BIMとCIMの違いとは?定義や適用分野、メリットを詳しく解説
この記事のポイント
BIMとCIMの違いについて解説。建築分野を対象とするBIMと、土木・インフラ分野を対象とするCIMの定義や適用フェーズの違い、導入メリット、課題を整理します。国土交通省の原則化への対策となる基礎知識を紹介。
「BIMとCIMという言葉の違いやそれぞれの定義が曖昧で、自社への導入にどう影響するのかが分からない」
こうした疑問に答えます。BIMとCIMの決定的な違いや基本の定義、導入メリットまで分かりやすく解説します。
本記事の内容
- BIMとCIMそれぞれの基本定義と役割の違い
- 対象構造物や適用フェーズに見る決定的な違い
- 導入によって得られるメリットと推進される背景
BIMとCIMの違いは、主に活用される対象分野にあります。BIMは建築分野を対象とするのに対し、CIMは土木やインフラ分野を対象とするのが特徴です。
本記事を読めば、BIMとCIMの違いや定義が整理でき、国土交通省が進める原則化への具体的な対応ステップが明確になります。まずは記事を読み進めて、自社の生産性向上への第一歩を踏み出しましょう。
BIMとCIMの違いに関する基本とそれぞれの定義
BIMとCIMは建設業界のDXを推進するための重要な技術です。言葉の響きは似ているものの、それぞれ異なる目的や背景を持っています。
まずはそれぞれの定義や違いについてわかりやすく整理します。
BIMの基本的な定義と特徴
BIMとは「Building Information Modeling」の略称で、読み方は「ビム」です。建物の3次元モデルを作成し、そこに部材の名称や材質、価格などの属性情報を追加して活用する仕組みを指します。
設計から施工、さらには維持管理に至るまで、建物のライフサイクル全体でデータを共有します。これにより、設計ミスを事前に防止したり、業務プロセス全体の生産性を向上させたりすることが可能です。
CIMの基本的な定義と特徴
CIMとは「Construction Information Modeling/Management」の略称で、読み方は「シム」です。主に橋梁やダム、道路などの土木分野やインフラ分野で活用されます。
BIMが建物そのものを対象とするのに対し、CIMは周囲の地形や地盤のデータも含めて3次元モデルを作成します。土木工事における広範囲なプロジェクト管理や情報共有を効率化するための日本独自の概念です。
3次元CADとBIMやCIMとの違い
3次元CADはコンピューター上で立体的な形状を描くための設計ツールです。これに対してBIMやCIMは、3次元の形状データに詳細な属性情報を付加して管理する点が決定的に異なります。
違いを表にまとめます。
| 項目 | 3次元CAD | BIM | CIM |
|---|---|---|---|
| 主な対象分野 | 設計・製図全般 | 建築(ビル・住宅など) | 土木(道路・ダムなど) |
| データの構成 | 3次元の形状データのみ | 形状データ+建材などの属性情報 | 形状データ+地形やインフラ情報 |
| 主な目的 | 図面作成や形状確認の効率化 | 建物ライフサイクル全体の連携 | インフラプロジェクトの全体管理 |
3次元CADは作図の効率化が主目的であるのに対し、BIMやCIMは属性情報を活用した業務効率化や生産性向上を目指します。用途や目的に応じて使い分けることが重要です。
国土交通省が推進する背景と目的
現在、国土交通省は建設DXの一環としてBIMやCIMの導入を強く推進しています。小規模な工事を除くすべての直轄工事において、BIM/CIMの原則適用を開始しました。
この取り組みの目的は、現場の生産性を高めて人手不足の課題を解決することです。3次元モデルの活用により、関係者間での合意形成がスムーズになり、事前シミュレーションによる手戻り削減も期待できます。
建築と土木の分野から見るBIMとCIMの違い
BIMとCIMは3次元モデルを利用する点では同じですが、それぞれが対象とする分野に大きな違いがあります。 それぞれの違いを整理することで、自社にどちらを導入すべきかが明確になります。
以下に、建築分野のBIMと土木分野のCIMの主な違いをまとめました。
| 項目 | BIM(建築) | CIM(土木・インフラ) |
|---|---|---|
| 対象分野 | 建築物(ビル、住宅など) | 土木構造物(道路、橋梁、ダムなど) |
| 主な適用範囲 | 建物単体とその内部設備 | 構造物に加えて周囲の地形や地質 |
| 属性情報の内容 | 壁の厚み、窓の性能、建具の品番など | 地盤の強度、コンクリート強度など |
| 推進する背景 | 民間建築の効率化や確認申請のデジタル化 | 国土交通省による公共工事の原則適用 |
このように、適用される業界や対象物の特性によって、求められる機能や情報の詳細度が変化します。
対象となる構造物の違い
BIMが対象とするのは、主にビルやマンション、戸建て住宅などの建築物です。 これらは壁や床、天井といった明確な境界に囲まれた、閉じた空間を持つ構造物となります。
