建設業許可の取り消しになるケースと再取得・防ぐ対策を解説
この記事のポイント
建設業許可の取り消しは、建設業法第29条に基づき、経営業務の管理責任者等や営業所技術者等の基準を満たさなくなった場合、役員等が欠格要件に該当した場合、不正の手段で許可を受けた場合、廃業届が出された場合などに行われる。役員一人の欠格事由でも会社の許可は取り消される。取消しの日から5年間許可を受けられなくなるのは、不正の手段による取得や営業停止処分違反など同条第1項第7号・第8号による取消しの場合。要件維持と期限管理で未然に防げる。
「建設業許可が取り消されるのはどんなときなのか、もし自社が取り消しの対象になったら進行中の工事や取引先との関係はどうなるのか不安です」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- 建設業許可が取り消しになる主なケース
- 取り消しが会社や工事に及ぼす影響
- 取り消しを防ぐ対策と再取得の流れ
建設業許可の取り消しは、欠格要件への該当や更新手続きの失念、決算変更届の未提出など、原因が明確な事由によって起こります。
役員一人の欠格事由が会社全体に波及する連鎖リスクや、経営事項審査や入札参加資格への影響まで正確に把握すれば、取り消しを未然に防ぐ管理体制を築けます。原因と対策を順に確認していきましょう。
建設業許可の取り消しとは
建設業許可の取得条件を満たして取得したのち、その効力を許可行政庁が消滅させる手続きが、建設業許可の取り消しです。建設業法第29条に根拠を持ち、自社が要件を満たし続けているかが問われる重大なテーマです。
同じ「取り消し」でも、事業者が自ら届け出るものと行政が制裁として行うものでは、その後のリスクが大きく変わります。まずは制度の意味と区分を整理します。
取り消し処分の意味と法律上の位置づけ
建設業許可の取り消しは、建設業法第29条に定められた法律上の措置です。許可の前提となる要件が崩れた事業者を市場から外し、発注者や下請業者を守る目的があります。
同条には、行政庁が必ず取り消す場合と、取り消すかどうかを判断できる場合の2種類が定められています。
- 第29条第1項に該当するとき。経営業務の管理責任者や営業所技術者等(旧・専任技術者)の許可基準を満たさなくなった場合、役員が欠格要件に当たった場合、許可後1年以内に営業を始めない、または1年以上営業を休んだ場合、不正な手段で許可を受けた場合などで、行政庁は許可を取り消さなければなりません。
- 第29条第2項に該当するとき。許可に付された条件に違反した場合で、行政庁は許可を取り消すことができます。
第29条第1項の主な取消事由は次のとおりです。号番号は、国土交通省の資料で確認できたものを記載しています。
| 取消事由 | 根拠 |
|---|---|
| 経営業務の管理責任者等、営業所技術者等の基準を満たさなくなった | 第29条第1項第1号 |
| 役員等が欠格要件(第8条)に該当した | 第29条第1項第2号 |
| 許可を受けてから1年以内に営業を開始しない、または引き続き1年以上営業を休止した | 第29条第1項 |
| 廃業届の事由(第12条各号)に該当した | 第29条第1項第5号 |
| 不正の手段で許可や許可の更新を受けた | 第29条第1項第7号 |
| 指示・営業停止の事由に該当して情状が特に重い、または営業停止処分に違反した | 第29条第1項第8号 |
つまり多くの取り消し事由は義務的な処分であり、要件を欠いた時点で原則として許可が失われる仕組みです。許可は業種ごとに与えられるため、ある業種の営業所技術者等が欠けた場合に取り消されるのはその業種の許可で、ほかの業種の許可まで失うわけではありません。国土交通省の建設業許可事務ガイドラインも、許可は業種ごとに与えられ、取消しを受けていない他の建設業の許可は更新する必要があるとしています。
届出による取り消しと不利益処分による取り消しの違い
建設業許可の取り消しは、大きく届出による取り消しと不利益処分による取り消しの2つに分かれます。両者は性格がまったく異なり、特に再取得までの期間に差が出ます。
届出による取り消しは、廃業や要件喪失を事業者自身が許可行政庁へ届け出て行うものです。手続き上の取り消しとも呼ばれペナルティ性はなく、要件が整い次第すぐに再申請できます。
これに対し不利益処分による取り消しは、不正取得や監督処分違反などを理由に行政庁が制裁として行うものです。建設業法第8条により、第29条第1項第7号または第8号で取り消された場合、取消しの日から5年間は欠格要件に当たり、再取得ができません。
| 区分 | 届出による取り消し | 不利益処分による取り消し |
