建設業許可の廃業届:提出期限・必要書類・書き方を徹底解説
この記事のポイント
建設業許可の廃業届は事由発生から30日以内に許可行政庁へ提出する義務があり、怠ると罰則リスクがある。提出書類は様式第22号の4が中心で、知事許可は都道府県窓口、大臣許可は地方整備局が提出先となる。
「廃業を決めたけど、建設業許可についても何か届出が必要なのか……出さなかったら罰則があるのか、費用がかかるのかも分からない」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
本記事の内容
- 廃業届が必要になる4つの場面と提出期限
- 全部廃業と一部廃業で異なる必要書類の一覧
- 提出しなかった場合の罰則と注意点
建設業許可の廃業届は、事由発生から30日以内に許可行政庁へ提出する義務があります。
提出を怠ると30万円以下の罰金が科される可能性があり、残工事の扱いや再取得時の手続きにも影響します。書類の準備から提出の流れまで、本記事でまとめて確認しておきましょう。
建設業許可の廃業届とは:提出が必要なケースを確認する
保有している建設業許可の要件と手順に沿って取得した許可について、廃業・業種縮小を決めた場合、許可の返納手続きとして「廃業届」の提出が法律上義務付けられています。手続きを怠ると、許可の効力が形式上残り続けることになるため、事業終了後も速やかに対応が必要です。
廃業届の法的根拠(建設業法第12条)
廃業届の提出義務は、建設業法第12条に定められています。同条では、許可を受けた建設業者に一定の事由が生じた場合、30日以内に許可行政庁(国土交通大臣または都道府県知事)への届出を義務付けています。
提出義務を負う者は、事由ごとに異なります。廃業・法人解散の場合は当該個人または法人の役員、合併消滅の場合はその役員であった者、破産による解散は破産管財人、その他の解散は清算人が届出人です。 許可業者が死亡した場合は相続人が届出人となります。いずれも事由発生から30日以内の届出が義務付けられており、これを怠り欠格事由の発生を放置すると、最終的に行政による建設業許可の取り消し処分を受けることになります。
全部廃業と一部廃業の違い
廃業届には「全部廃業」と「一部廃業」の2種類があります。
| 区分 | 内容 | 結果 |
|---|---|---|
| 全部廃業 | 保有するすべての業種の許可を返納する | 建設業許可がない状態になる |
| 一部廃業 | 複数の許可業種のうち特定の業種のみを返納する | 残りの業種の許可は維持される |
全部廃業は会社解散・事業そのものの終了時に行います。一部廃業は、たとえば専任技術者が退職し特定業種の要件を満たせなくなった場合など、許可要件を維持できる業種のみを残すときに選択するほか、将来的に建設業許可の業種追加の要件を再び満たした時点で再度申請することが想定されます。
廃業届が必要になる具体的な4つの場面
廃業届の提出が必要になる場面は、建設業法第12条の各号に対応して以下の4つに整理できます。
- 許可業者が事業を廃止したとき(廃業・事業終了)
- 法人が合併により消滅したとき
- 法人が破産手続開始の決定または合併以外の事由により解散したとき
- 許可業者の個人事業主が死亡したとき
これらに加えて実務上、個人事業主が法人化(法人成り)する際も旧来の個人許可について廃業届を提出します。新たな法人として許可を取り直す必要があるためであり、この際には建設業許可証掲示義務緩和国土交通省の概要など最新のコンプライアンス要件も改めて確認することになります。
許可の有効期限切れ・取消処分との違い
廃業届は、許可の有効期限切れや行政による取消処分とは性質が異なります。
有効期限切れは、5年ごとの更新を怠った場合に許可が自動消滅するものです。廃業届の提出は不要ですが、その後に建設業を営むと無許可業者として扱われ、当然ながら建設業の入札制度の概要に基づく公共事業等への参加も一切できなくなります。
取消処分は、法令違反等を理由に行政が強制的に許可を取り消す行政罰的な措置です。廃業届に基づく取消とは異なり、一定期間の再取得制限が設けられる場合があります。
廃業届による許可取消は事業者の申告に基づく事務的な手続きです。行政罰ではなく、再取得の際も取消処分のような制限は原則として生じません。
建設業許可の廃業届に必要な書類と提出期限
廃業届の手続きでは、廃業の種類(全部廃業か一部廃業か)や保有している建設業許可の種類ごとの違いによって準備すべき書類が異なります。期限を守って必要書類を揃えることが、手続きをスムーズに進める前提条件です。
提出期限は事由発生から30日以内
