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建設業許可証の掲示義務が緩和・対象は元請のみ?国交省が解説

制度・法対応

この記事のポイント

国土交通省による令和2年10月の建設業法改正で建設業許可証の掲示義務が緩和され、工事現場の許可票は発注者から直接請け負った元請のみ掲示が必要となり下請は不要に。営業所の掲示義務は全業者に残り、怠ると建設業法第55条で10万円以下の過料の対象となる。

建設業許可証の掲示義務が緩和・対象は元請のみ?国交省が解説

「建設業許可証の掲示義務が緩和されたと聞きましたが、自社の工事現場では今も許可票の掲示が必要なのでしょうか。緩和で完全に掲示が不要になったと考えて、知らないうちに罰則や監督処分を受けてしまわないか不安です」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 国土交通省による建設業法改正で変わった掲示義務の内容
  • 緩和の対象となる元請業者と下請業者の違い
  • 緩和後も残る掲示ルールと違反時の罰則

令和2年10月の建設業法改正により、工事現場の許可票の掲示義務は元請業者のみに限定され、下請業者の掲示は不要になりました。一方で、営業所の許可票はすべての許可業者に引き続き義務として残ります。

本記事を読めば、自社が元請か下請かに応じて何を掲示すべきかが整理でき、コンプライアンス上の漏れを防げます。緩和の正確な範囲を確認したい方は、ぜひ最後までお読みください。

建設業許可証の掲示義務が緩和された国土交通省の改正内容

建設業許可の手続きの流れを終えた事業者に課される許可証の掲示義務は、国土交通省による建設業法改正で大きく変わり、工事現場ごとに必要だった許可票の掲示が令和2年10月から元請業者だけの義務になりました。ここでは改正の中身を、根拠となる条文と施行時期、国土交通省の狙いに分けて整理します。

建設業法第40条の改正で変わった点

緩和の中心は、建設業法第40条が定める標識掲示の対象範囲が狭まった点です。改正前は工事に関わるすべての業者が現場に許可票を掲げる必要がありましたが、改正後は発注者から直接請け負った元請業者だけが対象になりました。

第40条は、建設業の入札に参加する要件を確認するうえでも重要な、建設業者が営業所と工事現場に「建設業の許可票」と呼ばれる標識を掲げるよう求める規定です。改正によって現場分の対象が「発注者から直接請け負ったものに限る」と限定され、下請業者の現場掲示義務がなくなりました。

改正前後の違いは次の表のとおりです。

区分改正前改正後
元請業者の現場掲示義務あり義務あり
下請業者の現場掲示義務あり不要
営業所の掲示義務あり義務あり

下請業者の現場掲示がなくなった代わりに、誰が施工に関わっているかは施工体系図への記載で明らかにする運用へ移りました。許可証の掲示義務の緩和は、この記載方法の見直しとセットで進んだものです。

緩和がいつから始まったのか

掲示義務の緩和は、令和2年(2020年)10月1日から始まりました。建設業界では「新・担い手3法」と呼ばれる建設業法などの一体的な改正が令和元年(2019年)6月に成立し、標識に関する規定はそのうち令和2年10月1日に施行されています。

法律の成立と施行で時期が分かれている点に注意が必要です。覚えておきたい日付を整理します。

  • 令和元年(2019年)6月: 改正建設業法が成立
  • 令和2年(2020年)10月1日: 第40条の標識掲示に関する改正が施行

つまり、令和2年10月1日以降に着工した工事から、下請業者の現場掲示は不要という扱いになります。それより前の運用では下請業者にも掲示義務があったため、取得している建設業許可の種類と29業種を問わず、古い情報と取り違えないよう気をつけてください。

緩和の背景にある国土交通省の狙い

国土交通省が掲示義務を緩和した狙いは、建設現場の負担を減らすことにあります。改正前は元請から末端の下請まで全業者の許可票を現場に並べる必要があり、掲示スペースの確保や更新の手間が大きな負担になっていました。

特に下請業者にとっては現場ごとに標識を作成し、許可の更新に合わせて差し替える作業が重荷でしたが、これは特定建設業の要件と下請制限を満たさない一般建設業者において特に顕著な課題でした。この事務負担を軽くし、担い手の確保や生産性の向上につなげることが、国土交通省の意図したところです。