|---|---|---|
| きっかけ | 事業者からの廃業届など | 行政庁による処分 |
| 主な理由 | 廃業、要件の喪失 | 不正取得、監督処分違反 |
| 制裁としての性格 | なし | あり |
| 再取得までの期間 | 要件が整えば可能 | 取消しから5年間は不可 |
行政庁が職権で取り消す場合のすべてに、5年間の制限がかかるわけではありません。国土交通省の許可の要件に掲げられた欠格要件のうち、取消しを理由に5年間許可を受けられないとされているのは、第29条第1項第7号または第8号に該当して取り消された場合です。経営業務の管理責任者等や営業所技術者等が欠けたこと(第1号)、役員等が欠格要件に該当したこと(第2号)による取消しは、この5年間の制限の対象に挙げられていません。
なお、第7号・第8号による取消処分の聴聞の通知を受けた後に廃業届を出しても、5年間の制限は免れません。この場合は届出の日から5年間、会社のほか、通知の日前60日以内に役員等であった者も許可を受けられません。
建設業許可が取り消された事業者の傾向
実際に取り消される事業者の多くは、不正を理由とする処分ではなく届出によるものです。国土交通省の地方整備局や各都道府県は、廃業届の提出に基づく取り消しを定期的に公告し、対象業者の一覧を公表しています。
公告される事例には、次のような背景が目立ちます。
- 経営業務の管理責任者や専任技術者が退職や死亡で欠け、要件を維持できなくなった
- 高齢の経営者が後継者不在のまま事業を畳んだ
- 29業種のうち一部の業種だけを廃止した
これらは制裁ではなく、要件維持の仕組みが続かなかった結果という共通点を持ちます。一方で不正取得や監督処分違反による取り消しは、件数こそ少ないものの5年間の再取得制限という重い影響を残すものです。
自社がどちらのリスクに近いかを見極めることが、取り消しを防ぐ対策の第一歩です。
建設業許可の取り消しになる主なケース
建設業許可の取り消しは、一般・特定、知事・大臣といった建設業許可の種類を問わず、大きく分けて手続き上の届出による取消と、法令違反などを理由とする不利益処分による取消の2つに分かれます。建設業法第29条は、欠格要件への該当や許可要件の喪失、不正手段による許可取得、廃業届の提出などを取消事由として定めています。
自社が該当しないかを確認するため、代表的なケースを整理しておきましょう。
主な取消事由は、次の4つに大別できます。
- 役員などが欠格要件に該当した
- 経営業務の管理責任者や専任技術者が不在になり、許可要件を満たせなくなった
- 虚偽申請など不正な手段で許可を取得した
- 決算変更届や更新手続きを怠った
欠格要件に該当した場合
役員などが建設業法第8条の欠格要件に該当すると、建設業許可は取り消されます。欠格要件は許可を維持するための基本条件であり、一般建設業でも特定建設業でも、該当した時点で許可を続けられなくなるためです。
欠格要件には、次のような事由が含まれます。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合
- 拘禁刑以上の刑を受け、その刑の執行が終わってから5年を経過していない場合
- 建設業法や暴力団対策法などの法令違反、または刑法の傷害罪・暴行罪・脅迫罪・背任罪などによる罰金刑から5年を経過していない場合
- 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過していない場合
- 精神の機能の障害により、建設業を適正に営むために必要な認知、判断、意思疎通を適切に行えない場合
刑の種類は、2025年6月1日から懲役・禁錮が拘禁刑に一本化されています。東京都の建設業許可申請変更の手引(令和7年度)も「拘禁刑以上の刑」と記載しています。
ここで注意したいのが、欠格要件は法人の役員等や、支店・営業所の代表者(建設業法施行令第3条の使用人)など、複数の対象者に及ぶ点です。役員等には非常勤の役員も含まれます。国土交通省のガイドラインは、顧問・相談役や総株主の議決権の100分の5以上を持つ株主については、取締役などと同等以上の支配力を持つかどうかを個別に判断するとしています。役員1人の欠格事由が会社全体の建設業許可の取り消しにつながるため、役員構成の変更時には特に確認が欠かせません。
許可要件を満たせなくなった場合
経営業務の管理責任者や営業所技術者等(旧・専任技術者)が不在になると、建設業許可は取り消しの対象になります。これらは許可を受けるための必須要件であり、欠けた状態が続けば許可を維持できないからです。
