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建設業許可 専任技術者の要件と証明方法|退職時の対応も解説

制度・法対応

この記事のポイント

建設業許可の専任技術者は国家資格・学歴と実務経験・10年実務経験の3ルートで要件を満たせます。営業所ごとの常勤配置が義務で、退職・不在時は2週間以内に変更届が必要。後継者の事前確保が許可維持の最大のリスク対策です。

建設業許可 専任技術者の要件と証明方法|退職時の対応も解説

「建設業許可を取得したいが、専任技術者として登録できる社員がいるかどうか分からない。国家資格がなくても実務経験10年で代替できるのかを確認したい」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

本記事の内容

  • 専任技術者の定義と主任技術者・監理技術者との役割の違いを整理
  • 国家資格・学歴と実務経験・10年実務経験のみという3つのルートで要件を確認する方法
  • 専任技術者が退職・不在になったときの許可への影響と具体的な対処手順

建設業許可の専任技術者は、一般建設業であれば国家資格・学歴と実務経験・10年実務経験のいずれかのルートで要件を満たすことができます。

専任技術者が退職した場合のリスクと後継対策まで本記事で解説します。最後まで読んで、要件確認と許可維持の準備に役立ててください。

建設業許可における専任技術者とは何か

建設業許可を取得・維持するうえで、専任技術者の配置は経営業務管理責任者と並ぶ中核要件です。まずは建設業許可の基本である取得要件を正確に把握しておくことで、許可申請の準備や将来リスクへの備えをスムーズに進められます。

専任技術者の定義と法的な役割

専任技術者とは、建設業法第7条・第15条に基づき、建設業の許可を受けた業者が各営業所に常勤で配置しなければならない技術者のことです。これは建設業許可における経営管理責任者の要件と並んで重要な人的基準であり、許可を受けようとする建設工事の種類ごとに一定の国家資格や実務経験を持つ者が求められます。

法的な役割は、営業所において工事の見積り・契約・施工計画など技術的な管理を担うことです。建設業許可 専任技術者の制度は、適切な技術力を持たない業者が無制限に受注することを防ぎ、発注者・下請業者を保護する仕組みとして機能しています。

主任技術者・監理技術者との違い

3者は名称が似ていますが、配置場所と役割がまったく異なります。混同すると許可申請や現場管理で重大なミスにつながるため、以下の表で整理しておきます。

区分配置場所役割設置が必要な場面
専任技術者営業所技術的な見積・契約管理建設業許可の取得・維持
主任技術者工事現場施工の技術上の管理全ての工事現場(許可業者)
監理技術者工事現場施工管理+下請指導特定建設業で下請総額4,500万円以上(建築一式7,000万円以上)の現場

専任技術者は営業所に常勤することが原則で、工事現場への専任配置は求められません。一方、主任技術者・監理技術者は工事ごとに現場へ配置される点が大きな違いです。これらは、許可後に掲示する建設業許可票サイズと規定を満たした看板にも技術者名等を明記する必要があるため、混同すると許可申請や現場管理で重大なミスにつながるおそれがあります。

営業所ごとに選任が必要な理由

建設業法は、許可を受けた業種ごとに専任技術者を各営業所へ配置することを義務づけています。複数の業種の許可を持つ場合や、本店と支店の双方で営業する場合は、それぞれの拠点・業種の組み合わせに対応した専任技術者が必要です。この選任にあたっては、建設業許可の実務経験証明書と確認資料を適切に準備して提出しなければなりません。

この要件が設けられている理由は、工事の受注と契約が各営業所を通じて行われるからです。営業所レベルで技術力を担保することで、工事全体の品質と安全性を確保する仕組みになっています。

専任技術者がいないと建設業許可はどうなるか

建設業許可 専任技術者が不在になった場合、建設業法上は許可の取り消し対象となります。これは、法人が建設業許可の欠格要件のチェック範囲に該当するような重大な状態であり、具体的なリスクは次のとおりです。

  • 専任技術者が退職・死亡した日から2週間以内に変更届の提出が義務づけられる
  • 後任の専任技術者を確保できない場合、当該業種の廃業届を提出しなければならない
  • 廃業届を出さずに不在のまま営業を続けると、行政庁による許可取り消し処分の対象になる
  • 許可が取り消されると500万円未満の軽微な工事しか請け負えなくなり、受注できる工事が大幅に制限される
  • 経営事項審査(経審)の評点にも影響が生じ、公共工事の入札参加資格を失うリスクがある

