ゼネコン働き方改革の実態とは?大手・中堅の取り組み事例集
この記事のポイント
ゼネコン働き方改革では2024年問題により時間外労働の上限規制が適用され、日建連会員の現場で4週8閉所以上の割合は2019年度の26.3%から2024年度に61.0%へ伸びる一方、大手ゼネコン5社の平均残業は月50時間超と業界平均の2倍以上で残る。
「ゼネコン働き方改革で本当に残業や休日出勤は減っているのか、2024年問題への対応が進んでいるとされていても現場の実態とのギャップが気になってしまう」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- ゼネコン働き方改革の背景と2024年問題の整理
- 大手ゼネコンの具体的な取り組み事例
- 中堅ゼネコンで実践できる改善策
ゼネコン働き方改革は大手を中心に労働時間規制への対応が進む一方、中堅ゼネコンは多重下請け構造など業界特有の課題を抱えながら着実な前進を続けています。
本記事を読むことで、制度面の最新動向と現場で使えるDX・ICT活用策の両方がわかり、自社の働き方改革を具体的に進められるようになります。ここから詳しく見ていきましょう。
ゼネコン働き方改革の背景と現状
ゼネコン働き方改革は、長年の長時間労働体質からの脱却を目的に、法規制と業界団体の取り組みが同時に進んでいます。2024年4月から時間外労働の上限規制が建設業にも適用され、建設業の36協定で定められる時間外労働に法律上の上限ができたことが大きな転機です。
大手ゼネコンの平均残業時間は全業界平均の2倍を超える水準にあり、週休2日の普及率は改善が続いています。ここでは制度面の背景と、現場の実態を数値で確認します。
2024年問題と時間外労働の上限規制
建設業の2024年問題とは、2018年に成立した働き方改革関連法で建設業に設けられた5年間の猶予期間が2024年3月末で終了し、同年4月から建設業の時間外労働の上限規制が本格適用されることです。建設業は他産業より5年遅れて規制対象になり、対応の準備期間が業界に与えられていました。
上限規制の内容は次のとおりです。
- 時間外労働は原則として月45時間、年360時間まで
- 臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間以内
- 複数月平均で80時間以内(休日労働を含む)
- 単月では100時間未満(休日労働を含む)
- 月45時間を超える月は年6回まで
災害の復旧や復興事業については、時間外労働と休日労働の合計を月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内とする規制が適用されない例外があります。上限規制の適用が目前に迫った時期の調査では、回答した31社のうち42パーセントが「クリアのめどが立っていない」と答え、施行前から対応の遅れが課題視されていました。
厚生労働省は2024年1月に労働基準関係法制研究会を設置し、2025年1月に報告書を公表しています。労働政策審議会ではさらなる制度見直しの審議が続いており、規制強化の動向を注視する必要があります。
建設業界における長時間労働の実態
建設業界は依然として全産業の中でも労働時間が長い業種です。工期の制約や多重下請け構造など、業界特有の要因が積み重なっていることが背景にあります。
国土交通省の資料によると、建設業の年間の総実労働時間は全産業より48時間長く、出勤日数は10日多くなっています(令和6年度、パートタイムを除く一般労働者)。施工管理職に絞った調査でも、ゼネコン勤務者の残業時間は他業種より突出しました。
| 区分 | 通常期の平均残業時間 |
|---|---|
| 施工管理職全体 | 37.3時間/月 |
| ゼネコン勤務の施工管理職 | 43.8~61.2時間/月(調査により差あり) |
年代別では20代が76.2時間、30代が63.8時間、40代が46.3時間、50代が48.0時間、60代以上が44.5時間となり、若手層ほど残業時間が長い傾向です。繁忙期にはサブコン勤務の施工管理職が71.1時間、ゼネコンが63.5時間とさらに増えます。
ゼネコン勤務者のうち月60時間以上残業する人は30パーセントを超え、月100時間以上というケースも珍しくありません。こうした実態こそ、制度と現場のギャップに対する不安を生む一因です。
週休2日制(4週8閉所)の普及状況
週休2日制の普及は、ゼネコン働き方改革の中でも進捗が数値で確認しやすい取り組みです。建設業の週休2日制の義務化は2026年時点でも法律では定められていませんが、日本建設業連合会(日建連)は「4週8閉所」を指標として、会員企業の現場の閉所状況を毎年度集計しています。