退職や死亡で要件を満たす人材がいなくなり、後任を確保できないまま取り消しに至るケースは少なくありません。経営業務の管理責任者とは、建設業の経営経験を持つ常勤役員などを指し、営業所技術者等とは、営業所ごとに専任で配置する有資格者や実務経験者を指します。国土交通省も、経営業務の管理責任者等が退職して後任が不在になった場合は要件欠如で許可の取消し(第29条第1項第1号)になるとして、不在期間が生じないよう事前の準備を求めています。
許可要件のうち、満たさなくなると取消事由になるものと、そうでないものは次のように分かれます。
| 許可要件 | 許可後に満たさなくなった場合 |
|---|---|
| 経営業務の管理責任者等の設置、適切な社会保険への加入(第7条第1号) | 取消事由になる(第29条第1項第1号) |
| 営業所ごとの営業所技術者等の配置(第7条第2号、特定建設業は第15条第2号) | 取消事由になる(第29条第1項第1号) |
| 財産的基礎(一般建設業は自己資本500万円以上など) | 許可を行う際に判断する基準で、許可後に適合しなくなっても直ちに許可の効力に影響しない(ガイドライン) |
財産的基礎は新規の許可や更新の申請時に審査されます。特定建設業では更新のたびに基準を満たす必要があるため、決算内容の管理は欠かせません。一般建設業の500万円の財産的基礎は、許可を受けて5年間継続して営業した実績があれば満たすものとして扱われます。
要件を満たす人材が欠けそうな場合は、早めに後任を確保しておくことで取消リスクを下げられます。
不正な手段で許可を取得した場合
虚偽の申請や不正な手段で許可を取得した場合、その許可は取り消されます。建設業法第29条第1項第7号が、不正の手段による許可取得を明確な取消事由として定めているためです。
代表的な例として、経営業務の管理責任者や専任技術者の経験年数の水増し、実際には常勤していない技術者を常勤と偽る記載などが挙げられます。こうした不正は、後の調査や更新時の確認で発覚することが多くあります。
このケースの取り消しは、不利益処分にあたる点が重要です。取消を受けると、取消の日から5年間は新たな許可を取得できないため、申請内容は事実に基づいて正確に記載する必要があります。
営業停止処分に違反した場合や情状が特に重い場合
国土交通省の監督処分の基準(令和7年12月12日施行)は、不正行為等に関する情状が特に重い場合と、建設業者が営業停止処分に違反した場合に、第29条により許可を取り消すとしています。営業停止を受けた会社が期間中に新たな請負契約を結ぶと、取消しに直結します。
取消しの前段階にあたる営業停止処分について、同基準が示す期間の例は次のとおりです。
| 不正行為等 | 基準が定める処分 |
|---|---|
| 談合・贈賄などで代表権のある役員等が刑に処せられた | 1年間の営業停止 |
| 同じく代表権のない役員等や令第3条の使用人が刑に処せられた | 120日以上の営業停止 |
| 虚偽申請で得た経営事項審査の結果を公共工事の発注者に提出し、資格審査に用いられた | 30日以上の営業停止 |
| 主任技術者・監理技術者を置かなかった | 15日以上の営業停止 |
| 一括下請負の禁止に違反した | 15日以上の営業停止 |
| 施工体制台帳・施工体系図の作成を怠った、または虚偽の作成をした | 7日以上の営業停止 |
| 許可を受けていない業者と下請契約を結んだ | 7日以上の営業停止 |
同基準は、指示処分を受けた日から3年以内に再び類似の不正行為を行った場合は、情状を重くみて営業停止処分を行うことも定めています。
決算変更届や更新手続きを怠った場合
決算変更届の提出や許可更新を怠ると、法人でも個人事業主でも、最終的に建設業許可を失う結果につながります。決算変更届は毎事業年度終了後に提出が義務付けられており、更新も有効期間5年ごとに必要な手続きだからです。
決算変更届を提出していないと、許可の更新申請を受け付けてもらえません。更新できないまま有効期間が満了すると許可は失効し、無許可状態に戻ってしまいます。
なお、失効と取り消しは法的な性質が異なる点に注意が必要です。
| 区分 | 主な原因 | 性質 |
|---|---|---|
| 失効 | 更新手続きを忘れて有効期間が満了 | 自動的に効力を失う |
| 取り消し | 法令違反や欠格要件への該当 | 行政庁による行政処分 |
廃業届を提出した場合は、許可行政庁が満了日を待たずに許可を取り消します。提出漏れを防ぐには、決算変更届や更新期限を継続的に管理する仕組みを整えておくことが有効です。
建設業許可の取り消しが会社や工事に与える影響