掲示義務の緩和は、こうした規制の見直しを通じて建設業の働きやすさを高める取り組みの一つに位置づけられています。標識を減らしても、施工体系図で施工体制を示せるため、現場の透明性は保たれます。

緩和されたのは工事現場の標識掲示

ここで誤解しやすいのは、緩和の対象が工事現場の標識掲示に限られる点です。営業所(店舗)に掲げる許可票については、改正後もすべての建設業者に掲示義務が残っています。

「掲示義務が完全になくなった」と受け取ると、必要な掲示を怠って監督処分を招くおそれがあります。対象を取り違えないよう、現場と営業所を分けて押さえてください。

  • 工事現場の標識: 緩和の対象であり、建設業許可における500万円の請負金額基準を超える工事であっても元請業者のみ掲示義務があり、下請業者は不要となります
  • 営業所の標識: 緩和の対象外。許可を受けた全業者に掲示義務が残る

建設業許可証の掲示義務が緩和されたのはあくまで現場部分であり、営業所の掲示は引き続き必要という整理が、国土交通省の改正内容を正しく理解する出発点になります。

掲示義務の緩和で対象となる元請業者と下請業者の違い

国土交通省による建設業法改正で、工事現場における建設業許可票の掲示義務が緩和されました。ただし全ての業者が掲示不要になったわけではなく、元請業者と下請業者で扱いが分かれます。

2020年(令和2年)10月の改正で、工事現場に掲げる標識は元請業者のみが対象となりました。下請業者は掲示が不要になった一方、もし汚損等で許可証の判別が困難な場合は建設業許可証の再発行手続き等を行ったうえで、営業所の許可票は緩和の対象外として全ての許可業者に掲示義務が残ります。

区分工事現場の許可票営業所の許可票
元請業者掲示が必要掲示が必要
下請業者掲示は不要掲示が必要

工事現場で掲示義務が残る元請業者

工事現場の許可票は、元請業者が引き続き掲げる必要があります。発注者から直接工事を請け負った元請業者には、現場ごとの掲示義務が法律で課されているためです。

根拠となるのは建設業法第40条で、許可業者は請け負った工事の現場ごとに標識を掲げなければならないと定めています。緩和後もこの規定は元請業者に適用され続けます。

掲示する許可票には、商号や許可番号、現場に配置する技術者の氏名などを記載します。記載内容に変更が生じた場合は、個人事業主の建設業許可の要件や法人の変更届に連動して、速やかに差し替える対応が求められます。

掲示が不要になった下請業者

下請業者は、工事現場での許可票の掲示が不要になりました。2020年(令和2年)10月の改正で、現場の標識掲示義務が元請業者のみに限定されたためですが、これは取引先が建設業許可を検索システムで調べることで、下請の許可状況を容易に確認できるようになったことも背景にあります。

改正前は、一つの現場に元請と複数の下請業者の許可票が並ぶ状態でした。下請業者にとっては現場ごとに標識を用意する手間が生じており、この負担を軽減する狙いで緩和が行われています。

緩和によって下請業者が得られる主なメリットは次のとおりです。

  • 現場ごとに許可票を作成する手間が省ける
  • 標識の作成や設置にかかるコストを抑えられる
  • 複数現場に同時に入る際の管理負担が軽くなる

元請が新たに負う施工体系図の記載

下請業者の掲示が不要になった代わりに、元請業者は施工体系図への記載で下請業者の情報を明らかにします。現場に入る業者を発注者や公衆が把握できる状態を維持するためです。

施工体系図とは、元請から各下請までの請負関係を一覧で示した図のことであり、これは建設業の経営審査(経審)においてもその整備状況が確認される対象となります。緩和にあわせて、下請負人に関する記載事項が追加されました。

作成と掲示の対象範囲は、公共工事と民間工事で異なります。

工事の種類施工体系図の作成・掲示が必要になる条件
公共工事下請契約を結んだ場合、その金額に関わらず必要
民間工事下請総額が5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上のとき必要

民間工事の金額基準は2025年(令和7年)2月の改正で引き上げられた数字です。自社の現場がどちらに該当するかを確認したうえで、施工体系図を準備する必要があります。

