建設業許可の欠格要件:全14項目と役員チェックの範囲を解説
この記事のポイント
建設業許可の欠格要件は建設業法8条が定める全14項目で、申請者本人だけでなく役員等・令3条使用人まで確認対象となる。顧問・相談役・5%以上の株主は、取締役と同等以上の支配力があるかを個別に判断される。執行猶予満了後は5年の待機不要、対象外の罰金刑は欠格にならない等、条文の正確な理解が許可取得・維持の鍵となる。
「建設業許可を申請したいけど、役員に昔ちょっと問題があって……何年か待てば申請できるのか、そもそも役員を変えれば問題ないのか知りたい」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- 欠格要件の全項目と該当する期間の解説
- 法人・個人事業主でチェック対象者が異なる点
- 役員に該当者がいる場合の実務的な対処法
建設業許可の欠格要件に該当するかどうかは、本人だけでなく役員や令3条使用人まで含めて確認が必要です。
「5年待てば申請できる」「その役員を外せば解決できる」といった判断を誤ると、申請自体が受理されないリスクがあります。本記事で全項目と実務上の注意点を確認しておきましょう。
建設業許可の欠格要件とは:建設業法8条が定める申請資格の基本
建設業許可を取得するには、経営・技術・財産といった要件を満たすだけでは足りません。申請者・役員等・令3条使用人が「欠格要件」に該当しないことも、建設業許可を受けるための条件です。
欠格要件が定められている法的根拠
欠格要件の根拠となる条文は建設業法第8条です。同条は「許可をしてはならない」と明記しており、行政庁に裁量の余地がない絶対的な不許可事由を定めています。特定建設業の許可にも、第17条によって同じ規定が準用されます。
条文の構成は大きく二つに分かれます。
- 申請書・添付書類における虚偽記載または重要事実の欠落
- 申請者本人・役員・令3条使用人(営業所長など)が14の要件のいずれかに該当すること
行政庁は、いずれかに該当することを確認した時点で許可を与えることができません。条件付き許可や猶予といった運用は認められていない点が特徴です。
欠格要件に該当すると許可が受けられない理由
建設業許可制度の目的は、工事の適正な施工の確保と発注者保護にあります。その目的を実現するために、業者として信頼性を欠く者を事前に排除する仕組みが欠格要件です。
欠格要件の具体例としては、破産者で復権を得ない者、不正の手段で許可を受けたことなどにより許可を取り消されて5年を経過しない者、暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者などが挙げられます。これらに該当する者が許可を受けると、工事の不履行・発注者への損害・反社会的勢力の浸透といったリスクが生じるため、「許可をしてはならない」という規定で入口を閉じる仕組みになっています。
欠格要件は取得後の更新審査でも毎回確認される
欠格要件は新規申請時だけでなく、5年ごとの更新審査でも確認されます。根拠は第8条の本文で、許可の更新を受けようとする者については、第1号または第7号から第14号までのいずれかに該当するときに許可をしてはならないと定めています。
更新時に適用される欠格要件の範囲は、新規申請とは一部異なります。
| 場面 | 適用される欠格要件 |
|---|---|
| 新規申請・業種追加など、新たに許可を受ける場合 | 第8条の全14項目(第1号〜第14号) |
| 更新 | 第1号と第7号〜第14号(第2号〜第6号は除外) |
建設業許可事務ガイドラインは、更新で第2号から第6号が除かれる理由を、許可は業種ごとに与えられるため取消しを受けていない他の業種の許可は更新する必要があること、営業の停止や禁止は更新を認めないものではないことと説明しています。
許可取得後に役員が刑事事件で有罪となった場合など、期中に新たな事由が生じることもあります。欠格要件は一時点の審査で終わるものでなく、許可期間を通じて満たし続けなければならない要件です。該当した場合は2週間以内に届け出る義務があり、許可の取消しの対象になります。
他の許可要件(経営管理・技術者・財産的基礎)との違い
建設業許可の主要要件を整理すると、次の4つに大別できます。
| 要件 | 内容の性質 | 主な確認対象 |
|---|---|---|
| 経営業務の管理体制 | 経験・能力の充足 | 経営管理者・補助者の経験年数 |
| 営業所技術者等(旧・専任技術者) | 資格・経験の充足 | 国家資格・実務経験の有無 |
| 財産的基礎 | 財務状況の充足 | 自己資本額・預金残高証明 |
| 欠格要件 | 欠格事由の不存在 | 刑事罰歴・暴力団関係・破産等 |
