建設業許可の業種追加とは?要件と申請手続き・必要書類を解説
この記事のポイント
建設業許可の業種追加は、追加業種ごとに営業所技術者等(旧・専任技術者)を配置し、経営業務管理責任者や財産的基礎などの要件を満たして申請する手続きです。許可手数料は知事許可・大臣許可とも一般・特定の区分ごとに5万円。標準処理期間は東京都知事許可で受付後25日(閉庁日を除く)、大臣許可(関東地方整備局)でおおむね90日です。一般のみの会社が特定を取る場合などは、業種追加ではなく般・特新規になります。
「すでに建設業許可を持っていますが、新しい工事業種を増やすにはどうすればよいのでしょうか。許可区分の選択や専任技術者の要件でつまずいて、申請が通らないことだけは避けたいです」。
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- 建設業許可の業種追加に必要な要件
- 申請手続きの流れと必要書類
- 申請で失敗しないための注意点
建設業許可の業種追加は、専任技術者や経営業務の管理責任者などの要件を満たし、必要書類をそろえて窓口へ申請する手続きです。
本記事を読めば、許可区分の選択ミスや届出漏れといった落とし穴を避け、受注機会を広げる準備が整います。要件確認から申請完了までの全体像を、順を追って確認していきましょう。
建設業許可の業種追加とは
すでに建設業許可を取得するメリットを活かして営業しているなかで、持っている許可へ別の工事業種を後から加える手続きが、建設業許可の業種追加です。事業拡大や取引先からの要請で新しい工事を請け負うとき、対象業種の許可がなければ受注できないため、この手続きが欠かせません。
ここでは仕組みと申請区分の違い、必要になる場面、一般と特定の区分との関係を順に整理します。
業種追加で許可業種を増やす仕組み
建設業許可の業種追加とは、現在の許可に新たな業種を上乗せして許可業種を増やす申請です。建設業の許可は29業種に分かれており、申請時に指定した業種ごとに与えられます。
29業種は、建築一式工事と土木一式工事という2つの一式工事と、27の専門工事で構成されます。なお解体工事業は平成28年6月1日に、とび・土工工事業から独立して新設され、これにより許可業種が28から29へ増えました。
許可は業種単位のため、取得済みの業種で別の工事をまかなうことはできません。例えば内装仕上工事の許可だけでは、屋根工事を独立して請け負う許可にはならず、屋根工事業を追加する必要があります。
許可業種を増やす主な流れは次のとおりです。
- 追加したい業種の営業所技術者等(旧・専任技術者)を確保する
- 追加業種に対応した申請書と確認資料を準備する
- 営業所の所在地に応じて知事または大臣あてに業種追加申請を行う
新規申請や更新申請との違い
業種追加が新規申請や更新申請と異なるのは、目的と手数料の扱いです。新規はゼロから許可を取る手続き、更新は既存の許可を継続する手続き、業種追加は許可中の事業者が業種を増やす手続きという位置づけになります。
3つの申請区分の違いを表にまとめます。
| 申請区分 | 主な目的 | 法定手数料の目安 |
|---|---|---|
| 新規申請 | 許可を初めて取得する | 知事許可は9万円、大臣許可は登録免許税15万円 |
| 更新申請 | 既存の許可を継続する | 5万円 |
| 業種追加 | 許可に業種を加える | 5万円 |
業種追加の手数料は1業種でも複数業種でも一律5万円で、知事許可も大臣許可も同じ額です。一般建設業と特定建設業の区分ごとに課されるため、同じ区分で複数の業種をまとめて追加しても金額は変わりません。一般と特定の両方で同時に業種を追加する場合は、5万円ずつで10万円になります。
更新と同じ時期に業種追加を行う場合は、更新の5万円と業種追加の5万円が別々にかかります。一方で、同時に申請すると許可日を一本化でき、その後の更新時期をそろえられる利点があります。
申請区分の定義は、国土交通省の許可申請の手続きと建設業許可事務ガイドラインで次のように決められています。「業種を増やす」申請がすべて業種追加になるわけではありません。
