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労務費率とは?計算方法・業種別の目安・改善方法を解説する

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この記事のポイント

労務費率とは売上高や請負金額に占める労務費の割合を示す指標。建設業では厚生労働省の労務費率表が労災保険料算定に使われ、令和6年4月以降に開始した工事の率は17〜38%で、令和8年度も同率。賃金総額は請負金額(税抜)×労務費率、労災保険料は賃金総額×労災保険率で計算する。人員配置や原価管理システム活用で改善できる。

労務費率とは?計算方法・業種別の目安・改善方法を解説する

「自社の労務費率が業種の目安と比べて高いのか低いのか判断できず、厚生労働省の労務費率表の見方や具体的な改善方法まで知りたい」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 労務費率の意味と計算方法
  • 建設業や製造業など業種別の目安
  • 労務費率を改善する具体的な方法

労務費率とは、工事費や売上高に占める労務費の割合を示す指標です。

厚生労働省が公表する労務費率表と業種別の目安を照らし合わせれば、自社の労務費率が適正かどうかを客観的に判断できます。読み進めることで、2026年時点の目安と改善のヒントがわかります。

労務費率とは何か

労務費率は、売上高や工事の請負金額に占める労務費の割合を示す指標です。適正な見積もりや収支管理を行うための重要な指標であり、自社の人件費水準が適正かどうかを判断する材料になります。

とくに建設業では、労災保険料の算定にも使われる重要な数値です。ここでは労務費率の定義から、人件費との違い、実務での使われ方までを整理します。

労務費率の定義

労務費率とは、売上高や総原価、または工事の請負金額に対して労務費が占める割合のことです。計算式で表すと、労務費率は労務費を売上高または請負金額で割った値になります。

製造業では原価管理の指標として、建設業では労災保険料の算定基準として使われることが多く、業種によって計算の土台となる金額が異なる点に注意が必要です。厚生労働省の労務費率表は、請負による建設事業で賃金総額を正確に把握できない場合に、請負金額に掛けて賃金総額を算定するための率を工事の種類ごとに定めたもので、建設業の労務費率を調べる際の基本資料になります。

労務費と人件費の違い

労務費と人件費は混同されやすい言葉ですが、指す範囲が異なります。建設業の労務費は原価管理の根幹をなす概念であり、従業員に支払う費用全般を指す幅広い「人件費」とは分けて考える必要があります。

一方、労務費は原価計算の観点から使われる言葉です。製品の製造や工事の施工に直接かかった人にまつわる費用を指します。

両者の違いを整理すると、次のとおりです。

項目労務費人件費
主な用途原価計算・労務費率の算定企業全体のコスト管理
対象範囲製造・施工に関わる費用従業員に関わる費用全般
含まれる例作業員の賃金、現場管理者の給与賃金、賞与、通勤手当、福利厚生費など

労務費は人件費の一部であり、原価に直結する部分を切り出して管理するための概念といえます。

労務費率が使われる場面

労務費率が使われる場面は業種によって異なります。製造業では原価に占める人件費の比率を把握し、価格設定や生産性改善の判断材料として活用されます。

建設業では下請け業者に支払う賃金の総額を正確に把握しにくいため、請負金額に厚生労働省が定める労務費率を掛け合わせて賃金総額を推計します。この推計額をもとに労災保険料を算定する仕組みが採用されています。

具体的には、請負金額に労務費率と労災保険率を乗じることで、労災保険料を計算します。このほか、経営分析では労務費率が高いかどうかを他社や業種平均と比較し、コスト構造の課題を見つける指標としても利用されます。

直接労務費と間接労務費の違い

労務費はさらに直接労務費と間接労務費に分けられます。そのうち直接労務費は、製品の製造や工事の施工に直接携わる作業員に支払う賃金のことです。

現場で実際に手を動かす人の人件費が該当します。間接労務費は、現場を直接動かすわけではないものの、製造や施工を支える業務に携わる人の人件費です。

工程管理や品質管理、資材の手配などを担当する人員の賃金が含まれます。両者の違いをまとめると、次のとおりです。

項目直接労務費間接労務費
対象者現場作業員現場管理者、事務担当者など
業務内容製造・施工の実作業工程管理、品質管理、資材手配など
原価への計上方法製品・工事に直接紐づけて計上複数の製品・工事に配賦して計上

直接労務費と間接労務費を正しく区分することで、労務費率の精度が上がります。業種別や工事別のコスト比較もしやすくなります。

労務費率の計算方法

労務費率は、売上高や請負金額に占める労務費の割合を示す指標です。厚生労働省は業種ごとの労務費率を公表しており、労災保険料の算定や原価管理の場面で幅広く使われています。