建設業許可の取り消しは、一度の処分で会社の経営基盤を揺るがします。影響は役員個人にとどまらず、進行中の工事や取引先との関係、公共工事の受注資格にまで及ぶためです。許可の取消しは公告され、取引先にも知られます。
ここでは、波及の仕組みと現場への具体的な影響を3つの視点で整理します。
役員の欠格事由が会社全体に波及する仕組み
役員一人の欠格事由が、会社全体の建設業許可の取り消しにつながります。欠格要件には「法人でその役員等又は政令で定める使用人のうちに」欠格要件に該当する者がいる場合が含まれており、役員等のうち一人でも該当すると、法人そのものが欠格要件に該当するからです。
たとえば、ある取締役が傷害罪で罰金刑を受けて確定した場合、会社は欠格要件に該当し、建設業許可は取り消されます(第29条第1項第2号)。
この場合の流れは次のとおりです。
- 役員一人が罰金刑などの欠格事由に該当する
- 会社が欠格要件に該当し、建設業許可が取り消される
- その役員は、刑の執行を終えた日などから5年間、欠格要件に該当し続ける
- その役員が役員等にとどまる間は、会社は新たな許可を受けられない
欠格要件は申請の時点の役員等について判断されます。該当する役員が退任し、ほかの要件が整えば、会社は新規の許可を申請できます。役員の欠格要件該当による取消し(第2号)は、取消しそのものを理由とする5年間の制限の対象に挙げられていないためです。
役員全員に5年間の制限が及ぶのは、不正の手段による許可取得(第7号)や、情状が特に重い場合・営業停止処分違反(第8号)で取り消された場合です。この場合、行政庁は会社だけでなく、処分の日前60日以内に役員等であった者に対しても、5年間、新たに営業を開始することを禁止します(第29条の4)。営業を禁止された者は欠格要件に該当するため、別の会社の役員になっても、その会社は許可を受けられません。
| 取消しの理由 | 会社 | 取消し時の役員等 |
|---|---|---|
| 役員の欠格要件該当(第2号) | 該当する役員が外れ、要件が整えば新規申請できる | 欠格事由のある本人だけが、その事由の期間(刑の執行終了から5年など)許可を受けられない |
| 不正の手段・情状特に重い場合など(第7号・第8号) | 取消しの日から5年間は許可を受けられない | 処分の日前60日以内に役員等であった者は、5年間、新たな営業の開始を禁止される |
欠格要件とは、許可を受けるうえで「あってはならない事情」を指す言葉です。役員の異動や賞罰を会社が把握できていないと、知らないうちに取り消し要件を満たしてしまう点に注意が必要になります。
進行中の工事と取引先への影響
許可が取り消されても、進行中の工事をすべて即座に止める必要はありません。建設業法第29条の3により、許可が効力を失う前に契約した工事に限り、引き続き施工できると定められているためです。
ただし、自由に継続できるわけではありません。施工を続ける場合でも、許可が失効した後または取消処分を受けた後2週間以内に、その旨を工事の注文者へ通知する義務があります。通知をしなかった場合は、同法第52条により100万円以下の罰金の対象です。
通知を受けた注文者は、通知を受けた日や許可失効を知った日から30日以内であれば、契約を解除できます。
取り消し後にできること、できないことは次のように分かれます。
| 工事の状況 | 許可取り消し後の扱い |
|---|---|
| 失効前に契約した工事 | 施工継続が可能。注文者への通知が必要 |
| 失効後に新規契約する許可必要工事 | 締結できない |
| 軽微な工事 | 許可なしでも請負可能 |
軽微な工事とは、請負金額が500万円未満の工事などを指します。建築一式工事の場合は1500万円未満、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事が該当します。
注文者への通知や契約解除を通じて、取引先からの信用低下につながる点も見過ごせません。
経営事項審査や入札参加資格への影響
建設業許可の取り消しは、公共工事の受注資格を直接奪います。経営事項審査と入札参加資格は、いずれも建設業許可を前提とした制度だからです。
経営事項審査とは、国や地方公共団体が発注する公共工事を直接請け負う許可業者が必ず受ける審査を指します。許可が取り消されると審査の前提を失い、結果として入札参加資格も維持できません。
公共工事の比率が高い会社ほど、受注機会の喪失は経営に直結します。
影響の範囲をまとめます。
- 公共工事の入札に参加できなくなる
- 経営事項審査の前提となる許可を失う
- 500万円以上の民間工事も新規に請け負えない
