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労務費とは?建設業の意味・人件費との違いと計算方法を解説

制度・法対応

この記事のポイント

建設業の労務費とは、工事に従事する作業員の賃金・手当に法定福利費を加えた費用で、直接労務費と間接労務費に分かれる。労務費率の目安は業種により17〜23%程度で、原価管理や見積もり精度向上に直結する指標である。

労務費とは?建設業の意味・人件費との違いと計算方法を解説

「建設業における労務費とは何か、人件費とどう違うのかが分からず見積書の内訳や労務費率の計算方法に自信が持てないうえ、職人不足による人件費の上昇にも漠然とした不安を感じています」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 労務費と人件費の違い
  • 労務費の種類と内訳
  • 労務費の計算方法と労務費率の目安

建設業の労務費とは、工事に直接携わる作業員の賃金や手当に法定福利費を加えたコストを指し、一般的に工事費の20〜40%程度を占めるとされる重要な指標です。

本記事を読めば、直接労務費と間接労務費の配賦基準や労務費と工事費の違い、建設業における労務費の推移まで理解でき、Excel管理から脱却して精度の高い原価管理を行えるようになります。ぜひ最後まで読み進めて、自社の見積もり精度と利益率の向上に役立ててください。

建設業における労務費とは?人件費との違い

労務費とは 建設業では、工事に従事する作業員に支払う費用を指す言葉です。紙で締結する工事請負契約書の印紙代や各種材料費などの諸経費と並び、工事原価の主要な構成要素ですが、見積書や原価管理の実務において人件費や外注費と混同されるケースが少なくありません。

ここでは労務費の定義と、似た言葉との違いを整理します。

労務費の定義

労務費は、工事現場で働く作業員や技術者に支払う給与や手当をまとめた費用です。具体的には基本給、残業代、賞与、各種手当などが該当します。

工事原価は材料費、労務費、外注費、経費の4つで構成されます。このうち労務費は、現場作業に直接かかわる人の費用を表す項目です。

労務費はさらに直接労務費と間接労務費に分かれます。

  • 直接労務費:施工そのものに従事する作業員の費用
  • 間接労務費:現場監督や品質管理など、施工を支える人の費用

この区分を理解しておくと、原価管理での費用配分がスムーズになります。

労務費と人件費の違い

労務費 人件費 違い 建設業を考えるとき、まず押さえるべきは対象範囲の広さです。人件費は会社全体で従業員に支払う費用の総称で、本社の管理部門や営業部門の給与も含まれます。

一方、労務費は工事原価に計上される費用に限定され、現場作業に関わる人にかかったものだけを指します。つまり人件費のうち、工事に紐づく部分だけを切り出したものが労務費といえます。

項目人件費労務費
対象範囲会社全体の従業員工事に従事する作業員
計上先販売費及び一般管理費など工事原価
含まれる部門本社、営業、管理部門など全般現場、施工管理など工事関連

この違いを混同すると、工事ごとの採算が正しく把握できなくなります。

労務費と外注費の違い

労務費と外注費は、作業を行う人が自社か他社かで区別します。自社の作業員が施工する場合の費用は労務費、他社に作業を依頼した場合の費用は外注費として計上します。

ただし現場では、材料や道具を自社で用意し作業だけを他社に依頼するケースもあります。この場合は外注費ではなく、労務費の中の労務外注費として処理します。特に外注取引においては、税制上の区分やインボイス制度の一人親方への支払いが給与とみなされないかといった税務上のチェックが重要になります。

  • 労務費:自社の作業員に支払う費用
  • 外注費:他社に材料と作業をまとめて依頼した費用
  • 労務外注費:材料は自社負担で作業のみ他社に依頼した費用

労務費 工事費 違いという観点では、工事費が工事全体にかかる費用の総称であるのに対し、労務費はそのうち人にかかる費用の一部分にあたります。区分を誤ると、原価管理や税務上の扱いに影響するため注意が必要です。

建設業の労務費の種類と内訳

建設業の労務費とは、直接労務費とは何かの区分を理解しないと工事費を正確に算出できません。 労務費は工事との関わり方によって直接労務費と間接労務費に分けられ、それぞれに含まれる項目も異なります。

直接労務費とは

直接労務費とは、工事の作業そのものに従事する職人や作業員に支払う賃金です。 工事目的物を完成させるために直接手を動かす人の費用だからこそ、直接労務費と呼ばれます。

例えば、型枠工が型枠を組む作業や、鉄筋工が鉄筋を配置する作業にかかる賃金は直接労務費に含まれます。解体工事の契約書に基づく撤去作業などの現場施工で実際に手を動かす時間に対して支払われる基本給や残業手当も、直接労務費の対象となります。

したがって、直接労務費は工事量や作業時間と比例して増減する費用といえます。 工事原価の中でも変動費に近い性質を持つため、工程管理と合わせて把握することが欠かせません。

間接労務費とは

間接労務費とは、工事を直接施工しないものの、現場運営に必要な人に支払う賃金です。 現場を支える管理業務や事務作業がなければ工事は進まないため、これらの費用も労務費に含めて考えます。