基本の計算式から労災保険料への応用、建設業ならではの注意点まで順に見ていきます。

労務費率の基本計算式

労務費率の基本計算式は、労務費÷売上高、または労務費÷請負金額です。売上高1億円の企業で労務費が2300万円であれば、労務費率は23%と求められます。

この式を使うと、売上に対して人件費負担がどれくらいの水準にあるかを把握できます。労務費率が高い業種ほど、人の手による作業への依存度が高い傾向があります。

自社の労務費率を把握しておくと、見積もりや原価管理の精度を高めることにもつながります。

労災保険料計算での労務費率の使い方

労災保険料は、賃金総額に労災保険率を掛けて算出します。計算式は労災保険料=賃金総額×労災保険率で表されます。

ここで課題になるのが賃金総額の把握です。建設業では数次にわたる下請け構造があり、末端の作業員まで含めた賃金総額を正確につかむのが難しいという事情があります。

そこで厚生労働省は、賃金総額を正確に把握できない場合に、請負金額に労務費率を掛けて賃金総額とする方法を認めています。計算式は賃金総額=請負金額(税抜)×労務費率です。

厚生労働省の年度更新の手引きによると、ここでいう請負金額は、請負代金に、注文者から支給された資材の価額相当額や、貸与された機械器具の損料相当額を加えた額です。機械装置の組立て又は据付けの事業に限り、機械装置の価額を控除します。平成27年4月1日以降に開始した工事では、消費税を除いた額を使います。

たとえば請負金額1,000万円のその他の建設事業であれば、賃金総額は1,000万円に23%を掛けた230万円と算定されます。この230万円に労災保険率15/1,000を掛けると、労災保険料は34,500円と求められます。令和6年4月1日以降に開始した工事について、事業の種類ごとに計算すると次のとおりです。

事業の種類請負金額(税抜)労務費率賃金総額労災保険率労災保険料
その他の建設事業1,000万円23%230万円1,000分の1534,500円
建築事業5,000万円23%1,150万円1,000分の9.5109,250円
舗装工事業2,000万円17%340万円1,000分の930,600円

労務費率と労災保険率はいずれも事業の種類ごとに異なります。すべての労働者の賃金を正確に把握し、賃金台帳などの帳簿を保存している場合は、労務費率を使わず、実際の支払賃金に労災保険率を掛けて算定します。両方の数値を正しく確認することが計算の出発点です。

建設業における労務費率計算のポイント

建設業の労務費率は、工事の種類ごとに細かく定められています。2026年度(令和8年度)の労務費率と労災保険率は、2025年度から据え置きとなりました。

以下は、工事の開始日が令和6年4月1日以降の場合に適用される、事業の種類別の労務費率と労災保険率です。

事業の種類労務費率労災保険率
水力発電施設、ずい道等新設事業19%1,000分の34
道路新設事業19%1,000分の11
舗装工事業17%1,000分の9
鉄道又は軌道新設事業19%1,000分の9
建築事業(既設建築物設備工事業を除く)23%1,000分の9.5
既設建築物設備工事業23%1,000分の12
機械装置の組立て又は据付けの事業(組立て又は取付けに関するもの)38%1,000分の6
機械装置の組立て又は据付けの事業(その他のもの)21%1,000分の6
その他の建設事業23%1,000分の15

建設業で労務費率を計算する際は、まず自社が行う工事がどの事業の種類に該当するかを、厚生労働省の労災保険率適用事業細目表で確認します。

労務費率は数年おきに見直され、どの時期の率を使うかは工事の開始日で決まります。たとえば、その他の建設事業の労務費率は、令和6年3月31日以前に開始した工事では24%、同年4月1日以降に開始した工事では23%です。複数年にまたがる工事を申告するときは、開始日に対応する率を確認してください。

業種別に見る労務費率の目安

労務費率は業種によって水準が大きく異なります。同じ売上高でも、人の手による作業が中心の業種は労務費率が高くなり、設備投資や自動化が進んだ業種は低くなる傾向があります。

ここでは建設業、製造業、情報通信業、サービス業の4分野を取り上げ、それぞれの目安を比較します。自社の数値がどの水準にあるか、業種平均と照らし合わせながら確認してください。

業種労務費率の目安
建設業16.7%
製造業19.3%
情報通信業30.6%
宿泊業・飲食サービス業31.7%
学術研究・専門・技術サービス業32.9%
サービス業(その他)42.3%