廃業届の提出期限は、廃業事由の発生日から30日以内です。建設業法第12条がこの届出義務を定めており、期限を超過した場合は同法第52条により6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
「廃業事由の発生日」とは、法人解散の場合は解散決議日、個人事業主死亡の場合は死亡日、事業の廃止の場合は廃止の実施日が基準です。手続きに時間がかかることを見越して、特定建設業を取得する条件などを満たす場合も含め、事由発生後すぐに書類の準備に着手することをお勧めします。
全部廃業の場合に必要な書類一覧
全部廃業とは、保有するすべての建設業許可を返納する手続きです。会社の解散・清算や事業そのものの終了時に選択しますが、これは建設業許可と500万円の資金対策を終えて新規取得したばかりの事業者であっても、要件を維持できなくなった場合は義務となります。
全部廃業の場合に必要な書類は以下のとおりです。
- 廃業届(様式第二十二号の四)
- 建設業許可証(原本)
- 法人の場合:解散を証明する登記事項証明書または株主総会議事録の写し
- 個人事業主が死亡した場合:死亡を証明する戸籍謄本等
法人の合併消滅・破産・その他の解散といった事由によって、添付書類の種類が変わります。提出前に許可行政庁へ確認することを推奨します。
一部廃業(業種廃止)の場合に必要な書類一覧
一部廃業とは、複数の業種許可のうち特定の業種のみを返納する手続きです。専任技術者の退職などで特定業種の許可要件を維持できなくなった場合に選択しますが、この際も手元にある建設業許可証の保管方法を確認し、原本を返納する用意をする必要があります。
一部廃業の場合に必要な書類は以下のとおりです。
- 廃業届(様式第二十二号の四)
- 建設業許可証(原本)※許可証の書換えが必要なため
全部廃業と一部廃業の主な違いは下表のとおりです。
| 区分 | 廃業届 | 許可証 | その他証明書類 |
|---|---|---|---|
| 全部廃業 | 様式第二十二号の四 | 原本返納 | 解散・死亡等の証明書類 |
| 一部廃業 | 様式第二十二号の四 | 原本返納(書換え対応) | 原則不要(許可行政庁に要確認) |
一部廃業では、廃止する業種に関わる専任技術者の変更届(様式第八号)の提出が別途必要になる場合があります。専任技術者の変更届の提出期限は14日以内と、廃業届の30日よりも短いため注意が必要です。
提出先は許可を受けた都道府県知事または地方整備局
廃業届の提出先は、現在の許可の種類によって決まります。
都道府県知事許可を受けている場合は許可を受けた都道府県の担当窓口(建設指導課など)が提出先であり、これは「個人事業主でも建設業許可は取れる」に該当する一人親方の場合であっても同様の窓口となります。国土交通大臣許可を受けている場合は、主たる営業所を管轄する地方整備局が提出先となります。
窓口への持参または郵送での提出が認められていますが、受付方式は都道府県・地方整備局によって異なります。事前に提出先の窓口へ連絡し、提出方法と必要書類の最終確認を行ってから手続きに臨むことが確実です。
建設業許可の廃業届の書き方と手続きの流れ
廃業届の提出に必要な様式の入手から記載内容、提出後の受理までの流れを順を追って解説します。法人解散による全部廃業と業種の一部廃止では記載内容が異なる点に注意が必要であり、提出後は建設業許可の業者検索システム等のデータベースにも反映されることになります。
廃業届(様式第22号の4)の入手方法
廃業届の様式は「様式第22号の4(廃業等の届出書)」です。
様式の入手先は、許可の種別によって異なります。知事許可を受けている場合は許可を受けた都道府県の建設業許可担当窓口またはホームページから入手し、大臣許可の場合は本店所在地を管轄する地方整備局の窓口またはホームページで入手します。
国土交通省の各地方整備局のほか、多くの都道府県がExcel形式やPDF形式でダウンロード用のページを設けています。
様式は全国共通の書式ですが、都道府県によっては独自の記載要領や記入例を提供している場合もあります。提出先の窓口や公式サイトで最新版を確認してから使用してください。
廃業届の記載例:法人解散の場合
法人が解散して全部廃業する場合、届出人は「清算人」(合併・破産以外の解散)または「破産管財人」です。代表取締役が届出人になるのではない点を確認してください。
主な記載項目は以下のとおりです。
| 記載欄 | 記載内容(法人解散の場合) |
|---|---|
| 届出の区分 | 「建設業の廃止」または「法人の解散」の該当箇所にチェック |
| 廃業等の年月日 | 解散登記日(法務局への登記完了日) |
| 届出人 | 清算人の氏名・住所・押印 |
| 廃業等の建設業 | 保有するすべての許可業種を記載 |