4週8閉所は4週間のうち現場を8日閉所する運用を指します。日建連の「週休二日実現行動計画」フォローアップ報告書によると、4週8閉所以上の現場の割合は2019年度の26.3パーセントから2024年度には61.0パーセントへと、5年間で2倍以上に伸びました。2024年度通期の平均閉所数は4週あたり7.12日です。
| 区分 | 2024年度通期 | 2025年度上半期 |
|---|---|---|
| 全体 | 61.0パーセント | 66.4パーセント |
| 土木 | 72.8パーセント | 75.8パーセント |
| 建築 | 50.2パーセント | 57.4パーセント |
表は4週8閉所以上の現場の割合で、2024年度通期は会員96社の15,238現場が対象です。工事の種類による差も見られます。
- 土木工事は国や地方公共団体が発注する公共工事が中心で、発注者主導の週休2日推進が進みやすい
- 建築工事は民間発注が中心で、工期やコスト管理の制約から達成率の伸びが相対的に緩やか
国土交通省は2029年度までに週休2日率を原則100パーセントにする目標を掲げています。数値上は着実に前進していますが、達成率には工種や発注者による差が残り、業界全体の底上げが今後の課題です。
ゼネコンの平均残業時間と業界平均との比較
ゼネコンの残業時間は、他業種と比べても際立って高い水準です。施工管理という職種の特性上、現場監督業務と書類作成業務が重なりやすく、労働時間の圧縮が難しいことが理由です。
大手ゼネコン5社(鹿島建設、大林組、清水建設、大成建設、竹中工務店)の平均残業時間は月50.33時間で、全業界平均の月23.39時間の約2.2倍にのぼります。
| 比較対象 | 平均残業時間(月) |
|---|---|
| 大手ゼネコン5社 | 50.33時間 |
| 全業界平均 | 23.39時間 |
法規制が整備され週休2日の普及が進む一方で、残業時間の絶対水準は依然として業界平均を大きく上回ります。制度上の改革と現場実態のギャップが、次章以降で扱う個社の取り組み事例や業界構造の課題につながっていきます。
大手ゼネコンの働き方改革事例
ゼネコン働き方改革は、スーパーゼネコンを中心に具体的な成果が見え始めています。鹿島建設や大林組、清水建設、大成建設、竹中工務店の5社は、2024年問題への対応をきっかけに残業削減とICT活用を同時に進めてきました。
ここでは各社の施策を4つの切り口で紹介します。
スーパーゼネコン5社の労働時間削減施策
建設業には2024年4月から時間外労働の上限規制が適用され、年間残業時間は原則360時間までとされました。この規制をきっかけに、スーパーゼネコン5社は工程管理の見直しや直行直帰の導入で残業削減に取り組んでいます。
ただし業界全体で見ると、規制クリアの見通しが立っていない企業も少なくありません。主要ゼネコンの4割超が残業規制のクリアにめどが立っていないという緊急調査の結果もあり、スーパーゼネコンと中堅・準大手の間には取り組みの差が出ています。
一方でスーパーゼネコン5社の平均残業時間は月50時間程度とされ、全産業平均の2倍以上という水準です。数値だけを見ると依然厳しい状況ですが、各社は工期設定の適正化や現場ごとのシフト調整を通じて、段階的な削減を進めています。
BIMやICTを活用した業務効率化
労働時間を減らすうえで欠かせないのが、BIMやICTによる業務効率化です。BIMは設計・施工・維持管理の情報を3次元モデルで一元管理する仕組みで、図面の手戻りや現場での確認作業を大幅に減らせます。
竹中工務店は大阪・関西万博の現場でBIMとデジタルファブリケーションを組み合わせ、生産性向上を実現しました。鹿島建設はダム工事などで自動化施工技術のA4CSELを実用化し、少人数での施工体制を確立しています。
国土交通省もICT施工の普及を後押ししており、建設現場の生産性を2015年度比で2割向上させる目標を掲げています。2022年度時点で約21%の向上が確認されており、ICT活用は事務作業の自動化や残業時間の削減にも直結する取り組みです。
| 施策 | 主な効果 |
|---|---|
| BIM活用 | 図面の手戻り削減、関係者間の情報共有の迅速化 |
| ICT建機・自動化施工 | 現場作業の省人化、作業時間の短縮 |
| ドローン測量 | 測量作業の効率化、現場確認の負担軽減 |
ワークライフバランス向上に向けた社内制度
労働時間の削減と並行して、大手ゼネコンは休日や休暇の制度整備にも力を入れています。年間休日は120日から125日程度に設定する企業が多く、完全週休2日制や第2・第4土曜休みを導入する動きが広がっています。
とはいえ建設業界全体では、国土交通省の「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和5年度)」で、休日を4週8休とする割合は技術者が21.2%、技能者が25.8%にとどまり、どちらも最も多い回答は4週6休程度でした。この数字は、制度としての週休2日と現場の実態にまだ差があることを示しています。