上記は財務省の法人企業統計をもとにした人件費率の平均値です。建設業には別途、厚生労働省が定める工事の種類ごとの労務費率が存在し、労災保険料の算定に用いられます。

次の項目から業種ごとの内容を詳しく見ていきます。

建設業の労務費率

建設業の労務費率は、他業種と異なる特別な位置づけを持ちます。工事現場では下請け業者への支払いが多く、賃金総額を正確に把握するのが難しいため、厚生労働省は工事の請負金額に一定の率を掛けて賃金総額を推計する仕組みを設けています。

この推計に使う数値が、厚生労働省が公表する労務費率表です。2026年度も前年度と同じ率が据え置かれており、工事の種類ごとに次のとおり定められています。

事業の種類労務費率
水力発電施設、ずい道等新設事業19%
道路新設事業19%
舗装工事業17%
鉄道又は軌道新設事業19%
建築事業(既設建築物設備工事業を除く)23%
既設建築物設備工事業23%
機械装置の組立て又は据付けの事業(組立て又は取付けに関するもの)38%
機械装置の組立て又は据付けの事業(その他のもの)21%
その他の建設事業23%

機械装置の組立てや取付けは38%と最も高く、建築事業やその他の建設事業は23%、舗装工事業は17%と比較的低い水準です。工事の種類によって作業内容や機械化の度合いが異なるため、率にも幅が生まれます。

法人企業統計ベースで見た建設業全体の人件費率は16.7%とやや低めですが、これは元請け企業が資材費や外注費を多く抱える構造によるものです。建設業の労務費率を調べる際は、厚生労働省の労務費率表と、経営分析で使う人件費率を混同しないよう注意してください。

製造業の労務費率

製造業の労務費率は19.3%前後で、建設業とサービス業のちょうど中間に位置します。工場の設備投資が進むほど労務費率は下がる傾向にあり、自動化ラインを持つ企業と手作業中心の企業では数値に開きが出ます。

原価管理の観点では、労務費は材料費や経費と並ぶ主要な原価要素です。労務費率が高い工場は人手に依存した工程が多く、労務費率が低い工場は機械化や外注の活用が進んでいると読み取れます。

製造業で労務費率を分析する際は、業界平均だけでなく自社の製品構成や生産方式もあわせて確認することが欠かせません。同じ製造業でも、組立加工が中心の企業と装置産業では水準が大きく変わるためです。

情報通信業・サービス業の労務費率

情報通信業の労務費率は30.6%前後で、製造業や建設業より高い水準です。ソフトウェア開発や情報サービスは人の知識や技術が価値の源泉となるため、原価に占める人件費の割合が自然と高くなります。

サービス業はさらに幅が広く、宿泊業・飲食サービス業は31.7%、学術研究・専門・技術サービス業は32.9%、その他のサービス業は42.3%に達します。労働集約型のビジネスモデルほど労務費率が高くなる構造が、この数値からも見て取れます。

業種別の水準をまとめると、次のとおりです。

業種労務費率の傾向
情報通信業技術者の人件費比率が高く30%台
宿泊業・飲食サービス業接客や調理の人手が必要で30%台
学術研究・専門・技術サービス業専門人材への依存度が高く30%台
サービス業(その他)労働集約度が最も高く40%台

情報通信業やサービス業で労務費率が高いこと自体は、必ずしも経営上の問題を意味しません。人件費への投資が付加価値の源泉になっている業種だからです。

ただし、同業他社と比較して極端に高い場合は、業務効率化や単価設定の見直しを検討する材料になります。

厚生労働省の労務費率表の見方

厚生労働省の労務費率表は、建設業の事業を種類ごとに分類し、それぞれに番号と労務費率を割り当てた一覧表です。労災保険の申告時には、自社が行う工事がどの区分に該当するかをまず確認する必要があります。

表の分類は工事の内容に沿って細かく設定されており、水力発電施設やずい道の新設、道路新設、舗装工事、鉄道や軌道の新設、建築事業、機械装置の組立てや据付け、既設建築物の設備工事、その他の建設事業に分かれています。年度更新で提出する一括有期事業報告書は、この事業の種類ごとに分けて作成します。

労務費率表を正しく引くには、契約書や見積書に記載された工事内容と、労災保険率適用事業細目表の説明を照らし合わせる作業が欠かせません。区分の判断に迷う場合は、労働基準監督署や社会保険労務士に確認すると安心です。