一方でCIMが対象とするのは、道路や橋梁、ダム、トンネルといった土木構造物です。 これらは広大な土地に広がるため、周囲の自然地形や地質、道路網といった周辺環境との調和が不可欠となります。
建築物は規格化された部品を組み立てるのに対し、土木構造物は現地の地形に合わせて設計する点に違いがあり、この違いは現場で活用される施工BIMの運用方法にも影響します。
活用するフェーズや目的の違い
BIMは意匠設計や構造設計を担うBIM設計の段階から施工、建物の維持管理に至るライフサイクル全体で活用されます。 3次元モデルを共有し、干渉チェックなどで設計ミスを未然に防ぐのが目的です。
CIMも同様に一連のプロセスで使われますが、特に調査や計画といった初期段階での活用が重視されます。 広範な地形データを基に、土砂崩れシミュレーションや環境影響評価を行うためです。
また、2026年4月からは建築確認申請でのBIM図面審査が開始されており、建築分野でのデジタル化がさらに加速しています。 公共工事の原則適用が先行していた土木分野に追いつく形で、それぞれの利活用が進んでいます。
3次元モデルに付加する属性情報の違い
BIMモデルには、窓やドアなどの建具の寸法、壁の材質、設備のメーカー名といった建築物の詳細な情報を付加します。 これにより、詳細な見積もりや施工手順のシミュレーション、建物完成後のメンテナンスがスムーズになります。
対してCIMモデルには、地盤の強度や地質データ、コンクリートの圧縮強度などの情報を付加します。 土木工事では自然環境の影響を強く受けるため、目に見えない地下や地表の情報をモデル上で一元管理することが重要です。
付加される属性情報は以下の通りです。
- BIM:建築部材のメーカー、品番、寸法、防火性能
- CIM:地質データ、土量、コンクリート強度、配筋情報
これらの属性情報を適切に管理することで、工事の品質確保や将来の修繕計画に役立てることができ、関係者間でデータを一元管理するBIMのCDEの整備も欠かせません。
BIMとCIMの違いから見る導入メリット
BIMとCIMを導入することで、建設DXの推進に繋がる多様なBIM活用のメリットが得られます。それぞれの技術で得られるメリットの違いを表に整理しました。
| 項目 | BIMのメリット(建築) | CIMのメリット(土木) |
|---|---|---|
| 対象物 | 住宅やビルなどの建築物 | 道路や橋梁などのインフラと周辺地形 |
| 主な目的 | 建物内部の設計と空間活用 | 周辺インフラとの調和や地形計画 |
| 生産性向上 | 建物内部の構造や設備の干渉回避 | 広域データによる土量計算の自動化 |
| 合意形成 | 施主やオーナーとの円滑な合意 | 発注者や地元住民への説明性向上 |
| シミュレーション | 日照影響や建物内の気流の解析 | 周辺環境の分析や土砂災害リスク評価 |
業務プロセス全体の生産性を向上させる
BIMやCIMを導入する最大のメリットは、業務全体の生産性を大幅に引き上げることです。設計の初期段階で3次元モデルを構築し、設計ミスや部材の干渉を未然に防ぐフロントローディングを実現できます。
施工段階での手戻りが減少するため、工事全体の工期短縮や余計なコスト削減に直結します。3次元モデルのデータを活用した資材数量の自動算出や、ICT建機を用いた施工との連携も作業時間を削るポイントです。
生産性向上の具体的な要素は以下のとおりです。
- 設計初期の干渉チェックによる手戻り防止
- 3次元データからの資材数量の自動算出
- ICT建機と連携した施工の効率化
関係者間での合意形成を迅速にする
BIMやCIMの活用は、関係者間の意思疎通と意思決定のスピードアップに大きく貢献します。2次元の平面図ではイメージしにくい複雑な完成形を立体的に表現できるため、認識のズレが生まれません。
直感的な理解が可能となり、発注者や施工会社、さらには周辺住民との協議がスムーズに進行します。住民説明会でも3次元モデルを示す手法により、工事の必要性や安全対策への理解が深まり手続きも早まる傾向。
合意形成が早まる具体的な対象は以下のとおりです。
- 意匠や構造の確認を行う施主や事業主
- 工法や施工計画を調整する協力会社
- 工事の騒音や安全対策に懸念を持つ周辺住民
3次元モデルを活用して事前シミュレーションを行う
3次元モデルのデータを用いることで、施工前に多様な環境や安全性のシミュレーションが可能です。重機の配置位置や資材の搬入動線を仮想空間で再現し、現場で発生し得る危険を事前に排除できます。
周辺への日影影響やビル風の発生、熱の流れといった複雑な環境シミュレーションを自社で回せる利点もあります。外部への解析委託費用の節約に加え、設計のクオリティを高められるメリットも見逃せません。
事前に行う代表的なシミュレーションは以下のとおりです。
- 重機の動線や配置における安全確認
- 建物周辺の日照やビル風などの環境影響
- 避難経路の安全性や人流の動線解析
BIMとCIMの違いを踏まえた導入課題
BIMとCIMは建設DXを支える中核技術ですが、その違いや特性の違いによって現場での導入にはいくつかの課題が存在します。それぞれの特徴を正しく理解し、自社の課題に合わせた対策を講じることが成功の鍵です。