具体的には、現場監督や現場事務員の給与、安全管理担当者の人件費などが間接労務費にあたります。 本社や支店で工事を後方支援する従業員の人件費の一部を配賦する場合も、間接労務費として扱われます。

つまり、間接労務費は工事の出来高に直接連動しない固定費的な性格を持ちます。 現場数や工期の長さによって金額が変わるため、複数現場を掛け持ちする場合は按分計算が必要です。

労務費に含まれる項目の内訳

労務費に含まれる項目の内訳を把握すると、直接労務費と間接労務費 違いの実務的な線引きがしやすくなります。 下の表に、それぞれの区分に含まれる代表的な項目をまとめました。

区分主な項目
直接労務費現場作業員の基本給、残業手当、休日出勤手当
間接労務費現場監督・事務員の給与、賞与、退職金積立費用、各種手当
共通項目法定福利費、通勤手当、作業服・保護具に関わる手当

労務費全体に占める代表的な項目は、次のとおりです。

  • 基本給や残業手当などの賃金
  • 賞与や各種手当
  • 退職金の積立費用
  • 法定福利費(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、労災保険料など)

このうち、見積書や請求書で内訳表示が義務化されつつある法定福利費とは建設業の労務費に対しておおむね15から17パーセント程度を占めるのが一般的な目安です。 国土交通省が普及を進める標準見積書でも、法定福利費を内訳明示した見積書の作成が求められています。

労務費の内訳を細かく管理することで、原価計算の精度が上がり、見積書の説明力も高まります。 建設業 労務費 内訳を正しく把握することは、適正な工事費の確保につながる第一歩です。

建設業の労務費の計算方法と労務費率

建設業の労務費とは何かを理解したら、次に押さえたいのが具体的な計算方法です。 労務費は直接労務費と間接労務費に分けて計算し、両者を合計した総額を工事費で割ることで労務費率が求められます。

以下では建設業 労務費計算方法の基本と、建設業 労務費 内訳の考え方、労務費率の目安を順に解説します。

直接労務費の計算方法

直接労務費は、特定の工事に直接関わった作業員の賃金を集計して求めます。 理由は、直接労務費が現場ごとの原価管理や見積もり精度に直結する項目だからです。

代表的な計算式は次の2通りです。

  • 直接労務費 = 1時間あたりの賃金(労務費レート)× 作業時間
  • 直接労務費 = 労務単価 × 所要人数(工数)

1時間あたりの賃金は「直接工の賃金 ÷ 直接作業の総時間」で算出します。 労務単価は国土交通省が公表する公共工事設計労務単価などを参考にする会社も多く、職種や地域によって金額が異なります。

歩掛(ぶがかり)を使えば、作業内容ごとの標準的な手間を数値化でき、見積もり段階での工数算出がしやすくなります。 このように直接労務費は、賃金と作業時間の掛け合わせという単純な式で管理できる点が特徴です。

間接労務費の計算方法

間接労務費は、特定の工事にどれだけ使われたかを直接把握しにくい労務費です。 理由は、複数の現場を掛け持ちする作業や、現場に直接紐づかない管理業務が対象になるためです。

計算式はシンプルで、次のとおりです。

  • 間接労務費 = 労務費総額 − 直接労務費

間接労務費に含まれる代表的な費用は以下のとおりです。

  • 複数現場を移動する際の移動時間分の賃金
  • 建設機械のメンテナンスや材料運搬にかかる賃金
  • 従業員賞与手当や退職給付費用
  • 法定福利費などの間接的な人件費関連費用

例えば、ある作業員が午前は現場A、午後は現場Bの資材搬入を手伝った場合、この移動や搬入にかかった賃金は特定の工事だけの費用と言い切れません。 このような費用をまとめて間接労務費として管理することで、直接労務費と切り分けた正確な原価把握ができます。

労務費率の目安と計算式

労務費率は、工事費全体に占める労務費の割合を示す指標です。 理由は、労務費率を把握することで、見積もりの妥当性や利益率の見通しを立てやすくなるからです。

基本の計算式は次のとおりです。

  • 労務費率(%) = 労務費 ÷ 工事費(請負金額)× 100

労務費率は建設業 労務費 基準として、厚生労働省が労働保険料の算定用に業種別の目安を定めています。 建設業 労務費 何パーセントかは業種によって差があり、代表的な目安は以下のとおりです。

業種区分労務費率の目安
建築事業23%
既設建築物設備工事業23%
その他の建設事業23%
道路新設事業19%
舗装工事業17%
水力発電施設・ずい道等新設事業19%

この労務費率は、労務費 建設業 推移を見ても大きく変動するものではなく、業種区分ごとにおおむね安定した水準で推移してきました。 ただし個々の現場では、職人不足や資材価格の変動によって実際の労務費率が目安から外れることも珍しくありません。

また労務費には法定福利費が上乗せされる点も見落とせません。 法定福利費の目安は労務費のおよそ16〜17%とされ、見積もり時にはこの分も加味して計算する必要があります。