厚生労働省の労務費率表は数年おきに見直されますが、2026年度は2025年度と同じ率が維持されています。改定の有無は年度ごとに厚生労働省の公式発表で確認し、古い年度の資料をそのまま使わないよう注意してください。

労務費率が高いと生じる問題

労務費率が高い状態は、売上高や請負金額に対して労務費の負担が重いことを意味します。厚生労働省の労務費率表は労災保険料を算定するための率で、令和6年4月の見直しでは一部の事業の種類で引き下げられましたが、現場で実際に支払う労務費の水準は労務単価の上昇とともに上がっています。

自社の労務費率が上がり続けると、利益率の圧迫や見積精度の低下といった経営上の問題を引き起こす要因になります。

労務費率が高くなる主な原因

労務費率が高くなる背景には、複数の要因が重なっています。まず挙げられるのが人手不足です。

建設業では高齢化が進み、若年層の入職が減少しています。技能者の確保が年々難しくなっているのが実情です。

限られた人材を確保するため、賃金水準を引き上げる企業が増えています。公共工事設計労務単価は令和8年3月適用分まで14年連続で引き上げられており(全国全職種の単純平均で前年度比4.5%増)、賃金上昇は業界全体の恒常的な流れになっています。

次に生産性の低さも原因のひとつです。建設業は現場ごとに条件が異なり、標準化が進みにくい業種といえます。

手作業に頼る工程が多く残るほど、同じ工事量をこなすために必要な労務費は膨らみやすくなります。効率化が遅れている現場ほど、労務費率が高止まりしやすいです。

さらに外注依存も見逃せません。協力会社や一人親方への依頼が多い建設業では、外注費と労務費の線引きが曖昧になりがちです。

下請け構造の中で労務費の相場が不透明になり、適正な労務費が現場まで行き渡らないケースも指摘されています。主な原因を整理すると、次のとおりです。

原因内容
人手不足高齢化と若年層の入職減少により技能者確保が困難
賃金上昇人材確保のための処遇改善、公共工事設計労務単価の連続引き上げ
生産性の低さ現場ごとの条件差による標準化の遅れ、手作業への依存
外注依存外注費と労務費の区分の曖昧さ、下請け構造による相場の不透明さ

利益率への影響

労務費率の上昇は、工事の利益率を直接圧迫します。建設資材と労務費の高騰により、2021年比で建設コスト全体が25から29パーセントほど上昇しているという調査結果もあります。

材料費と労務費は工事原価の大半を占めます。これらの上昇分を請負金額に転嫁できなければ、利益はそのまま削られてしまいます。

たとえば2021年時点で材料費と労務費に80から90億円かかっていた100億円規模の工事があるとします。2025年時点では同じ内容の工事でも106から120億円程度まで膨らんでいるとの試算があります。

同じ利益水準を確保するには、当初100億円だった見積もりを130億円程度に見直す必要が出てきます。見積もり時点と実際にかかる労務費率の間にずれが生じると、着工後に採算が悪化しやすくなります。

特に長期にわたる工事や、契約後に労務単価が改定される工事では注意が必要です。このずれが利益率に与える影響は、工期が長いほど大きくなる傾向があります。

見積精度や原価管理への影響

労務費は、見積もりの精度を左右する大きな要素です。

直接労務費と間接労務費を分けずに大まかに計上してしまうと、実際の原価との差が広がりやすくなります。日々の実績を反映しない見積もりは、精度が下がる一方です。

労務費を実態より低く見積もることには、法的なリスクも伴います。建設業法は不当に低い請負代金を禁止しており、労務費を不当に切り下げた見積もりは法令違反につながるおそれがあります。

令和6年の建設業法改正に基づき、中央建設業審議会が令和7年12月2日に作成・勧告した「労務費に関する基準」は、こうした過小見積もりを防ぐための目安として位置づけられています。改正法は、通常必要と認められる額を著しく下回る労務費等での見積りも禁じており(第20条)、同基準は適正な労務費水準を確認する材料として活用できます。

反対に労務費を必要以上に高く見積もると、受注競争で不利になりやすいです。見積精度を高めるには、現場ごとの実績データをもとに労務費率を継続的に見直すことが欠かせません。

外注費との区分を明確にし、原価管理の仕組みを整えることが重要です。労務費率の変動に振り回されない経営体制づくりにつながります。

労務費率を改善する方法

労務費率を改善するには、人・時間・仕組みの3つの側面から無駄を減らす取り組みが欠かせません。現場ごとに人員配置を見直し、作業時間を最適化し、デジタルツールで数値を可視化しながら、改善を繰り返す体制を作ることが求められます。