| 現在の許可 | 新たに申請する許可 | 申請区分 | 手数料(1区分あたり) |
|---|---|---|---|
| 一般建設業 | 別の業種の一般建設業 | 業種追加 | 5万円 |
| 特定建設業 | 別の業種の特定建設業 | 業種追加 | 5万円 |
| 一般建設業のみ | 特定建設業(持っている業種でも別の業種でも) | 般・特新規 | 知事許可は9万円、大臣許可は登録免許税15万円 |
| 特定建設業のみ | 別の業種の一般建設業 | 般・特新規 | 知事許可は9万円、大臣許可は登録免許税15万円 |
| 一般と特定の両方 | 別の業種の一般建設業または特定建設業 | 業種追加 | 5万円 |
業種追加が必要になるケース
業種追加が必要になるのは、許可を持たない業種で500万円以上の工事を請け負う場面です。許可なしで請け負えるのは1件500万円未満の工事に限られるため、それ以上の受注では、対象となる業種の許可が欠かせません。
代表的なケースは次の3つです。
- 既存業種以外の工事で、1件500万円以上の案件を受注する
- 元請や公共発注者から、特定業種の許可保有を契約条件として求められる
- 新たな資格者の採用や社内での資格取得により、別業種の営業所技術者等を配置できるようになる
これらの場面で許可がないまま工事を請け負うと、建設業法違反となるおそれがあります。受注機会を逃さないためにも、早めの業種追加が望まれます。
一般建設業と特定建設業の区分との関係
業種追加では、追加する業種を一般建設業と特定建設業のどちらで取るかが論点になります。同じ業種で両方の区分を同時に持つことはできず、業種ごとにいずれか一方を選びます。
一般と特定は、下請に出す金額の規模で分かれます。発注者から直接請け負った工事で、下請代金の合計が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)になる場合に特定建設業の許可が求められ、それ以外は一般建設業で対応します。
業種ごとに区分を選べるため、ある業種は特定、別の業種は一般という組み合わせも可能です。ただし、すでに一般のみを持つ事業者が初めて特定の業種を加える場合は、通常の業種追加ではなく般・特新規という別区分の手続きになります。
区分の選択を誤ると審査が通らないため、追加業種ごとに発注規模を確認したうえで、一般と特定のいずれが適切かを見極めることが重要です。
業種追加に必要な要件
建設業許可の業種追加では、新規許可のときと同じ基本要件を改めて満たす必要があります。追加する業種が独立した一つの許可として審査されるためです。
営業所技術者等(旧・専任技術者)と経営業務の管理責任者の体制、財産的基礎、欠格要件と誠実性、社会保険への加入という5つの観点を順に確認すれば、申請後の差し戻しを防げます。
専任技術者の資格と実務経験
業種追加で最も多くつまずくのが専任技術者の確保です。追加する業種ごとに、その工事の技術者を営業所へ常勤で配置しなければなりません。
専任技術者は、令和6年12月から法令上の名称が「営業所技術者等」(一般建設業は営業所技術者、特定建設業は特定営業所技術者)に変わりました。一般建設業で認められるルートは次の3つです。
- 追加業種に対応する国家資格を持つ
- 指定学科の卒業に加え一定年数の実務経験を積む(大学・高専卒は3年以上、高校卒は5年以上)
- 実務経験のみで10年以上を証明する
実務経験で証明する場合、業種ごとに期間を重複してカウントできない点に注意が必要です。たとえば大工工事で10年、内装仕上工事で10年を別々に求めるなら、原則として通算20年分の実績を集めることになります。
ただし、関連する業種間で経験を振り替える緩和措置があります。東京都の建設業許可申請変更の手引(令和7年度)によると、対象の業種で8年を超える実務経験があり、振替元の業種と合わせて12年以上の実務経験を証明できれば要件を満たします。振替えができる組合せは次のものに限られます。
| 振替元の業種の経験 | 振替えできる対象の業種 |
|---|---|
| 土木一式工事 | とび・土工、しゅんせつ、水道施設 |