経営管理・技術者・財産的基礎の三要件は「何かを持っているか」という充足型の審査であり、努力次第で満たすことができます。欠格要件はこれとは逆に「特定の事情がないか」という排除型の審査で、一つでも該当すれば他の要件をすべて満たしていても許可は下りません。
建設業許可の欠格要件:全項目をわかりやすく解説
建設業許可を申請する際、申請者本人だけでなく、役員等や令3条使用人のなかに欠格要件に1つでも該当する人物がいると許可は下りません。建設業法第8条が定める欠格要件は次の14項目で、個人・法人を問わず審査されます。
| 号 | 欠格要件(要旨) |
|---|---|
| 1 | 破産者で復権を得ないもの |
| 2 | 不正の手段で許可を受けたこと、営業停止処分に違反したことなどにより許可を取り消され、取消しの日から5年を経過しない者 |
| 3 | 上記の取消処分に係る聴聞の通知があった後に廃業の届出をし、届出の日から5年を経過しない者 |
| 4 | 第3号の届出があった場合に、聴聞の通知の日前60日以内にその法人の役員等や令3条使用人(個人の場合は令3条使用人)であった者で、届出の日から5年を経過しないもの |
| 5 | 営業の停止を命じられ、停止の期間が経過しない者 |
| 6 | 許可を受けようとする建設業について営業を禁止され、禁止の期間が経過しない者 |
| 7 | 拘禁刑以上の刑に処せられ、刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 |
| 8 | 建設業法、建設工事の施工や労働者の使用に関する一定の法令、暴力団対策法の規定に違反し、または刑法の傷害罪などを犯して罰金の刑に処せられ、刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 |
| 9 | 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者 |
| 10 | 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者(精神の機能の障害により、必要な認知、判断、意思疎通を適切に行うことができない者) |
| 11 | 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者で、法定代理人が上記のいずれかに該当するもの |
| 12 | 法人で、役員等または令3条使用人のうちに第1号〜第4号、第6号〜第10号のいずれかに該当する者があるもの |
| 13 | 個人で、令3条使用人のうちに第1号〜第4号、第6号〜第10号のいずれかに該当する者があるもの |
| 14 | 暴力団員等がその事業活動を支配する者 |
第10号について、建設業許可事務ガイドラインは、成年被後見人または被保佐人に該当しない者は該当しないとしたうえで、該当する場合でも、医師の診断書などにより必要な認知、判断、意思疎通を適切に行えると認められれば欠格事由に当たらないとしています。
このうち実務上とくに問われる5つの類型を、条件・例外・注意点を含めて解説します。
破産者で復権を得ていない場合
破産手続開始の決定を受け、まだ復権を得ていない者は許可を受けられません。重要なのは「復権を得ていない」という状態が続く間だけが欠格に当たる点です。
破産手続が開始されても、免責許可決定が確定すれば復権となり欠格要件から外れます。過去に自己破産した経歴があっても、すでに免責を受けているのであれば問題ありません。
免責不許可決定を受けたまま放置している場合や、現在も破産管財人による財産処分が進行中である場合は欠格に該当します。申請前に免責決定の有無を確認し、必要であれば裁判所の書類を準備しておくことが重要です。
拘禁刑以上の刑に処せられ刑の執行終了から5年未経過の場合
拘禁刑以上の刑に処せられ、刑の執行を終えた日(または執行を受けることがなくなった日)から5年を経過しない者は欠格に該当します(第7号)。2025年6月1日の刑法改正の施行で、懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されました。対象となる罪の種類に限定はなく、どのような罪であっても拘禁刑以上の刑であれば一律に適用されます。
執行猶予がついた場合の扱いは、多くの方が誤解しやすい点です。執行猶予期間中は欠格要件に該当するため、その間は許可を受けられません。
執行猶予期間が満了すれば刑の言い渡し自体がなかったものとみなされるため、満了後に追加で5年間待つ必要はなく直ちに許可申請が可能となります。大阪府の手引きも、執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予期間を経過した者は欠格事項に該当しないとしています。
仮釈放の場合は刑期全体の終了日から5年間が欠格期間となります。執行猶予と実刑では期間計算の起点が大きく異なるため、役員の状況を正確に把握しておく必要があります。