専任技術者の退職は「いつ起きるかわからないリスク」です。後継となりうる技術者を社内で育成しておくことが、許可の継続的な維持には不可欠です。

建設業許可を取るための専任技術者の要件

建設業許可の取得には、営業所ごとに専任技術者を1名以上配置することが義務づけられています。これを満たさずに500万円以上の工事を施工すると建設業許可なしバレるリスクと重い罰則に直面するため、自社が取得する区分を確認してから要件を適切に照合してください。

一般建設業許可の専任技術者要件

一般建設業許可における建設業許可 専任技術者の要件は、次の3つのルートのいずれかを満たすことで認められます。

もし技術者が欠けて補充できない場合は、建設業許可の廃業届の提出期限内に届出を行う必要があり、そうでない場合は強制取り消しとなります。

  1. 許可業種に対応する国家資格を保有している
  2. 指定学科を卒業し、かつ学歴に応じた実務経験年数を満たしている
  3. 許可業種の建設工事について10年以上の実務経験を有している

資格・学歴・実務経験のどれかひとつを満たせば認められるため、無資格でも実務経験が十分にある社員を専任技術者に登録できます。

特定建設業許可の専任技術者要件

特定建設業許可は下請業者への発注総額が一定額を超える場合に必要となり、専任技術者に求められる水準も一般建設業より高くなります。

比較項目一般建設業特定建設業
国家資格業種対応の1・2級施工管理技士等業種対応の1級施工管理技士等(上位資格に限定)
学歴+実務経験指定学科卒+3〜5年の実務経験指定学科卒+3〜5年の実務経験+指導監督的実務経験2年以上
実務経験のみ10年以上認められない(資格または学歴+経験が必須)
指定建設業(土木・建築など7業種)資格または経験で可1級施工管理技士・技術士等の国家資格のみ

特定建設業許可では、学歴と実務経験の組み合わせルートに加えて、請負金額4,500万円以上の工事で2年以上の指導監督的実務経験も求められます。これらの要件を維持できなくなった場合は、建設業許可の取り消しと再取得という深刻な事態を防ぐため、迅速に一般への許可変更等を行う必要があります。

資格ルート:国家資格で専任技術者になる場合(資格一覧)

国家資格を保有している場合は、実務経験の証明なしに建設業許可 専任技術者として登録できます。また、新たな資格者の登録は、将来的な建設業許可の業種追加に必要な書類を揃える際にも重要です。業種ごとに対応する資格が定められており、主な資格は以下のとおりです。

  • 1級建設機械施工管理技士・2級建設機械施工管理技士(第1〜6種)
  • 1級土木施工管理技士・2級土木施工管理技士(土木)
  • 1級建築施工管理技士・2級建築施工管理技士(建築・躯体・仕上げ)
  • 1級電気工事施工管理技士・2級電気工事施工管理技士
  • 1級管工事施工管理技士・2級管工事施工管理技士
  • 1級造園施工管理技士・2級造園施工管理技士
  • 一級建築士・二級建築士・木造建築士
  • 第一種電気工事士・第二種電気工事士(実務経験3年以上を伴うもの)
  • 技術士(建設部門・農業部門・水産部門・森林部門など、業種に対応する部門)

なお、2級資格は一般建設業許可の専任技術者にはなれますが、特定建設業許可では認められない業種があります。特定建設業の指定建設業7業種(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)については、1級施工管理技士・技術士・建築士のいずれかが必須です。

学歴+実務経験ルート:指定学科の卒業で年数を短縮する方法

建設業許可 専任技術者になるための実務経験年数は、指定学科を卒業していると短縮されます。無事に登録して許可を取得した後は、建設業許可証掲示義務緩和国土交通省のルールに従って看板を営業所に掲示します。短縮後の必要年数は以下のとおりです。

最終学歴必要な実務経験年数
大学・高等専門学校(指定学科卒業)3年以上
高等学校・中等教育学校(指定学科卒業)5年以上
専修学校(高度専門士・専門士)(指定学科卒業)大学・高校相当に準じて3〜5年
学歴を問わない(指定学科なし)10年以上

「指定学科」は建設業法施行規則第1条で定められており、建設業の種類ごとに対応する学科が異なります。土木工事業なら土木工学・都市工学・衛生工学・交通工学が代表例で、建築工事業なら建築学・都市工学が該当します。

卒業証明書で学科名を確認し、申請する許可業種の指定学科に該当するかを事前に照合してください。

実務経験のみルート:建設業許可の10年実務経験で認められる条件

資格も指定学科の学歴もない場合でも、建設業許可 専任技術者として認められる方法があります。許可を受けようとする業種の建設工事について、10年以上の実務経験があれば要件を満たせます。