| 建築一式工事 | 大工、屋根、内装仕上、ガラス、防水、熱絶縁 |
| 大工工事 | 内装仕上(相互に振替え可能) |
| 内装仕上工事 | 大工(相互に振替え可能) |
| とび・土工工事(平成28年5月31日以前の経験のみ) | 解体 |
たとえば内装仕上工事業を追加する場合、内装仕上の経験が8年を超え、建築一式工事の経験と合わせて12年以上あれば、内装仕上だけで10年に届かなくても要件を満たします。同手引は、この振替えによる短縮は指定学科による期間の緩和と併用できないとしています。このほか、施工管理技士の一次検定合格者が短い実務経験で要件を満たせる例も増えました。
すでに営業所技術者等として届け出ている人が追加業種も担当できる場合は、その人を追加業種の技術者にできます。国土交通省のガイドラインは、一つの業種で要件を満たす者が他の業種の要件も満たしているときは、その者をもって他の業種の要件も満たすものとして取り扱えるとしています。
経営業務の管理責任者の体制
経営業務の管理責任者は、建設業の経営を適切に行える人を会社に置くための要件です。法人の場合、常勤役員のうち1人が建設業に関する経営経験を5年以上持つことが基本になります。
2020年10月の改正で要件は大きく緩和されました。改正前は許可を取りたい業種と同じ業種での経営経験が求められましたが、現在は業種を問わず建設業での経営経験があれば認められます。
業種追加にあたって経営業務の管理責任者を新たに立て直す必要は通常ありません。これは個人事業主の場合も同様です。十分な経営経験を持つ経営者がいない場合は、それを補佐する人を配置して要件を満たす方法も使えます。
財産的基礎を満たす条件
財産的基礎は、工事を安定して請け負える資力があるかを確認する要件です。一般建設業の許可では、直近の決算で自己資本が500万円以上あること、または500万円以上を調達できる能力があることが求められます。
後者を証明する手段は、金融機関が発行する残高証明書が一般的です。
業種追加で見落としやすいのが、許可からの経過年数による取り扱いの違いです。新規許可から5年間継続して営業した実績があれば、財産的基礎は確認済みとみなされ証明書類を省略できます。
一方で新規許可後5年以内に業種追加を申請する場合は、改めて確認書類の提示を求められることがあります。直前の決算で自己資本が500万円以上あれば財務諸表で確認でき、500万円に満たない場合に残高証明書などが必要になります。残高証明書には有効期限があり、東京都の手引は証明日が受付日から1か月以内のもの、大阪府の手引きは残高日が申請日前4週間以内のものを求めています。発行日ではなく、残高を証明する日で数える点に注意してください。
| 申請の状況 | 財産的基礎の確認 |
|---|---|
| 新規許可から5年経過後の業種追加 | 継続営業の実績で確認済みとみなされ書類省略が可能 |
| 新規許可から5年以内の業種追加 | 500万円の残高証明書など確認書類の提示を求められる場合がある |
| 更新のみ | 残高証明書は原則不要 |
欠格要件と誠実性の確認
欠格要件は、許可を与えるのにふさわしくない事情がないかを審査する項目です。役員や事業主が一つでも該当すると、業種追加であっても許可は下りません。
代表的なものを整理します。
- 申請書類に虚偽の記載があり、または重要事項の記載が欠けている
- 拘禁刑以上の刑を受け、執行終了などから5年を経過していない
- 建設業法や建築基準法、労働基準法などの違反で罰金刑を受け5年を経過していない
- 暴力団員、または暴力団員でなくなってから5年を経過していない
誠実性は、請負契約に関して不正や不誠実な行為をするおそれがないかを問う要件です。不正な行為とは契約の締結や履行での詐欺、脅迫、横領などを指し、不誠実な行為とは工事内容や工期について契約に違反することを指します。
役員に過去の処分歴がある場合は、申請前に該当しないか必ず確認しておくと安心です。
社会保険への加入