自社の労務費率を定期的に算出し、業種の目安と比較することで、見積もり精度の向上やコスト管理の改善につなげられます。

建設業で労務費管理を効率化するポイント

建設業の労務費管理は、勤怠と原価をデータで一元化することで大きく効率化できます。理由は、手作業による集計が多いほど誤差や遅れが生じやすいためです。

ここでは労務費管理が重要な理由、よくある課題、ITツールによる解決策を順に見ていきます。

労務費管理が重要な理由

労務費管理が重要な理由は、工事原価に占める割合が大きく、利益に直結するからです。建設業では労務費率が業種ごとに定められており、舗装工事業で17%、建築事業で23%程度が目安とされています。

労務単価は近年上昇が続いています。

  • 公共工事設計労務単価は2021年度比で2025年度に22.9%引き上げられました
  • 労務費割合を30%と仮定すると、この上昇により工事コスト全体は6.9%押し上げられる計算です
  • 2025年12月施行の改正建設業法・入契法では、見積書への労務費内訳明示が義務化されました

こうした単価上昇と法改正の両面から、労務費を正確に把握し説明できる体制づくりが欠かせません。労務費管理は単なる経理作業ではなく、適正な価格転嫁と利益確保のための経営基盤です。

労務費管理でよくある課題

労務費管理では、現場と事務所の情報が分断されやすいという課題がよく見られます。日報が手書きのままだと、集計に時間がかかり数値の反映も遅れます。

よくある課題を整理すると次のとおりです。

課題内容
集計の遅れ手書き日報を事務担当者が後から入力するため、原価把握がリアルタイムでない
直接労務費と間接労務費の混同現場作業員の賃金と、現場を支える従業員の費用を区別しにくい
法定福利費の見落とし労務費の16〜17%程度を占める法定福利費が見積もりに反映されないことがある
現場ごとのばらつき現場や従業員ごとの労務費データが分散し、比較や分析がしにくい

これらの課題は、人手不足が続く建設業ではさらに深刻になりやすい状況です。時間外労働の上限規制や熟練技術者の減少が重なり、限られた人員で正確な労務費管理を行う負担は増しています。

課題を放置すると、見積もりの精度が下がり、赤字工事につながるおそれがあります。

ITツールを活用した効率化の方法

労務費管理の課題は、勤怠管理システムと原価管理システムの活用で解消しやすくなります。理由は、現場の労働時間データを自動で集計し、原価にそのまま反映できるからです。

具体的な効率化の方法は次のとおりです。

  1. GPS打刻対応の勤怠管理システムで、現場ごとの労働時間を正確に記録する
  2. 勤怠データと原価管理システムを連携させ、労務費を自動集計する
  3. 工事台帳を自動作成し、予算と実績の差異をリアルタイムで確認する
  4. 日報や仕入伝票の入力をデジタル化し、手入力によるミスを減らす

勤怠管理システムを導入すると、工事ごと従業員ごとの労務費データをすぐに把握できます。手書き日報の入力作業がなくなるため、事務担当者の負担軽減にもつながります。

原価管理システムと連携すれば、労務費の自動集計だけでなく、予算対実績の管理も同時に行えます。現場の状況をリアルタイムで見える化することは、赤字工事の早期発見や適正な見積もり作成にも役立ちます。

ITツールの活用は、労務費管理の効率化と経営判断の精度向上を同時に実現する有効な手段です。

まとめ:建設業の労務費を正しく把握して原価管理に活かそう

本記事では、労務費とは 建設業においてどのような費用を指すのか、人件費との違いから解説しました。直接労務費と間接労務費の内訳、労務費率の目安となる計算方法、さらに労務費管理を効率化するポイントまで順に紹介しています。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 労務費は工事に携わる作業員の賃金と法定福利費を合わせた費用で、人件費や外注費とは範囲が異なる
  • 労務費は直接労務費と間接労務費に分かれ、建設業の労務費は工事費の何パーセントかを把握することが原価管理の第一歩になる
  • 労務費計算方法と労務費率の基準を押さえ、ITツールを活用すれば管理業務を大きく効率化できる

建設業 労務費 内訳や建設業 労務費計算方法を理解すれば、見積もりの精度が上がり、原価と利益率を正確に管理できるようになります。労務費 人件費 違いや労務費 工事費 違いが明確になることで、社内での説明や協力会社との交渉もスムーズに進められるでしょう。建設業 労務費 推移や法定福利費の扱いを踏まえた管理体制を整え、日々の原価管理に自信を持って取り組んでいただければ幸いです。

労務費管理の効率化やITツールの導入について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。具体的な資料もご用意していますので、ぜひ資料請求もご活用ください。

建設業の労務費に関するよくある質問

参考文献

  1. 労務費に関する基準ポータルサイト(国土交通省)
  2. 建設産業・不動産業:労務費に関する基準(国土交通省)

執筆者

Construction DX 編集部
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Construction DX 編集部は、建設DX・建設テック・業界動向に関するニュースや解説記事を制作する編集チームです。最新の技術・市場・制度・導入事例をわかりやすく整理し、建設業界のDX推進に役立つ情報を中立的な視点で発信しています。

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Construction DX リサーチチーム
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