営業所では引き続き掲示が必要

営業所の許可票は緩和の対象に含まれず、建設業許可を更新する基準を満たして許可を継続している限り、掲示し続ける必要があります。元請か下請かを問わず、全ての許可業者が営業所への掲示義務を負い続けます。

営業所の標識には、店舗で営業する建設業の種類や許可番号などを記載します。許可を受けた適法な業者であることを外部に示す役割があるため、現場の標識とは別に掲示が求められます。

掲示を怠った場合は10万円以下の過料の対象となります。緩和されたのはあくまで工事現場の標識であり、営業所の許可票は従来どおり掲げる必要がある点に注意してください。

緩和後も残る建設業許可証の掲示ルールと違反時の罰則

建設業許可証掲示義務緩和を国土交通省が令和2年10月に実施した後も掲示ルールがすべて消えたわけではなく、適法に進めるための建設業許可裏ワザと最短ルートのような抜け道はありません。緩和の対象は工事現場の標識のうち下請業者分に限られ、営業所の掲示義務と元請業者の現場掲示義務は今も続いています。

掲示を怠れば過料や監督処分の対象となるため、残るルールを正確に押さえておく必要があります。

営業所に掲示する許可票の記載内容

営業所の許可票は、緩和の対象外であり全ての許可業者に掲示義務があります。許可票とは、その建設業者が正規の許可を受けている事実を公衆に示す標識を指します。

営業所用の許可票には、次の項目を記載します。

  • 商号または名称
  • 代表者の氏名
  • 一般建設業または特定建設業の別
  • 許可を受けた建設業の業種
  • 許可番号
  • 許可年月日

これらの情報を公衆の見やすい場所に掲げることで、取引先や来訪者が許可の有無を確認できます。複数の営業所がある場合は、それぞれの営業所ごとに掲示が求められます。

工事現場に掲示する許可票のサイズと材質

工事現場の許可票は、緩和後は元請業者のみが掲示します。営業所用と現場用ではサイズの基準が異なるため、混同しないよう注意が必要です。

許可票のサイズ基準は次のとおりです。

掲示場所
営業所(店舗)35cm以上40cm以上
工事現場25cm以上35cm以上

材質は、金属やプラスチック、木製など耐久性のあるものが一般的です。屋外での使用に耐え、記載内容が長期間読み取れる素材を選ぶと安心できます。

工事現場用には、元請業者の情報に加えて主任技術者または監理技術者の氏名や専任の有無も記載します。

掲示を怠った場合の過料

許可票の掲示を怠ると、過料という金銭的なペナルティを受けます。掲示義務は建設業法で明確に定められており、違反は法令違反として扱われるためです。

建設業法第55条により、標識を掲げない者は10万円以下の過料に処されます。過料は刑事罰ではなく行政上の秩序罰にあたりますが、軽視できる金額ではありません。

許可票を掲示していない場合だけでなく、記載内容に誤りがある場合や規定サイズより小さい場合も対象となり得ます。

監督処分につながるリスク

掲示義務違反は、過料にとどまらず監督処分の端緒となるおそれがあります。掲示を怠る状態は、許可業者としての基本的な義務を果たしていない兆候とみなされかねないからです。

監督処分には指示処分や営業停止処分などがあり、いったん受けると企業の信用や受注機会に大きく影響します。許可票の掲示は手間のかからない対応であるため、営業所と現場の両方で確実に掲げ、コンプライアンス上のリスクを未然に防ぐことが大切です。

建設業許可証の掲示義務緩和を踏まえた現場での実務対応

建設業許可証の掲示義務緩和を正しく現場へ反映するには、自社の立場と書類の整理から始めることが重要です。緩和の対象は工事現場の許可票であり、元請業者だけが掲示義務を負う形へと変わりました。

下請業者の現場掲示は不要になりましたが、施工体系図への記載や営業所の掲示義務は残ります。ここでは、国土交通省の改正内容を踏まえた実務手順を順に解説します。

自社が元請か下請かを確認する

最初に確認すべきは、その工事で自社が元請か下請かという立場です。2020年10月1日の建設業法改正により、工事現場の許可票を掲示する義務は元請業者だけに絞られました。

判断の基準は、発注者から直接工事を請け負ったかどうかにあります。発注者と直接契約した業者が元請、元請から仕事を受けた業者が下請であり、同じ会社でも現場ごとに立場が変わる点に注意が必要です。