有給休暇についても、大手ゼネコンでは初年度10日、以降最大20日を付与する例が一般的です。取得率は部署や現場の状況によって50%から70%と幅があり、計画的付与制度で全員取得を義務づける企業も出てきています。
若手社員の定着率向上に向けた取り組み
働き方改革のもう一つの柱が、若手社員の定着率向上です。スーパーゼネコン5社の離職率は5%台と、建設業界全体と比べて低い水準に抑えられています。
一方で施工管理職全体では、長時間労働を背景に3年以内の離職が高止まりしている状況です。国土交通省の同じ調査(令和5年度)では、技術者の月平均の残業時間が45時間以上の企業が14.9%、技能者では9.0%ありました。
こうした状況を受け、大林組や戸田建設などはメンター制度を導入し、経験豊富な社員が若手社員に一対一で伴走する体制を整えています。メンターが毎月コミュニケーションを取り、懸念があれば所属長へ報告してフォローする仕組みも広がっており、新人教育や現場のICT化を進める企業ほど、若手社員の定着率が高まる傾向にあります。
中堅ゼネコンが働き方改革を進める課題
ゼネコン働き方改革は、スーパーゼネコンと呼ばれる大手5社では資本力を背景に進めやすい一方、中堅ゼネコンでは事情が異なります。現場の閉所日を増やすと、日給で働く技能者や一人親方の収入に響くため、建設業の週休2日と個人事業主の関係という下請け側の課題にも向き合う必要があります。
人員や予算に限りがある中堅企業ほど、業界構造そのものに起因する課題の影響を強く受けやすいためです。
以下では、中堅ゼネコンが直面する4つの課題を整理します。
| 課題 | 主な内容 |
|---|---|
| 工期のしわ寄せ | 多重下請け構造により下請け企業に負担が集中する |
| 発注者の理解不足 | 適正工期の合意形成が難しい |
| 業務負担の増加 | 人手不足で技術者一人あたりの担当現場が増える |
| 労務管理のばらつき | 現場ごとにデジタル化の進捗差が大きい |
多重下請け構造による工期のしわ寄せ
建設業には元請けから一次下請け、二次下請けへと続く多重下請け構造があり、この階層の下にいくほど工期短縮のしわ寄せを受けやすい状況です。
特に都市部の大型工事では工程が複雑化し、個々の下請け企業が関与できる時期が限定されるため、仕事に入れない待機期間が生じることも少なくありません。
企業がキャパシティを超えた受注を続けると、現場では長時間労働が常態化し、工程管理にひずみが生まれます。
その結果として手直し工事や突貫工事が増え、追加コストが利益を圧迫する悪循環に陥りやすいといえます。
中堅ゼネコンが働き方改革を実効性のあるものにするには、自社の受注量と施工能力のバランスを見直すことが欠かせません。
発注者側の理解不足と適正工期の設定難易度
働き方改革を進めるうえで大きな壁となるのが、発注者側の理解不足です。
民間工事では週休2日制の普及が依然として課題であり、受注側だけの努力では適正な工期を確保しにくい実情があります。
国土交通省は建設工事における適正な工期設定等のためのガイドラインを公表し、施工条件の明確化と工期の平準化を発注者に求めています。
法律上の歯止めもあります。建設業法第19条の5は、注文者が、工事の施工に通常必要と認められる期間に比べて著しく短い工期で請負契約を結ぶことを禁じています。同条第2項は建設業者(受注者)にも同じ禁止を課しており、短い工期を受ける側も違反になり得ます。国土交通省の建設業法令遵守ガイドライン(第12版)は、時間外労働の上限規制に抵触するような長時間労働を前提とした短い工期で下請契約を結ぶことを、建設業法上違反となる行為事例に挙げています。
同省の資料では、多くの工事現場が本来必要な工期の1割から3割に相当する不足を抱えていると指摘されています。
こうした流れを受け、2026年夏には7月下旬から8月中旬にかけての夏季休工を試行する動きも出ており、現場環境の改善と工期の厳格化という二つの側面に同時に対応する必要が生まれています。
中堅ゼネコンにとっては、発注者との交渉力や説明力を高め、適正工期を前提とした契約を積み重ねることが重要な取り組みになります。
人手不足による一人あたりの業務負担増加
建設業界の人手不足はゼネコン人気がない一因ともされ、技術者一人あたりの業務負担を押し上げています。
受注を見送る理由のうち、施工管理を担う技術者の不足は約4割を占め、技能労働者の不足に次いで大きな要因です。
2024年12月の規制改正では、ICTによる遠隔臨場などの条件を満たせば、監理技術者や主任技術者が請負代金1億円未満、建築一式2億円未満の工事について2現場を兼任できるようになりました。