この実務経験ルートで許可を取得した企業であっても、建設業における入札の流れに乗って公共工事を目指すことができます。

実務経験の起算点は「実際に建設工事に従事した期間」であり、営業・事務・設計補助などは原則として算入できません。また、複数の業種を同時並行で経験していても、原則として経験年数の合算はできず、各業種ごとに独立して10年が必要です。

証明書類としては、確定申告書・請求書・注文書・工事台帳など、実際に該当業種の建設工事に携わっていたことを裏付ける書類が必要です。在籍期間の証明には健康保険証や雇用保険被保険者記録照会回答票も使われます。

都道府県によって必要書類の範囲が異なるため、申請先の窓口に事前確認することを推奨します。

専任技術者の実務経験の証明方法と注意点

建設業許可の専任技術者として登録するには、保有資格だけでなく実務経験の証明が必要なケースがあります。証明の方法を正しく理解することで、書類準備の手戻りを防げます。

実務経験として認められる工事の種類

実務経験とは、許可を受けようとする業種に係る建設工事の施工に関する技術上の経験をいいます。具体的には、施工管理・設計・施工・工事監理などの業務が対象です。

単純な雑用・運搬・清掃作業は実務経験に含まれません。建設工事に直接関与しない事務・営業・経理の業務も対象外です。

許可業種ごとに認められる工事の種類が異なるため、申請業種と経験業種が一致しているかを事前に確認してください。

実務経験の証明に必要な書類と準備の手順

建設業許可の専任技術者に実務経験を用いる場合、証明期間(通常10年)の工事実績を客観的な書類で示す必要があります。主な証明書類は以下のとおりです。

  • 工事請負契約書(発注者と請負業者双方の署名・押印があるもの)
  • 注文書および請書のセット(両方がなければ一方だけでは不可の自治体が多い)
  • 工事台帳・注文請書など自社発行書類(補足資料として活用可)
  • 確定申告書(個人事業主の場合や在籍確認ができない場合)
  • 健康保険・厚生年金の被保険者記録照会回答票(在籍期間の証明)

まず申請先の都道府県が定める「実務経験証明書(様式第九号)」を入手し、工事名・期間・請負金額を記入します。次に、各工事に対応する請負契約書または注文書・請書を証明期間分そろえます。

最後に、在籍期間を証明する雇用関係書類と合わせて提出します。書類の不備は受理されないため、窓口への事前相談を推奨します。

10年の実務経験が証明できない場合の対処法

実務経験10年分の書類が手元にない場合でも、学歴を活用することで必要な実務経験年数を短縮できます。建設業法では、指定学科を卒業した者には以下の特例が適用されます。

大学・短期大学・高等専門学校の指定学科卒業者は、卒業後3年以上の実務経験で専任技術者の要件を満たせます。高等学校・中等教育学校の指定学科卒業者は、卒業後5年以上の実務経験で認められます。

専修学校(専門学校)については、専門士・高度専門士の称号をもつ専門課程修了者であれば大学卒業者と同様に3年に短縮されます。

指定学科とは、土木工学・建築学・電気工学・機械工学など許可業種に関連する専門分野です。卒業証明書と成績証明書(指定学科であることの確認用)を合わせて準備してください。

学歴短縮が使えない場合は、社内の有資格者への変更か、資格取得を計画するのが現実的な対処法です。

専任性(常勤性)の要件と認められない事例

建設業許可の専任技術者は、当該営業所に「常勤」して「専ら」その職務に従事することが求められます。以下のケースは専任性が認められない事例として行政が例示しています。

  • 住所と営業所が著しく遠距離にあり、常識上通勤不可能な者
  • 他社の営業所で専任を要する役職(経営業務管理責任者・専任技術者など)を兼任している者
  • 建築士事務所の管理建築士、専任の宅地建物取引士など他法令で専任が求められる者を兼任している者
  • 他の個人事業・法人の常勤役員など、他の営業で専任に近い状態にある者
  • 在籍実態がなく、書面上だけで専任技術者として登録されている者

審査では、雇用保険・健康保険の加入記録、タイムカード、出勤簿などで常勤実態を確認されることがあります。形式だけの登録では、更新時や立入検査で不正と判断されるリスクがあります。

建設業許可の専任技術者は実態を伴った配置が前提です。要件の解釈が不明な場合は、申請前に都道府県窓口へ確認することをお勧めします。

専任技術者の変更・不在が生じたときの対応

建設業許可を維持するうえで、専任技術者(営業所技術者)が欠けた状態は許可の取消リスクに直結します。退職・死亡などの事態が起きた際は、速やかに変更届を提出し、後任を選任することが必要です。