社会保険への加入は、2020年10月の改正で建設業許可の要件として明確化されました。健康保険、厚生年金保険、雇用保険の3つに適切に加入していることが、業種追加の申請でも確認されます。
未加入のままでは新規許可も業種追加も認められず、建設業許可の更新手続きを行うこともできません。健康保険と厚生年金保険は、法人であれば原則として適用事業所となり、個人事業主は家族従業員を除く従業員が5人以上の場合に原則として適用事業所となります。従業員が5人未満の個人事業所は、健康保険と厚生年金保険が適用除外です。雇用保険は、法人・個人を問わず、労働者を1人でも雇っていれば適用されます。
申請時には加入状況を示す書類の提出が求められます。追加業種の手続きに入る前に納付状況を確認しておきましょう。
業種追加の申請手続きと必要書類
建設業許可の業種追加は、新規許可に準じた手続きで進めます。営業所技術者等の確保から窓口申請まで、決まった順序で書類をそろえることが、スムーズな許可取得への近道です。
ここでは4つのステップと、処理期間や手数料の目安を順に説明します。
①:専任技術者を確保する
業種追加では、追加する業種ごとに営業所技術者等(旧・専任技術者)を営業所に配置します。許可を受けようとする工事の専門知識を、技術面から保証する責任者だからです。
資格や実務経験で要件を満たす技術者を選んだら、ここでは配置と常勤の証明が手続きの起点になります。営業所に常勤していることを、確認資料で示す必要があるためです。関東地方整備局の建設業許可申請・変更の手引きは、健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書の写しや、住民税特別徴収税額通知書の写しなどを常勤性の確認資料に挙げています。確認では勤務先と自宅の位置関係も見られます。
実際の手続きでは、誰をどの業種の営業所技術者等にあてるかを先に確定させます。資格がなく実務経験のみで証明する場合は、業種ごとに10年分の経験が必要になる点に注意してください。
②:申請書と必要書類をそろえる
営業所技術者等が決まったら、建設業許可申請書一式を作成します。業種追加でも申請書や技術者の証明書は新たに作成しますが、すでに提出している書類の一部は省略できます。
主な提出書類は以下のとおりです。
| 書類 | 様式 | 役割 |
|---|---|---|
| 建設業許可申請書 | 様式第1号 | 追加する業種や許可区分を記載する基本書類 |
| 営業所技術者等証明書(新規・変更) | 様式第8号 | 配置する技術者の資格や経験を示す書類 |
| 実務経験証明書 | 様式第9号 | 資格がない場合に経験年数を証明する書類 |
| 財産的基礎の確認資料 | 財務諸表、残高証明書など | 一定の資金や信用があることを示す書類 |
国土交通省の建設業許可事務ガイドラインは、業種追加(般・特新規を含む)で省略できる書類を次のように定めています。
| 対象 | ガイドラインの取扱い |
|---|---|
| 施行規則第4条第1項の添付書類 | 令第3条の使用人の一覧表(様式第11号)、許可申請者の調書(様式第12号)、令第3条の使用人の調書(様式第13号)、同項第5号・第6号の証明書だけを提出すればよく、ほかは省略できる |
| 営業所技術者等の要件を証明する書類 | その技術者が現在担当している業種に係る証明書は省略できる。同じ証明書が新たに追加する業種の証明も兼ねる場合は省略できない |
省略の可否や確認資料の範囲は許可行政庁によって異なるため、提出先の手引きにある申請区分別の一覧表で確認してください。
許可区分は、現在持っている許可と同じ区分で追加します。一般建設業許可なら一般の業種を、特定建設業許可なら特定の業種を追加する流れです。
区分を取り違えると申請が通らないため、最初に確認しておきましょう。
③:工事経歴書と確認資料を準備する
申請書とあわせて、工事経歴書と直前3年分の工事施工金額の書類を用意します。これらは事業者の施工実績を裏づける重要な資料です。
工事経歴書は様式第2号、直前3年の各事業年度における工事施工金額は様式第3号で作成します。両者は金額が連動するため、工事経歴書の合計と施工金額の数値を一致させてください。