- 不正の手段による取得などを理由とする取消しでは、会社と当時の役員等が5年間は許可を受けられない
このように建設業許可の取り消しは、進行中の工事だけでなく将来の受注基盤まで損ないます。だからこそ、許可要件を継続的に確認する管理体制が欠かせません。
建設業許可の取り消しを防ぐ対策と取り消し後の再取得
建設業許可の取り消しは、日頃の管理体制で十分に防げます。取消事由の多くは、要件の維持漏れや届出の失念といった内部管理の不備から生じるためです。
ここでは取り消しを防ぐための具体策と、万一取り消された場合の再取得の道筋を順番に整理します。
①:許可要件の維持状況を定期的に確認する
許可要件は取得時だけでなく、取得後も継続して満たし続ける必要があります。要件を一つでも欠くと、その時点で取消事由に該当するからです。
特に注意すべきは「人」に関する要件です。経営業務の管理責任者(経管)や営業所技術者等(旧・専任技術者。以下、専技)が退職や死亡で欠員になると、後任を立てられない限り許可は維持できません。
あわせて、役員が刑事罰や暴力団関係などの欠格要件に該当していないかも確認します。役員一人の欠格事由が、会社全体の許可取消につながる連鎖リスクがあるためです。
維持確認のチェック項目は次のとおりです。
- 経管・専技が現に常勤し、要件を満たしているか
- 役員や令3条の使用人に欠格事由が生じていないか
- 特定建設業の場合、次の更新時に自己資本や流動比率など財産的基礎の基準を満たせる見込みか
- 営業所の実態が許可申請の内容と一致しているか
四半期ごとなど時期を決めて棚卸しすると、欠員や要件の崩れに早く気づけます。
②:更新期限と決算変更届の提出を管理する
更新と決算変更届の管理は、取り消しを防ぐうえで最も基本となる対策です。更新の期限を過ぎれば許可は失効し、届出を怠れば監督処分や罰則の対象になります。
建設業許可の有効期間は5年で、満了日の30日前までに更新申請を済ませる必要があります。更新を忘れると許可は失効し、500万円以上の工事を請け負えなくなります。
決算変更届は毎事業年度終了後4か月以内の提出が建設業法で義務づけられています。未提出が続くと、更新申請が受理されないおそれもあります。
人事に関する変更届には短い期限が設定されているため、特に管理が重要です。
| 届出の種類 | 提出期限 |
|---|---|
| 経管・専技・令3条使用人の変更 | 変更後2週間以内 |
| 商号・役員・資本金などの変更 | 変更後30日以内 |
| 決算変更届(事業年度終了報告) | 事業年度終了後4か月以内 |
| 許可の更新申請 | 有効期間満了日の30日前まで |
| 廃業届(全部廃業・一部廃業) | 事由が生じた日から30日以内 |
関東地方整備局の建設業許可申請・変更の手引きは、変更届などを提出しない場合は建設業法第50条による罰則(6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)があること、期限内に提出されない場合は理由と再発防止策の報告を求める場合があること、必要な届出がないと許可申請の手続きを行えない場合があることを注意しています。国土交通省の監督処分の基準でも、第11条の届出義務違反は指示処分の対象に挙げられています。
期限を一覧にしてカレンダーやリマインダーに登録しておくと、提出漏れを防げます。
③:聴聞の通知を受けたら速やかに対応する
聴聞の通知が届いたら、放置せず期日までに準備を整えて対応します。聴聞は処分前に弁明する貴重な機会であり、ここでの対応が結果を左右する場合があるためです。
許可取消のような重い不利益処分を行う前に、行政庁は行政手続法にもとづき聴聞を実施します。建設業許可の取り消しは事業者にとって不利益な処分にあたるため、本人に意見を述べる機会が保障されています。
聴聞では行政庁の担当者が処分の内容や根拠となる事実を説明します。これに対して事業者は、意見の陳述や証拠書類の提出ができます。
通知を受けてからの対応の流れは次のとおりです。
- 通知書で予定されている処分の内容と根拠条文を確認する
- 処分の前提となった事実に反論できる資料や証拠を集める
- 行政書士や弁護士など専門家に早めに相談する
- 聴聞の期日に出頭し、意見を陳述する
欠格事由の解消が見込める場合や事実誤認がある場合は、聴聞で適切に主張することで処分の回避や軽減につながることもあります。
④:再取得に必要な要件と期間を把握する
取り消された後でも、要件を満たせば建設業許可は再取得できます。ただし、取消の種類によって再取得までの期間が大きく異なる点に注意が必要です。