罰金刑の対象となる法令違反(建設業法・暴力行為等処罰法ほか)
拘禁刑以上の刑でなくとも、特定の法令に違反して罰金刑に処せられた場合も欠格要件に当たります。欠格となる罰金刑の対象は建設業法第8条第8号と建設業法施行令に定められており、以下のとおりです。
- 建設業法
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(一部の規定を除く)
- 暴力行為等処罰に関する法律
- 刑法(傷害罪・現場助勢罪・暴行罪・凶器準備集合罪・脅迫罪・背任罪)
- 建築基準法・宅地造成等規制法・都市計画法・景観法のうち、行政庁の命令に違反した場合の罰則
- 労働基準法第5条・第6条、職業安定法第44条、労働者派遣法第4条第1項に違反した場合の罰則
道路交通法違反の罰金など、ここに挙がっていない法令による罰金刑は対象外です。この扱いは一般建設業と特定建設業で変わりません。建設業法違反(無許可営業など)はもちろん、傷害・暴行・脅迫といった刑法犯でも罰金刑であれば欠格となります。
刑の執行終了日(または執行を受けることがなくなった日)から5年が経過するまで許可は受けられません。
不正手段による許可取得・取消しから5年未経過の場合
不正な手段で建設業許可を取得したとして許可を取り消された場合、取消しの日から5年間は再取得ができません(第2号)。「不正な手段」とは、申請書類への虚偽記載や経験年数の水増し、営業所技術者等(旧・専任技術者)が実際には常勤していないのに常勤していると申告するケースなどが典型例です。
聴聞の通知を受けた後に廃業届を提出した場合も同様に扱われます。取消処分を免れるために廃業届を出しても、届出日から5年間は許可を受けられません(第3号)。
この廃業届を出した法人で、聴聞の通知の日前60日以内に役員等や令3条使用人であった人も、届出の日から5年間は欠格要件に該当します(第4号)。こうした人を別の会社が役員等に迎えると、その会社が第12号に該当します。事業承継や役員交代の際には、候補者が過去に在籍した会社の処分歴を必ず確認してください。
暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年未経過の場合
現役の暴力団員は当然欠格に該当しますが、暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者も同様に欠格要件に当たります(第9号)。暴力団員等が事業活動を支配している場合も、許可は受けられません(第14号)。これらの暴力団排除条項は、平成26年(2014年)の建設業法改正で整備されました。
欠格の判断対象となるのは申請者本人だけではなく、以下のいずれかに該当する者が1人でもいる場合は許可されません。
- 取締役・執行役・業務を執行する社員・組合等の理事などの役員
- 支配人・営業所長などの令第3条に規定する使用人
- 相談役・顧問・総株主の議決権の5%以上を持つ株主などで、取締役と同等以上の支配力を有すると認められる者
監査役や会計参与は役員に含まれませんが、名称を問わず取締役と同等以上の支配力を持つ者は審査の対象となります。株主構成の変更や役員の新規就任の際は、暴力団との関係性について慎重に確認することが不可欠です。
建設業許可の欠格要件:法人・個人事業主で異なるチェック対象者の範囲
欠格要件のチェックは申請者本人だけを見ればよいわけではありません。建設業法は法人と個人事業主とで、確認すべき関係者の範囲を明確に区別しています。
法人の場合:役員等・令3条使用人が対象になる
法人が建設業許可を申請する場合、チェック対象は「役員等」と「令3条使用人」の2グループです。
役員等に当たるのは、取締役・執行役・業務を執行する社員(持分会社の場合)・法人格のある組合等の理事などです。建設業許可事務ガイドラインは、執行役員、監査役、会計参与、監事、事務局長などは原則として役員に含まれないとしています。
これに加えて、顧問、相談役、総株主の議決権の5%以上を持つ株主、出資総額の5%以上を出資している者(いずれも個人)は、取締役と同等以上の支配力を持つ可能性がある者として「役員等の一覧表」に記載します。これらの人が欠格要件に該当した場合は、実際に同等以上の支配力を持つかどうかが個別に判断されます。
令3条使用人とは、支配人のほか、支店長・営業所長など、請負契約を締結する営業所の代表者です。関東地方整備局の手引きでは、役員等と令3条使用人について、誓約書(様式第6号)、住所・生年月日等に関する調書(様式第12号・第13号)、「登記されていないことの証明書」、市町村長が発行する「身分証明書」を提出します。株主等の変更を届け出る場合は、後ろの2つの証明書は不要です。