実務経験で営業所技術者等を証明する場合は、契約書や注文書など経験を裏づける確認資料も添えます。これらの整合が取れていないと、審査の途中で補正を求められることがあります。
④:窓口へ業種追加を申請する
書類が整ったら、許可行政庁の窓口へ建設業許可の業種追加を申請します。一つの都道府県のみに営業所がある場合は知事許可、複数の都道府県にまたがる場合は国土交通大臣許可の窓口が対象です。
申請前に、過去の決算変更届を毎年提出できているか確認しておきましょう。提出漏れがあると、業種追加の申請を受け付けてもらえないためです。
既存の許可と有効期間を一本化する制度を使えば、更新時期をそろえて管理の手間を抑えられます。内容に問題がなければ受理され、審査へ進みます。関東地方整備局は申請書類を原則として郵送で受け付けており、提出方法も提出先ごとに異なります。
標準処理期間と手数料の目安
業種追加にかかる期間と手数料は、許可区分によって変わります。あらかじめ目安を把握しておくと、受注スケジュールを立てやすくなります。
| 項目 | 知事許可 | 大臣許可 |
|---|---|---|
| 標準処理期間 | 東京都は受付後25日(土日祝日などの閉庁日を除く) | 関東地方整備局はおおむね90日程度 |
| 許可手数料 | 一般・特定の区分ごとに5万円 | 一般・特定の区分ごとに5万円(収入印紙) |
標準処理期間は、東京都の手引(令和7年度)と関東地方整備局の手引きに記載された日数です。どちらも補正にかかる期間は含みません。知事許可の標準処理期間は都道府県ごとに定められているため、申請先の手引きで確認してください。
手数料は、知事許可も大臣許可も、追加する業種数にかかわらず一律です。1業種でも複数業種をまとめて追加しても、同じ許可区分なら5万円で済みます。大臣許可で15万円の登録免許税がかかるのは、新規、許可換え新規、般・特新規の場合です。
行政書士へ手続きを依頼する場合は、これとは別に報酬が発生します。期間には余裕を持たせ、追加業種で500万円以上の工事を受注する前に許可を取得しておくと安心です。
業種追加で注意すべきポイント
建設業許可の業種追加は、要件を満たすだけでは進みません。過去の届出状況や許可の有効期間、許可区分といった条件を見落とすと申請が止まることがあるため、つまずきやすい4つの注意点を順に整理します。
決算変更届の提出漏れを防ぐ
業種追加の前に、決算変更届を毎年提出できているか必ず確認してください。提出漏れがあると、業種追加の申請そのものを受け付けてもらえないためです。東京都の手引も、必要な届出のない状態では、般・特新規申請、業種追加申請、更新申請は受付できないと明記しています。
決算変更届とは、毎事業年度の終了後に工事実績や財務内容を届け出る手続きで、決算後4か月以内の提出が原則です。許可行政庁は、過去の届出が漏れなく出ていることを業種追加申請の前提としています。
過去分が未提出の場合は、遡ってまとめて提出してから業種追加に進みます。直前の対応にならないよう、次のように準備しておくと安心です。
- 過去5年分の決算変更届がすべて提出済みか確認する
- 未提出の年度があれば、遡って作成し先に提出する
- 商号や役員などの変更届に漏れがないかもあわせて点検する
許可の有効期間を一本化する
複数の許可を持っている場合は、有効期間の一本化を検討すると管理が楽になります。一本化とは、許可年月日が異なる2つ以上の許可について、満了日を同じ日にそろえる仕組みです。
許可年月日がばらばらのままだと、更新の時期も別々に訪れます。そのたびに申請が必要となり、更新を1つでも忘れると、その業種の許可が失効してしまいます。
業種追加のタイミングで、有効期間が残っている既存の許可も同時に更新すれば、満了日を1つにまとめられます。次回以降の更新を一度の手続きで済ませられる点が大きな利点です。
更新と業種追加を同時に申請する
更新の時期が近いなら、更新と業種追加を同時に申請する方法があります。手続きを1回にまとめることで、行政庁とのやり取りや書類準備の負担を減らせます。