兼任には、次の要件をすべて満たす必要があります(2024年12月13日施行)。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 請負金額 | 各工事が1億円未満(建築一式工事は2億円未満) |
| 兼任できる現場数 | 2現場以下 |
| 現場間の距離 | 1日で巡回でき、移動時間がおおむね2時間以内 |
| 下請次数 | 3次まで |
| 連絡員 | 監理技術者等との連絡などを行う者を各工事に配置 |
| 情報通信技術 | 施工体制を確認する措置と、現場状況を確認する機器の設置 |
| 計画書 | 人員の配置を示す計画書を作成し、保存する |
なお、主任技術者・監理技術者の専任が必要になるのは、請負代金が4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上)の工事です。
制度上は柔軟な配置が可能になった一方、現場では業務量に見合わない負担への不満も指摘されており、離職につながる懸念も残ります。
一人あたりの業務負担を軽減するには、ICT施工やBIM/CIMの活用による省人化を並行して進める姿勢が求められます。
現場ごとの労務管理体制のばらつき
労務管理のデジタル化状況は企業や現場によって大きな差があります。
国土交通省の調査では、何らかのデジタルツールを導入済みの建設会社は全体の約45%にのぼる一方、全社的にDXへ取り組んでいると回答した企業は1割程度にとどまっています。
大半の企業は一部業務での試験導入にとどまっており、統一的な労務管理体制の構築には至っていません。
企業規模が小さいほどデジタル化が遅れる傾向もあり、対応できる企業とできない企業の二極化が進みつつあります。
中堅ゼネコンが働き方改革を全社に浸透させるには、現場ごとに異なる労務管理のやり方を標準化し、勤怠や工程の情報を一元的に把握できる仕組みを整えることが欠かせません。
中堅ゼネコンが実践できる働き方改革の具体策
中堅ゼネコンの働き方改革は、大手のように潤沢な人員や予算をかけずに進める必要があります。施工管理アプリ、遠隔臨場、週休2日制の段階導入、協力会社との工程調整という4つの打ち手を組み合わせることが効果的です。
ここでは、それぞれの具体策を実務の順番に沿って解説します。
施工管理アプリによる書類作成の効率化
書類作成の負担を減らす最も即効性のある手段が、施工管理アプリの導入です。
施工管理支援アプリの利用率は2025年12月時点で42パーセントに達し、働き方改革関連法が適用された2024年4月直後の35パーセントから大きく伸びています。ゼネコンに限定すると利用率は60パーセントに達しており、前回調査の49パーセントからさらに上昇しました。
ゼネコンで利用されている主なアプリには、以下のような特徴があります。
| アプリ名 | ゼネコンでの利用率 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| eYACHO | 19パーセント | 手書き感覚の帳票作成に強い |
| デキスパート | 19パーセント | 出来形管理や積算との連携が豊富 |
| 蔵衛門 | 12パーセント | 写真管理・黒板作成に特化 |
| ANDPAD | 11パーセント | 工程共有や協力会社との連携が容易 |
| SPIDERPLUS | 9パーセント | 図面上での検査記録に対応 |
これらのアプリを導入すると、現場で撮影した写真や検査記録をそのままデジタル帳票に反映できるため、事務所に戻ってからの転記作業がなくなります。実際に紙媒体ゼロ化を掲げる企業では、タブレット端末を職員に配布し、現場打合せや安全教育にはデジタルホワイトボードを使うことで従来の紙作業を大幅に削減しています。
中堅ゼネコンにとっては、まず日報や検査記録などの定型書類から電子化を始め、段階的に対象範囲を広げる進め方が現実的です。
遠隔臨場やドローン測量による移動時間の削減
現場と事務所の往復にかかる移動時間も、働き方改革を阻む大きな要因です。
遠隔臨場とは、現場にカメラを設置し、監督員が事務所や別の現場からリアルタイム映像で立ち会い検査を行う仕組みです。現場への往復時間がなくなるうえ、待ち時間も発生しないため、空いた時間を他の業務に充てられます。
ドローン測量についても、従来は数日から数週間かかっていた測量作業を大幅に短縮できる点が強みです。
活用が進むほど効果は大きくなります。大林組が施工した上信越自動車道の落石対策工事では、自動充電ポート付きのドローンを現場に1年間常設し、補助者を配置しない目視外飛行によって週次の遠隔自動測量を実現しました。
中堅ゼネコンであっても、遠隔臨場は比較的少ない初期投資で始められるため、複数現場を掛け持ちする監督員の負担軽減策として優先度の高い施策といえます。