| 廃業等の理由 | 「法人の解散」と明記 |
解散登記日が起算点となるため、登記完了前に廃業届を提出することはできません。登記完了後30日以内の提出期限を守るよう、解散決議から逆算してスケジュールを組む必要があります。
廃業届の記載例:業種の一部廃止の場合
特定の許可業種のみを廃止する一部廃業の場合、届出人は法人の役員(代表者)または個人事業主本人です。
| 記載欄 | 記載内容(一部廃止の場合) |
|---|---|
| 届出の区分 | 「建設業の廃止」にチェック |
| 廃業等の年月日 | 廃止する業種の廃止日(任意の日付を設定可) |
| 届出人 | 代表取締役などの役員・住所・押印 |
| 廃業等の建設業 | 廃止する業種のみを記載(残す業種は記載しない) |
| 廃業等の理由 | 「○○工事業の廃止」など廃止業種を明記 |
一部廃業では廃業届に加えて、廃止業種の専任技術者を削除するための変更届出書(様式第22号の2)と専任技術者一覧表(様式第1号別紙4)の同時提出が求められます。廃業届単体では手続きが完結しない点に注意が必要です。
提出から受理までの流れ
- 様式の入手と記入:許可行政庁のホームページから最新様式をダウンロードし、記載要領に従って記入する。
- 添付書類の準備:法人解散の場合は解散登記を証明する登記事項証明書が必要。一部廃業の場合は変更届出書・専任技術者一覧表を合わせて準備する。
- 書類の確認:記入漏れ・押印漏れ・添付書類の不足がないか最終確認する。窓口での補正を避けるため、事前に電話や書面で担当部署に確認することも有効です。
- 提出:知事許可は都道府県の建設業許可担当窓口、大臣許可は管轄の地方整備局の窓口に持参または郵送で提出する。
- 受理と許可の取消:書類に不備がなければ受理され、許可行政庁が許可取消の処理を行う。知事許可の場合は受理から取消処理まで概ね数日〜数週間程度で完了します。大臣許可の場合は処理に時間がかかるケースもあります。
受理後に許可証(許可通知書)の原本返納を求める都道府県もあります。手元に原本がある場合は、提出時に窓口へ確認するとスムーズです。
建設業許可の廃業届を出さない場合のリスクと注意点
廃業届は単なる事後手続きではなく、建設業法が定める法的義務です。届出を怠った場合は行政上・刑事上の制裁が生じるため、廃業が決まった時点で速やかに対応します。
廃業届を提出しないと30万円以下の罰金が科される
建設業法第12条は、許可業者に一定の事由が生じた場合、30日以内に廃業届を許可行政庁へ提出することを義務付けています。この届出を怠った場合は建設業法第50条の規定に基づき罰則の対象となります。
罰則の内容は以下のとおりです。
- 違反者本人:6か月以下の懲役または100万円以下の罰金
- 法人の場合:行為者のほか法人にも罰金刑が科される(両罰規定)
なお「30万円以下の罰金」という表現が広く使われていますが、これは建設業法第50条の旧規定に基づくものです。2026年時点の条文では100万円以下の罰金まで引き上げられているため、「30万円」という数字を過信せず現行法を確認してください。
廃業届を出さないまま放置しても許可が自動的に消滅するわけではなく、許可の存在が宙に浮いた状態が続きます。行政庁が職権で取消処分を行う場合もありますが、その記録は許可業者データベースに残るため、後から再取得を目指す際に不利に働くことがあります。
廃業後に残工事がある場合の取り扱い
廃業届を提出して許可が取り消された後も、廃業前に締結済みの請負契約に基づく工事は継続して施工できます。建設業法はこの点を明確にしており、許可の効力が失われた後であっても既契約工事を完成させることは違法になりません。
ただし、残工事を抱えたまま廃業する場合は次の点に注意が必要です。
- 廃業の事実を発注者(施主)に速やかに通知する義務がある
- 許可の取消後に新たな工事請負契約を締結することは原則できない
- 軽微な工事(500万円未満、建築一式では1,500万円未満)に限れば無許可でも施工可能
- 残工事が完成できない場合は、別の許可業者への引継ぎまたは契約解除を検討する
廃業届の提出日と工事の完成予定日が近い場合は、提出タイミングを慎重に決めます。工期の遅延が見込まれる工事が残っているなら、完成または引継ぎの目処をつけてから届出日を設定するのが現実的です。
廃業届提出後に再び建設業許可を取得する場合の注意点
廃業届を適切に提出した後(自主的な廃業)は、欠格期間は原則として発生しません。要件を満たせばすぐに再申請でき、不正や処分による取消とは根本的に扱いが異なります。
再取得を検討する際に確認すべき主な注意点を以下に示します。
| 確認項目 | 詳細 |