個人事業主の場合:本人・支配人・令3条使用人が対象になる
個人事業主の場合は、本人・支配人・令3条使用人の3者が対象です。支配人は事業主に代わって営業活動の一切を任される代理人で、商業登記により登記されます。
登記された支配人は欠格要件のチェックを受け、申請後も継続的に要件を満たし続ける必要があります。
法人と個人事業主のチェック対象の違いを整理すると、以下のとおりです。
| 区分 | チェック対象 |
|---|---|
| 法人 | 役員等(取締役・執行役・業務を執行する社員・組合等の理事など)、令3条使用人。顧問・相談役・5%以上の株主等は支配力を個別に判断 |
| 個人事業主 | 本人、支配人、令3条使用人 |
株主・出資者が欠格要件のチェック対象になるケース
法人の場合、一定の株主や出資者も、役員等に当たる可能性がある者として確認の対象になります。申請書類に記載するのは、株式会社であれば総株主の議決権の5%以上を持つ株主、その他の法人であれば出資総額の5%以上を出資している者で、いずれも個人に限られます。
5%未満であっても、役職を問わず取締役と同等以上の支配力を持つ者がいれば、その者も役員等の一覧表に記載します。持株比率だけで対象外と判断しないよう注意してください。
関東地方整備局の手引きでは、5%以上の株主等に変更があった場合、変更を知ってから30日以内に、変更届出書(様式第22号の2)と株主(出資者)調書(様式第14号)などを提出します。届出をしない場合は、建設業法第50条により6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。
役員に該当者がいる場合の現実的な対処法
役員の中に欠格要件に該当する者がいる場合、その役員が在籍している間は建設業許可の申請ができません。以下の手順で対処するのが現実的です。
- 該当する役員を退任・辞任させる
- 法務局で役員変更登記を完了させる
- 変更後の登記事項証明書を取得する
- 登記内容を確認したうえで建設業許可の申請書類を準備する
退任のタイミングと申請のタイミングは慎重に管理する必要があります。役員変更登記が完了する前に申請書を提出しても、登記簿上は該当役員が在籍している状態のため受理されません。
退任させた役員が「相談役」や「顧問」として実質的に経営に関与し続ける場合、形式上の退任であっても欠格要件の対象になり得ます。肩書を変えるだけでは解決にならないため、実態として経営への関与を断つことが必要です。
欠格期間が設定されている事由(たとえば許可取消しから5年間など)については、期間の満了を待つ以外に方法はありません。
建設業許可の欠格要件に関するよくある誤解と実務上の注意点
欠格要件は、「刑事罰を受けたら即アウト」「執行猶予が終われば5年待つ必要がある」といった誤解が多い分野です。実際の条文と運用を正確に理解することが、許可の維持・取得に直結します。
執行猶予中は欠格要件に該当するか
結論から言えば、執行猶予中は欠格要件に該当し、建設業許可を取得できません。
建設業法第8条は、拘禁刑以上の刑または特定の法令に基づく罰金刑に処せられ「その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者」を欠格要件と定めています。執行猶予期間中は「刑の執行を受けることがなくなった」状態ではないため、欠格要件に該当し続けます。
よくある誤解は「執行猶予期間が終わってから5年待たなければならない」というものです。これは誤りで、執行猶予期間が満了した時点で欠格要件から外れます。
5年のカウントが始まるのは実刑の執行が終わった場合のみです。執行猶予が満了すれば待機期間なく許可申請が可能になります。
| 状況 | 欠格要件への該当 |
|---|---|
| 執行猶予期間中 | 該当する |
| 執行猶予期間満了の翌日以降 | 該当しない(5年待ち不要) |
| 実刑の刑期終了後5年未満 | 該当する |
| 実刑の刑期終了後5年以上経過 | 該当しない |
法人の場合、役員や令第3条使用人が執行猶予中であれば、その人物が在任している限り法人全体の許可が取り消されます。退任・解任によって欠格要件を持つ人物を外すことで、許可の維持が可能です。
罰金刑なら必ず欠格要件に該当するわけではない
罰金刑であれば一律に欠格要件に該当すると思われがちですが、欠格要件となる罰金刑は特定の法令違反に限定されています。
欠格要件となる罰金刑の対象法令は以下のとおりです。
- 建設業法違反
- 建築基準法・宅地造成等規制法・都市計画法・景観法・労働基準法・職業安定法・労働者派遣法のうち政令で定める規定の違反
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律違反
- 刑法上の傷害・現場助勢・暴行・凶器準備集合・脅迫・背任の罪