ただし、申請書と手数料はそれぞれ必要です。業種追加の手数料は5万円、更新の手数料も5万円で、同時申請でも合算してかかります。
同時申請には、更新する既存許可の有効期間が一定以上残っていることが条件です。業種追加の審査に一定の期間がかかるためで、期限は許可行政庁によって異なります。
| 許可行政庁 | 業種追加と更新を同時に申請できる期限 |
|---|---|
| 国土交通大臣許可(ガイドライン、関東地方整備局の手引き) | 既存の許可の有効期間が原則として6か月以上残っていること(満了日の6か月前まで) |
| 東京都知事許可(東京都の手引) | 許可の有効期間が満了する日の30日前までに受付が可能である場合 |
早めに動けば一本化と組み合わせられるため、両者の違いを下表で確認してください。
| 項目 | 業種追加のみ | 更新と同時申請 |
|---|---|---|
| 手数料 | 5万円 | 業種追加5万円+更新5万円 |
| 申請書 | 業種追加分のみ | 業種追加分と更新分 |
| 有効期間 | 既存許可は従来どおり | 満了日を一本化できる |
| 向いている人 | 更新まで期間がある場合 | 更新が近い場合 |
同じ許可区分でしか追加できない決まり
業種追加という申請区分が使えるのは、現在持っている許可と同じ区分で業種を増やす場合だけです。建設業許可には一般建設業と特定建設業の2つの区分があり、1つの業種につきどちらか一方しか取得できません。
たとえば一般の許可だけを持つ会社が新しい業種を追加する場合、その業種を一般として取るなら業種追加です。同じ会社が新しい業種を特定で取りたい場合や、特定の許可だけを持つ会社が別の業種を一般で取りたい場合は、業種追加ではなく般・特新規という別の手続きになります。
会社として一般と特定を業種ごとに使い分けること自体は認められています。国土交通省のガイドラインも、一つの建設業者が二以上の業種について、それぞれ一般建設業の許可と特定建設業の許可を受けることは差し支えないとしています。
般・特新規の手数料は新規と同じ額で、知事許可は9万円、大臣許可は登録免許税15万円です。下請に出す金額が大きく特定が必要な場合などは、申請の種類を取り違えないよう注意してください。
まとめ:建設業許可の業種追加は要件確認と書類準備が成功の鍵
本記事では、建設業許可の業種追加について、その仕組みと新規申請や更新との違いを整理しました。あわせて専任技術者や経営業務の管理責任者、財産的基礎といった満たすべき要件も解説しています。
申請手続きの流れと必要書類、標準処理期間や手数料の目安も確認しました。決算変更届の提出漏れや許可の有効期間の一本化など、つまずきやすい注意点もおさえています。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- 業種追加は要件確認が出発点
- 書類準備と申請の流れの把握
- 届出漏れと許可期間の一本化に注意
要件と書類を正しく押さえれば、業種追加の申請はスムーズに進みます。対応できる工事の幅が広がり、取引先からの受注機会を逃さない体制づくりにつながります。
実務経験証明書の記入例と確認資料チェックリスト(PDF)は、以下から無料でダウンロードできます。新着記事はメルマガでお知らせしています。
建設業許可の業種追加に関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
Construction DX 編集部は、建設DX・建設テック・業界動向に関するニュースや解説記事を制作する編集チームです。最新の技術・市場・制度・導入事例をわかりやすく整理し、建設業界のDX推進に役立つ情報を中立的な視点で発信しています。
監修者
リサーチチーム
Construction DX リサーチチームは、建設DX市場や最新技術、法制度、国内外の事例を継続的に調査・分析する専門チームです。公開情報や一次情報をもとに内容を検証し、正確性・信頼性の高いコンテンツ制作を支援しています。
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