段階的な週休2日制の導入プロセス
週休2日制は一気に実現しようとすると現場が回らなくなるため、段階を踏んだ導入が欠かせません。
前述のとおり、日建連の会員企業でも4週8閉所以上の現場は約6割で、建築に限ると約半数です。建設業全体では、休日は4週6休程度という回答が最も多いのが実情です。日建連が2017年度に始めた「週休二日実現行動計画」も、段階を踏む計画でした。
2019年度末までに4週6閉所以上、2021年度末までに4週8閉所以上の実現を目指すという進め方です。中堅ゼネコンが取り組む際も、同様に無理のない段階を設定することが重要です。
- 第1段階:月1回の土曜閉所から始め、現場閉所の習慣を定着させる
- 第2段階:4週6閉所を目標に、繁忙期以外の現場で閉所日を増やす
- 第3段階:4週8閉所を目指し、工期設定の段階から閉所を前提とした計画にする
なお、日建連は2025年12月に「作業所閉所推進ロードマップ」を策定しており、休日確保の考え方は現場の閉所という具体的な行動指標に軸足を置いています。国土交通省の直轄工事では、週休2日の達成状況に応じて労務費などを補正して工事費を積算する取り組みが試行されてきました。この費用計上の試行は令和7年度で完了し、令和8年4月1日以降に入札公告する工事では行われていません(令和8年3月10日付けの国土交通省の通知)。
協力会社と連携した工程管理の見直し
自社だけの努力では、週休2日制も遠隔臨場も定着しません。工程は協力会社と一体でつくるものだからです。
国土交通省が改訂した建設工事における適正な工期設定等のためのガイドラインでは、受注者と発注者が協力して工期を改善することが求められています。効果を上げている取り組みの一つが、元請と下請が毎月開催する工程調整会議です。
前月の実績を振り返り、翌月のクリティカルパスを明確にしたうえで、土日祝日を外すように工程を組み直します。この会議を継続した現場では、休暇取得率が14パーセントから33パーセントへと向上した事例が報告されています。
建設業では発注者側が強い立場にあることが多く、低価格競争や納期短縮のしわ寄せが下請けに及びやすい構造があります。中堅ゼネコンが元請の立場にある場合は、自社の都合だけで工程を組まず、協力会社の休日希望を早い段階でヒアリングし、工程表に反映する運用が働き方改革の実効性を高めます。
まとめ:ゼネコン働き方改革は制度対応とDX活用の両輪で進める
本記事では、ゼネコン働き方改革の背景にある2024年問題や時間外労働の上限規制、大手ゼネコンの労働時間削減施策を解説しました。あわせて、中堅ゼネコンが直面する多重下請け構造や人手不足といった課題と、その解決に向けた具体策も紹介しています。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- 2024年問題により時間外労働の上限規制が建設業にも適用され、週休2日制の普及が進んでいること
- スーパーゼネコン5社はBIMやICTの活用と社内制度の見直しで労働時間削減と若手定着に取り組んでいること
- 中堅ゼネコンは施工管理アプリや遠隔臨場などのDXツールを段階的に導入することで働き方改革を進められること
これらを踏まえれば、自社の働き方改革が業界全体の潮流のどこに位置するのか把握できます。無理のない範囲で改善策を選び取り、着実に前進させられるはずです。
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ゼネコン働き方改革に関するよくある質問
参考文献
- 国土交通省直轄工事における週休2日の取組方針について(令和8年3月10日付 通知)(国土交通省)
- 建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制|厚生労働省
- 建設工事における適正な工期設定等のためのガイドラインについて(平成30年7月2日 改訂)|国土交通省
- 週休二日実現行動計画 2024年度通期フォローアップ報告書|日本建設業連合会
- 週休二日実現行動計画 2025年度上半期フォローアップ報告書|日本建設業連合会
- 建設業の働き方改革(週休二日実現行動計画・作業所閉所推進ロードマップ)|日本建設業連合会
- 「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和5年度)」の結果を公表|国土交通省
- 建設業法令遵守ガイドライン(第12版)|国土交通省
- 監理技術者等の専任義務の合理化・営業所技術者等の職務の特例について(国土交通省の改正概要を掲載)|鹿児島県
執筆者
編集部
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