- 暴力行為等処罰に関する法律の罪
これらに該当しない罰金刑は、欠格要件になりません。交通違反の反則金(青切符)は行政上の反則金であり、そもそも欠格要件とは無関係です。
飲酒運転で正式裁判に付されて罰金刑を受けた場合も、道路交通法違反は対象法令に含まれないため欠格要件には該当しません。
ただし、対象外の法令や罪名であっても、拘禁刑以上の刑に処せられた場合は、罪の種類を問わず第7号の欠格要件に該当します。判断に迷う事案は行政書士や弁護士に確認することを勧めます。
欠格事由が発生した場合に事業者が取るべき手続き
欠格事由が発生した場合、事業者は迅速に対応しなければなりません。放置すれば許可取消処分の対象となり、届出をしなかったこと自体も建設業法第50条の罰則の対象になります。
対応の基本は「欠格要件に該当した人物を速やかに退任・解任し、必要な届出を行う」ことです。
届出期限は内容によって異なります(関東地方整備局の手引き)。
| 届出の内容 | 期限 | 主な様式 |
|---|---|---|
| 欠格要件に該当するに至ったとき | 2週間以内 | 届出書(様式第22号の3) |
| 経営業務の管理責任者・営業所技術者等(旧・専任技術者)・令第3条使用人の変更 | 変更後2週間以内 | 変更届出書(様式第22号の2)など |
| それ以外の役員等の就任・退任 | 変更後30日以内 | 変更届出書(様式第22号の2) |
届出だけでなく、後任者の選任も同時に進める必要があります。経営業務の管理責任者や営業所技術者等が欠格事由によって不在になり、要件を満たす後任者を立てられない場合は廃業届の提出が必要になります。
欠格事由の発生が刑事手続きに連動する場合、判決確定の時点で欠格要件に該当することが多いです。有罪判決が出た段階で直ちに許可行政庁に相談し、対応を協議することが現実的な対処です。
許可申請の書類で虚偽記載をした場合のリスク
申請書類への虚偽記載は、欠格事由を隠蔽しようとして行われるケースが多く、これ自体が重大な違反行為です。
刑事罰の面では、許可申請書や添付書類に虚偽の記載をして提出すると、建設業法第50条により6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。虚偽または不正の事実に基づいて許可を受けた場合は、第47条により3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。いずれも両罰規定(第53条)により、行為者に加えて法人にも罰金刑が科されます。
行政処分の面では、虚偽の申請により取得した許可は取り消され、その後5年間は新たな許可を取得できません。欠格事由を隠して取得した許可が取り消されれば、取り消し日から5年間の制限という、隠蔽前より重い制裁を受けることになります。
許可申請書には誓約書(様式第6号)を添付し、申請者・役員等・令3条使用人が欠格要件に該当しないことを誓約します。建設業許可事務ガイドラインは、申請書類の記載と異なる事実が確認され、それが第8条に該当する場合は、原則として虚偽申請として取り扱うとしています。
不安がある場合は、申請前に行政書士に状況を正直に打ち明けることが、結果的に事業を守ることにつながります。
まとめ:建設業許可の欠格要件は役員・使用人まで含めて事前確認が必須
本記事では、建設業法8条が定める欠格要件の基本から全項目の解説、チェック対象者の範囲、よくある誤解と実務注意点までを体系的に紹介しました。欠格要件は申請者本人だけでなく、役員や令3条使用人まで広く及ぶため、事前の確認作業が許可取得の成否を左右します。
本記事のポイント
- 建設業許可の欠格要件は建設業法8条に定められており、破産者で復権を得ない者や暴力団員など全14項目のいずれにも該当しないことが必要
- 法人の場合は役員等・令3条使用人が欠格要件のチェック対象となり、顧問・相談役・5%以上の株主も支配力しだいで対象になるため、個人事業主より確認範囲が広い
- 欠格要件への該当が発覚した場合は許可取消となるため、役員交代・持株変更などの対処を許可申請前に完了させることが重要
本記事を読み終えた今、建設業許可の申請に向けてどの書類を準備し、誰を対象にチェックすればよいかが明確になったはずです。欠格要件は一度でも見落とすと許可取消という重大なリスクにつながります。
申請書類の準備や欠格要件の事前確認は、早い段階で専門家に相談することで手戻りを最小化できます。建設業の制度改正や現場DXの新着記事は、メルマガでお知らせしています。実務で使える早見表や記入例は、お役立ち資料から無料でダウンロードできます。
建設業許可の欠格要件に関するよくある質問
参考文献
執筆者
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