不正の手段による許可取得や営業停止処分違反などを理由とする取り消し(第29条第1項第7号・第8号)を受けた場合、取消の日から5年間は許可を取得できません。この制限は会社だけでなく、処分の日前60日以内に役員や令第3条の使用人であった者にも及びます。
そのため、取消を受けた法人の役員が別会社の役員になっても、その別会社は5年間は新たな許可を取れません。一方、廃業届の提出による取り消しや、要件の欠如・役員の欠格要件該当による取り消しには取消しを理由とする5年の制限がなく、原因を解消すれば再取得を目指せます。
取消の種類ごとの再取得条件を比較すると次のようになります。
| 取消の種類 | 再取得までの待機期間 | 再取得の条件 |
|---|---|---|
| 不正の手段・営業停止処分違反などによる取消(第7号・第8号) | 取消日から5年 | 5年経過後に許可要件を改めて満たす |
| 要件の欠如・欠格要件該当による取消(第1号・第2号) | 取消しを理由とする制限はなし | 後任の確保や該当役員の退任で原因を解消し、許可要件を満たす |
| 廃業届による取消(第5号) | なし | 取消の原因を解消し許可要件を満たす |
再取得の申請区分は「新規」です。国土交通省の許可申請の手続きは、以前許可を持っていた者が許可業種の全部を廃業し、再度許可を取得する場合も「新規」に該当するとしており、手数料は知事許可で9万円、大臣許可で登録免許税15万円です。国土交通省のガイドラインによると、すべての許可が効力を失った場合の許可番号は欠番となり、再取得時には新しい番号が付与されます。
再取得の際は、経管や専技の確保、欠格要件への非該当、財産的基礎など、新規取得と同じ要件を満たして申請します。建設業許可の取り消しを受けた事業者ほど、再申請の前に要件を一つずつ確認し、同じ事由を繰り返さない管理体制を整えておくことが大切です。
まとめ:建設業許可の取り消しは原因を知れば防げる
本記事では、建設業許可の取り消しの意味や法律上の位置づけから、欠格要件への該当や更新手続きの怠りなど取り消しになる主なケースまでを解説しました。あわせて、役員の欠格事由が会社全体へ波及する仕組みや、進行中の工事と経営事項審査への影響も整理しています。
後半では取り消しを防ぐ具体的な対策と、取り消し後の再取得に必要な要件や期間を取り上げました。本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- 取り消しは欠格要件や手続きの怠りなど原因が明確
- 役員一人の欠格事由が会社全体の許可に波及
- 要件維持と期限管理で取り消しは未然に防止可能
取り消しの原因を理解すれば、許可要件の維持状況や更新期限を計画的に管理でき、突然の取り消しによる事業停止を避けられます。聴聞の通知を受けた際の対応や再取得の見通しも把握でき、万一の事態にも落ち着いて行動できるはずです。
自社の許可維持や取り消しリスクの確認に不安がある場合は、専門家への相談をご検討ください。建設業の制度改正や現場DXの新着記事は、メルマガでお知らせしています。実務で使える早見表や記入例は、お役立ち資料から無料でダウンロードできます。
建設業許可の取り消しに関するよくある質問
参考文献
- 建設産業・不動産業:建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準について - 国土交通省
- 建設業法(昭和二十四年法律第百号) - e-Gov法令検索
- 建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準 - 東京都都市整備局
- 建設産業・不動産業:許可の要件 - 国土交通省
- 建設業許可事務ガイドライン(最終改正 令和7年2月1日)- 国土交通省
- 建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準(令和7年12月12日施行)- 国土交通省
- 建設業許可申請・変更の手引き(許可取得後の手続き 変更届・廃業届の提出等)- 国土交通省 関東地方整備局
- 建設業許可申請変更の手引(令和7年度)- 東京都都市整備局
- 建設業法(平成20年法律第28号による改正時点の条文)- 法務省 日本法令外国語訳データベースシステム
執筆者
編集部
Construction DX 編集部は、建設DX・建設テック・業界動向に関するニュースや解説記事を制作する編集チームです。最新の技術・市場・制度・導入事例をわかりやすく整理し、建設業界のDX推進に役立つ情報を中立的な視点で発信しています。
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