専任技術者が退職・死亡した場合の許可への影響

専任技術者が退職または死亡した場合、その日から建設業許可の要件を満たさない状態になります。後任が確保できなければ、行政庁から許可の取消処分を受ける可能性があります。

建設業法では変更が生じた日から2週間(14日)以内に変更届出書を提出する義務が課されています。ただしこの2週間はあくまで届出の期限であり、後任の選任は変更届の提出と並行して最優先で進める必要があります。

後任の専任技術者を選任するための手順

後任を選任する際は、以下の手順で進めます。

  1. 自社の従業員のなかから、許可業種に対応した国家資格保有者または10年以上の実務経験者を確認する
  2. 社会保険の被保険者記録など、専任性(常勤性)を証明できる書類を準備する
  3. 後任候補者が他社で専任技術者に登録されていないことを確認する
  4. 変更後の専任技術者証明書(様式第8号)と変更届出書(様式第22号の2)を作成する
  5. 許可を受けた行政庁へ2週間以内に提出する

資格・実務経験の証明書類が揃わない場合は、行政書士等の専門家に相談しながら準備を進めることで提出期限内の対応が現実的になります。

変更届出書の提出期限と提出先

変更の種類によって提出期限が異なるため、下表で確認してください。

変更の内容提出期限提出先
専任技術者の変更(退職・新任)変更後2週間以内許可行政庁(大臣許可:国土交通省、知事許可:各都道府県担当部局)
専任技術者の氏名変更(婚姻等)変更後2週間以内同上
決算終了後の事業年度報告事業年度終了後4か月以内同上

2週間の期限を過ぎると行政指導の対象となり、悪質な場合は建設業法違反として罰則(過料)が適用されることもあります。退職が事前に分かっている場合は、後任が決まり次第、在職中の重複期間を設けて届出を行う「前倒し変更」が有効な対策です。

令和6年改正で変わった現場専任規制の合理化ポイント

令和6年(2024年)12月13日に建設業法改正が施行され、主任技術者・監理技術者の現場専任規制が見直されました。合理化の主なポイントは以下のとおりです。

  • 「専任特例1号」の新設:ICT機器を活用した連絡体制を整えたうえで補佐者を配置すれば、専任義務が課される規模の工事であっても技術者が2現場まで兼務できるようになりました
  • 兼務可能な工事規模の要件:各工事の請負金額が建築一式工事で2億円未満、それ以外の工事で1億円未満であることが条件です
  • 「専任技術者」の名称変更:従来の「専任技術者」は「営業所技術者」に改称されました。役割や要件は変わらないため、許可証や社内規程の記載を確認する必要があります
  • 現場兼務のハードル引き下げ:従来は一定規模の工事に一人の専任技術者が必要でしたが、改正後は補佐者配置とICT活用を組み合わせることで人員不足の中小建設業者でも対応しやすくなりました

この改正は技術者不足に悩む中小建設業者にとって大きな緩和措置です。自社の工事規模と要件を照合し、積極的に活用を検討してください。

まとめ:建設業許可の専任技術者は要件確認と後継リスク対策が鍵

建設業許可の専任技術者は、営業所に常勤する形で配置が義務付けられた重要な要件です。一般建設業では国家資格・学歴と実務経験・10年実務経験の3ルートで要件を満たせるかを確認し、特定建設業では一般より厳格な要件が課されます。また専任技術者が退職や死亡によって不在となった場合は2週間以内に変更届を提出する必要があり、後任が決まらないと許可の取り消しにもつながるため、後継者の確保が欠かせません。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 専任技術者は営業所ごとの常勤配置が義務。主任技術者・監理技術者とは役割が異なる
  • 一般建設業は3ルート(国家資格・学歴と実務経験・10年実務経験のみ)、特定建設業はより厳格な要件が必要
  • 退職・不在時は2週間以内に変更届が必要。後継者の事前確保が許可維持の鍵

専任技術者の要件確認や変更届の手続き、後継者の選任について不安がある場合はお気軽にご相談ください。

建設業許可 専任技術者に関するよくある質問

参考文献

  1. 建設産業・不動産業:許可の要件 - 国土交通省
  2. 監理技術者等の専任義務の合理化・営業所技術者等の職務の特例 - 国土交通省
  3. 実務経験による技術者資格要件の見直し(プレスリリース)- 国土交通省

執筆者

Construction DX 編集部
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Construction DX 編集部は、建設DX・建設テック・業界動向に関するニュースや解説記事を制作する編集チームです。最新の技術・市場・制度・導入事例をわかりやすく整理し、建設業界のDX推進に役立つ情報を中立的な視点で発信しています。

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