|---|---|
| 許可番号の引継ぎ | 再取得すると新しい許可番号が付与される。旧番号は使用不可 |
| 経営業務管理責任者 | 廃業期間中も経歴として算入される。ただし空白期間が長いと要件確認が複雑になる |
| 財産的基礎 | 再申請時点で500万円以上の資金要件(一般許可)を満たす必要がある |
| 専任技術者 | 廃業前と同じ人物が在籍しているか確認。資格者証の有効期限も要チェック |
| 欠格要件の確認 | 廃業の経緯に不正行為が伴っていた場合は5年間の申請制限が生じる |
虚偽申請や不正行為が原因で許可を失った場合は、失効から5年間は再申請できません。自主廃業と行政処分による取消は扱いが根本的に異なるため、廃業届の提出は正規の手順で行うことが重要です。
行政書士に依頼すべきかどうかの判断基準
廃業届自体は比較的シンプルな書類で、書類作成の難易度はさほど高くありません。自社で対応できるかどうかは、以下の状況を目安に判断します。
自分で対応できるケース:
- 廃業の理由が単純(法人解散・個人廃業)で附帯する変更届がない
- 残工事がなく、提出書類の確認に時間をかけられる
- 以前に許可申請を自社で経験しており、行政庁の窓口とのやり取りに慣れている
行政書士への依頼を検討すべきケース:
- 廃業と同時に役員変更・営業所廃止など複数の変更届が発生する
- 会社解散・清算と建設業許可の廃業を同時並行で処理する必要がある
- 残工事の扱いや発注者への通知など、法的判断が絡む事情がある
- 廃業後に速やかに再取得を予定しており、手続き上の瑕疵を残したくない
廃業届単体の行政書士報酬は事務所によって異なりますが、2〜5万円程度が一般的な相場です。廃業届そのものに行政庁へ納める手数料は不要で、複数の変更届と一括依頼すれば費用を抑えられる場合もあります。
状況が複雑でなければ自社対応も現実的な選択肢ですが、後の再取得を視野に入れているなら専門家に一度相談して書類の不備を防ぐことをすすめます。
まとめ:建設業許可の廃業届は30日以内に忘れず提出する
本記事では、廃業届の提出が必要なケース、必要書類と提出期限、書き方と手続きの流れ、そして届出を怠った場合のリスクまでを一通り解説しました。廃業届は事業をたたむ際の義務的な手続きであり、提出を後回しにすることで行政指導や罰則を招く可能性があります。
本記事のポイント
- 建設業許可の廃業届は、事業廃止・法人解散・相続放棄など一定の事由が生じた日から30日以内に許可行政庁へ提出する義務がある
- 提出書類は廃業届(様式第22号の4)が中心で、法人解散の場合は解散登記の登記事項証明書など事由に応じた添付書類が必要
- 廃業届を提出しないままでいると無効な許可が残り、行政指導や許可者情報の誤登録など事後トラブルの原因となる
本記事を読んだことで、廃業届の提出が必要な場面・期限・書類の全体像が把握できたはずです。手続きを期限内に済ませることで、廃業後の余計なトラブルを防ぎ、次のステップへスムーズに移行できます。
書類の準備や提出先の確認で迷ったときは、お気軽にご相談ください。資料請求からでも対応しています。
建設業許可の廃業届に関するよくある質問
<!--
- 廃業届の提出は建設業法で義務付けられており、廃業の事実が発生した日から30日以内に届け出る必要があります。
- 建設業法第50条により、廃業届を提出しなかった場合は6か月以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
- 虚偽申請とみなされると6か月以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられ、その後5年間は新たな許可申請ができなくなります。
- 知事許可の場合は主たる営業所を管轄する都道府県の建設業担当課に提出します。大臣許可の場合は管轄の地方整備局に提出します。
- 廃業届自体の行政手数料は無料です。行政書士に依頼する場合は代行報酬が別途発生します。 -->
参考文献
執筆者
編集部
Construction DX 編集部は、建設DX・建設テック・業界動向に関するニュースや解説記事を制作する編集チームです。最新の技術・市場・制度・導入事例をわかりやすく整理し、建設業界のDX推進に役立つ情報を中立的な視点で発信しています。
監修者
リサーチチーム
Construction DX リサーチチームは、建設DX市場や最新技術、法制度、国内外の事例を継続的に調査・分析する専門チームです。公開情報や一次情報をもとに内容を検証し、正確性・信頼性の高いコンテンツ制作を支援しています。
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