・廃止スケジュールと影響
BIM 360は長年多くの建設現場で利用されてきましたが、現在は後継のACCへの移行が進んでいます。ここでは、Autodesk公式のサポート終了スケジュールや、移行を行わない場合のリスク、データ移行の対策について解説します。
Autodesk公式が提示するサービス終了スケジュール
現在、次世代BIM 360プラットフォーム自体の具体的な廃止日は決定していません。しかし、新規機能の開発やアップデートは停止しており、現状維持のステータスとなっています。
一方で、BIM 360クラシックと呼ばれる一部の古い製品は、すでに終了または廃止スケジュールが提示されています。主な製品の廃止状況は以下の通りです。
| 製品名 | サービス終了時期 | 状況と影響 |
|---|---|---|
| BIM 360 Team | 2024年9月30日 | すでにサービスが終了しています。 |
| BIM 360 Glue | 2026年7月31日 | 間もなくサービスが完全に廃止されます。 |
| BIM 360 Plan | 順次サポート終了 | ACCへの移行が進められています。 |
このように、古い製品は段階的に終了しています。次世代BIM 360も将来的に廃止される可能性があるため、早めの移行準備が必要です。
移行を進めない場合に発生する実務上のリスク
BIM 360からACCへの移行を進めない場合、いくつかの実務的なリスクが発生します。まず、新機能の開発や改善が行われないため、他社と比べて作業効率が低下する可能性があります。
また、最新のOSやDesktop Connectorといった周辺ツールとの互換性が失われるリスクもあります。不具合が発生した際のサポート対応も、ACCと比べて優先度が下がる傾向があります。
さらに、外部の協力会社がACCへの移行を完了させた場合、プロジェクト間でのスムーズな連携が困難になります。その結果、自社だけが古いプラットフォームに取り残され、情報の孤立を招く懸念があります。
移行後も変わらずデータにアクセスするための対策
移行後も大切なデータへ確実にアクセスし続けるためには、いくつかの対策が必要です。最も簡単な対策は、現在進行中のプロジェクトはBIM 360のまま完了させ、新しいプロジェクトからACCで開始することです。
BIM 360にある既存データをACCへ移行したい場合は、オートデスクが提供するツールを活用できます。具体的な対策と手法は以下の通りです。
- Autodesk Replication Toolの利用:クラウド間でドキュメントデータをコピーできる公式ツールを申請して使用します。
- Desktop Connectorを使用した手動コピー:必要なファイルのみをローカルPC経由でドラッグアンドドロップして移行します。
- 定期的なバックアップとアーカイブ:重要なマイルストーンでプロジェクトデータをローカル環境にダウンロードして保管します。
これらの方法を組み合わせて実行することで、移行後もトラブルなく過去のデータにアクセスできます。自社のプロジェクト状況に合わせて、適切な移行計画を進めてください。
BIM 360からACCへデータを移行する手順と注意点
BIM 360から後継のACC(Autodesk Construction Cloud)へプロジェクトデータを移行する手順と注意点を解説します。現在、両者のデータをボタン一つで一括移行する標準機能は提供されていません。
そのため、プロジェクトの稼働状況に合わせて計画的に移行作業を進める必要があります。
①:既存プロジェクトの棚卸しと優先順位の整理
まずは、既存のBIM 360プロジェクトを棚卸しし、移行する優先順位を決定します。すべてのプロジェクトを一度に移行すると、混乱やミスが生じやすくなるためです。
稼働中のアクティブなプロジェクトを優先的に移行対象とし、完了した過去のプロジェクトはBIM 360に残すなどの分類を行います。移行するフォルダ構成の整理や不要なファイルの削除も、この段階で進めておきます。
②:移行ツールや手動を用いたデータ転記の実行
次に、プロジェクトの規模やデータ量に合わせて適切な移行方法を選択し、データの転記を実行します。移行方法には、手動でのコピーや専用の移行ツールを利用するなどの選択肢があります。
それぞれの移行方法における特徴と注意点を以下の表にまとめました。
| 移行方法 | 特徴とメリット | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 手動での移行 | WebブラウザやDesktop Connectorを使い、ローカルPC経由でファイルをコピーする手軽な方法です。 | 指摘事項やマークアップなどの管理履歴データは引き継がれません。 |
| Autodesk Replication Tool | オートデスク公式の移行支援ツールであり、フォルダやファイルをスムーズに転送できます。 | 事前に利用申請が必要なほか、Revitのクラウド設定などは再設定が必要です。 |
| サードパーティ製ツール | Cloudsferなどの外部移行サービスを使用し、大容量のデータを自動で転送します。 | 外部ツール自体のライセンス購入など、追加のコストが発生します。 |
手動で移行する場合は、Desktop Connectorを使用するとフォルダ単位でドラッグ&ドロップができるため便利です。ただし、いずれの移行方法でも指摘事項やレビュー履歴などのメタデータは移行できない点に注意してください。
また、Revitモデルのリンク設定やクラウドワークシェアリングの初期化は、移行先のACC環境で手動により再設定を行う必要があります。
③:新環境でメンバーの招待と権限設定を再現する
データ移行の完了後、新環境となるACCのプロジェクトへメンバーを招待し、アクセス権限を設定します。BIM 360のプロジェクトメンバー情報やフォルダ権限は、自動的にACCへ反映されないためです。
まずはACCの管理画面からユーザーのメールアドレスを登録し、役割(ロール)や所属会社を割り当てます。次に、フォルダごとにBIM 360と同等の権限設定を行い、関係者がスムーズにアクセスできるようにします。
最後に、通知ルールや指摘事項の担当設定などをACC上でテストし、業務が遅滞なく開始できることを確認して、新環境でのBIM活用に向けた移行作業は完了となります。
まとめ:BIM 360からACCへの移行を進め最新のクラウド環境を活用しましょう
BIM 360は長年多くの建設プロジェクトを支えてきましたが、サポート終了に向けて後継のACCへの移行が不可欠となっています。製品構成やライセンスの変更点を把握し、計画的に作業を進めることが重要です。
本記事のポイント
- 後継であるACCではマークアップやBYOSライセンス機能が進化している
- 廃止による実務トラブルを防ぐため早期の移行計画が必須となる
- 既存プロジェクトの棚卸しと移行ツールの活用が成功の鍵となる
最新のACC環境へ移行することで、より高速なビューワー機能や高度な指摘事項管理の恩恵を受けられ、現場のDXがさらに加速します。
自社のプロジェクトに合わせた具体的な移行のタイミングやライセンスの調整について、まずはオートデスクの代理店や専門ベンダーへ相談してみることをお勧めします。
BIM 360に関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
Construction DX 編集部は、建設DX・建設テック・業界動向に関するニュースや解説記事を制作する編集チームです。最新の技術・市場・制度・導入事例をわかりやすく整理し、建設業界のDX推進に役立つ情報を中立的な視点で発信しています。
監修者
リサーチチーム
Construction DX リサーチチームは、建設DX市場や最新技術、法制度、国内外の事例を継続的に調査・分析する専門チームです。公開情報や一次情報をもとに内容を検証し、正確性・信頼性の高いコンテンツ制作を支援しています。
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