専門知識を持つ人材が不足している
BIMやCIMを導入する上で最も大きな障壁となるのが、3次元モデルを扱える専門人材の不足です。これらは従来の2次元CADとは操作性や概念が大きく異なるため、社内で使いこなせるようになるには時間がかかります。
人材不足が発生する具体的な理由は以下の通りです。
- 3次元設計ソフトの操作習得までに長期間の教育期間が必要であること
- 外部から経験豊富な技術者を採用することが極めて困難であること
- 若手への技術伝承や社内育成のカリキュラムが整備されていないこと
専門知識を持った人材の不足は、導入のハードルを上げる大きな要因となっています。
ソフトウェア導入や環境整備のコストがかかる
BIMとCIMの導入には、高額な初期費用とランニングコストが必要です。建築用のBIMソフトと土木用のCIMソフトでは、専門とする機能が異なるため、それぞれに応じたツールやライセンスを購入しなければなりません。
必要なコストと環境整備の主な項目を表にまとめました。
| 項目 | 必要な整備内容と費用例 |
|---|---|
| ソフトウェア | 専門性の高い3D CADソフトのライセンス費用(RevitやCivil 3Dなど) |
| ハードウェア | 3次元モデルを滑らかに描画するための高スペックパソコンやグラフィックボード |
| クラウド環境 | 関係者間で大容量データを共有・保管するための共有データ環境(CDE)の構築費用 |
これらの導入コストに加えて、定期的なソフトウェアの更新費用やサーバーの維持管理費も発生するため、企業の財政的な負担は決して小さくありません。
国土交通省が定める基準への対応が難しい
国土交通省は2023年度から公共工事におけるBIM/CIMの原則義務化を開始しており、2026年現在もその対応要領や基準に適合させる難しさが課題となっています。土木分野(CIM)では、地形や地質などの複雑な自然データを扱うため、国が定める詳細度(LOD)を満たすデータ作成は容易ではありません。
基準への対応が困難とされる具体的な理由は以下の通りです。
- 国土交通省が定める「BIM/CIM取扱要領」や「3次元モデル表記標準」の内容が多岐にわたり複雑であること
- 発注元から求められるデータの詳細度がプロジェクトごとに変化すること
- 作成した3次元データが他のプロセスやソフトウェアとスムーズに連携できないこと
これらの多様なガイドラインへの対応は、実務担当者にとって大きな業務負担となっています。
関連する資格を取得してスキルを証明する
BIMやCIMの導入課題を解決し、自社の技術力を対外的に証明する有効な手段が、専門資格の取得です。土木分野では、国土交通省の登録資格である「BIM/CIM管理技士」を取得することで、公共工事の入札において大きな優位性を得られます。
BIMやCIMに関連する代表的な資格は以下の通りです。
- BIM/CIM管理技士(公共工事のデータ管理部門で加点対象となる国土交通省登録資格)
- オートデスク認定プロフェッショナル(RevitやCivil 3Dの操作スキルを証明する資格)
- BIM利用技術者試験(BIMの基礎知識から実践的な技能までを幅広く測定する資格)
これらの資格取得を社内で推奨することで、技術者のモチベーション向上と人材不足の解消を同時に図ることができます。
まとめ:BIMとCIMの違いは対象分野にあり自社の専門領域に合わせて導入するべき
本記事では、建設業界のDX推進において重要なBIMとCIMの違いについて、それぞれの定義や特徴、導入メリットを解説しました。両者の最大の違いは建築か土木かという点にあります。
本記事のポイント
- BIMとCIMの違いは適用する対象分野(建築か土木か)にある
- 土木を対象とするCIMは周辺環境や地形データとの連携が重要
- 高額な導入コストや人材不足の課題に対し段階的な計画と教育で備える
BIMとCIMのそれぞれの違いを正しく理解し、自社の専門領域やプロジェクトに合わせて適切な技術を導入することが重要です。この技術を活用して、生産性の向上に繋げてください。
BIM/CIMの導入計画や最適なソフトウェアの選定でお悩みの際は、お気軽に弊社までお問い合わせください。経験豊富な専門家が、お客様の実務に即した導入支援を提供します。
BIMとCIMの違いに関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
Construction DX 編集部は、建設DX・建設テック・業界動向に関するニュースや解説記事を制作する編集チームです。最新の技術・市場・制度・導入事例をわかりやすく整理し、建設業界のDX推進に役立つ情報を中立的な視点で発信しています。
監修者
リサーチチーム
Construction DX リサーチチームは、建設DX市場や最新技術、法制度、国内外の事例を継続的に調査・分析する専門チームです。公開情報や一次情報をもとに内容を検証し、正確性・信頼性の高いコンテンツ制作を支援しています。
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