立場現場の許可票掲示該当する契約関係
元請業者必要発注者から直接請け負う
下請業者不要元請や上位業者から請け負う

緩和を「掲示義務が完全になくなった」と捉えるのは誤解です。元請として工事を受ける現場では、引き続き許可票の掲示が求められます。

既存の許可票を整理する手順

立場を確認したら、社内にある許可票を整理します。緩和前は下請でも現場掲示が必要だったため、不要になった看板が残っているケースが少なくありません。

整理は次の順序で進めると漏れがありません。

  1. 進行中の現場ごとに、自社が元請か下請かを一覧化する
  2. 下請現場に設置済みの許可票を撤去する
  3. 元請現場の許可票に記載漏れや古い情報がないか点検する
  4. 営業所に掲げる許可票が最新の許可内容と一致しているか確認する

ここで見落としやすいのが営業所の掲示義務です。現場の緩和とは別に、営業所では許可票の掲示が今も義務として残るため、撤去の対象には含まれません。

施工体系図の記載を見直す

下請の現場掲示が不要になった代わりに、下請業者の情報は施工体系図で明らかにする運用へと変わりました。緩和とセットで生じた変更点であり、元請が新たに負う管理責任と言えます。

具体的には、施工体系図に下請負人の商号や請け負った建設工事の内容といった記載事項が追加されています。元請として現場を管理する場合は、次の点を確認してください。

  • 二次下請や三次下請まで含め、下請負人が漏れなく記載されているか
  • 各業者の許可番号や工事内容が最新の契約と一致しているか
  • 体系図を公衆の見やすい場所に掲示できているか

掲示義務の違反には、建設業法にもとづき10万円以下の過料が科される可能性があります。許可票の撤去だけで対応を終えず、施工体系図の整備までを一連の作業として進めることが大切です。

最新の様式を国土交通省で確認する

許可票や施工体系図を整える際は、必ず国土交通省が示す最新の様式を確認してください。様式や運用は改正によって変わるため、古い見本を流用すると記載不備につながります。

標識の様式は建設業法施行規則で定められており、店舗用が様式第二十八号、現場用が様式第二十九号です。あわせて、2022年1月27日付の国土交通省通知により、一定の要件を満たせば許可票や施工体系図をデジタルサイネージ等の電子機器で掲示することも認められました。

確認項目参照先ポイント
標識の様式国土交通省、各都道府県の窓口店舗用と現場用で様式番号が異なる
デジタル掲示の要件国土交通省の通知視認性や常時確認できる状態が条件
記載事項の更新自社の許可通知書許可番号や業種の最新情報を反映

建設業許可証の掲示義務緩和に関する情報は、国土交通省や各自治体の公式サイトが最も確実です。不明点があれば、許可を所管する行政庁や行政書士へ早めに相談することをおすすめします。

まとめ:建設業許可証の掲示義務緩和で工事現場の標識は元請のみが対象

本記事では、国土交通省による建設業法改正で建設業許可証の掲示義務がどう緩和されたかを解説しました。令和2年10月以降、工事現場の許可票を掲示する義務は元請業者のみに限定され、下請業者は掲示が不要になっています。

ただし緩和は工事現場の標識に限った話です。営業所の許可票はすべての許可業者に引き続き義務として残り、怠れば過料や監督処分の対象になります。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 工事現場の掲示義務は元請のみ、下請は不要
  • 営業所の許可票は全業者に引き続き義務
  • 緩和の代わりに元請が負う施工体系図の記載

自社が元請か下請かを正しく把握すれば、不要な掲示の手間を省きつつ、必要な掲示の抜け漏れも防げます。緩和の趣旨を踏まえた現場運用は、コンプライアンスと業務効率の両立につながります。

掲示義務や許可手続きでお困りの際は、専門の担当者が御社の状況に合わせてご案内します。まずはお気軽にお問い合わせ、または資料請求をご利用ください。

建設業許可証掲示義務緩和国土交通省に関するよくある質問

参考文献

  1. 国土交通省 建設業者が建設工事の現場ごとに掲げる標識の取扱いについて(令和元年6月14日 国土建第52号)
  2. 国土交通省 中部地方整備局 法令遵守【建設業】

執筆者

Construction DX 編集部
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