ここでは効率的な人員配置、作業時間の最適化、デジタルツールや原価管理システムの活用、継続的な改善サイクルの構築という4つの観点から、労務費率を改善する具体的な方法を紹介します。自社の現場に合わせて取り入れやすいものから試してみてください。

効率的な人員配置の実現

労務費率が高い現場の多くは、人員配置に偏りが生じています。特定の技術者に業務が集中する一方で、別の現場では手が余っているというケースが典型例です。

この課題への対策として、施工管理業務を現場業務と遠隔業務に分けて分業する方法があります。中核となる技術者が複数の現場を統括し、日常的な確認作業は遠隔で対応することで、少ない人員でも現場運営を回せるようになります。

実際に労働時間を大幅に削減した企業の事例も報告されており、配置の工夫だけで労務費率に差が出ることがわかります。

技術者の専門性や経験値をデータベース化しておくと、現場ニーズと人材のマッチングもしやすくなります。あわせて地域をまたいだ技術者の相互支援体制を整えれば、繁忙期の人手不足や急な欠員にも柔軟に対応できます。

作業時間の最適化

作業時間の最適化は、労務費率改善の中でも即効性が期待できる取り組みです。各工区の進捗をリアルタイムで把握できる仕組みがあれば、遅れが出ている箇所に人員を素早く再配置でき、手待ち時間や重複作業を防げます。

シフト管理では、人時売上高や人件費率といった指標を参考にすると、勘に頼らない配置調整が可能になります。繁忙期と閑散期で必要人員を柔軟に増減させることも、無駄な人件費を抑えるうえで有効です。

課題最適化のアプローチ
手待ち時間の発生進捗の見える化による早期の人員再配置
繁忙期の残業増加シフト指標に基づく事前の人員計画
移動時間のロス支援体制の整備による移動負担の平準化

こうした取り組みを積み重ねることで、長時間労働の是正と労務費率の改善を同時に進められます。

デジタルツールや原価管理システムの活用

労務費率を継続的に改善するには、数値を正確に把握できる仕組みが土台になります。原価管理システムや施工管理アプリを導入すれば、協力会社の出退勤状況や労務費をリアルタイムで反映でき、これまで見えづらかった情報が可視化されます。

勤怠データと給与計算システムを連携させると、労務費の自動計算も可能になります。スマートフォンから現場でデータを入力できるツールを選べば、事務所に戻ってから集計する手間も省けます。

原価管理システムを使う場合、労務費や材料費を入力するだけでトータルコストが自動的に算出され、予算との差異もすぐに確認できます。差異が早い段階でわかれば、収益性を意識した発注や工程の調整がしやすくなり、無駄なコストの発生を防げます。

導入前の課題システム導入後の変化
労務費の集計に時間がかかる勤怠データから自動で労務費を算出
予算との差異に気づくのが遅いリアルタイムで予実の差異を確認
現場と事務所で情報が分断一元管理により情報を即時共有

2026年時点では、クラウド型の原価管理システムが主流になりつつあり、複数現場のデータを一つの画面で比較できる製品も増えています。自社の現場規模や協力会社数に合わせて、必要な機能を備えたツールを選ぶことが大切です。

継続的な改善サイクルの構築

労務費率の改善は一度の取り組みで終わるものではなく、計画、実行、評価、改善を繰り返すサイクルとして運用する必要があります。このサイクルはPDCAと呼ばれ、現場の課題を継続的に洗い出しながら改善策を積み重ねていく考え方です。

PDCAを現場で機能させるには、まず労務費率などの数値目標を計画段階で設定します。次に施策を実行し、原価管理システムで得られたデータをもとに結果を評価します。

目標との差異があれば原因を分析し、次のサイクルに反映させます。

改善を継続させるためのポイントは、次のとおりです。

  • 現場ごとの労務費率を定期的に数値で確認する
  • 改善策の効果を次の工事に反映させる
  • うまくいった取り組みを他の現場にも横展開する
  • 現場からのフィードバックを改善策の見直しに活用する

一つの現場で得られた改善のノウハウを標準化し、他の現場にも展開していけば、会社全体で労務費率を底上げできます。継続的な改善サイクルを組織の仕組みとして定着させることが、長期的な労務費率の改善につながります。

まとめ:労務費率は正しい計算と業種目安との比較で改善できる

労務費率は、売上高や請負金額に占める労務費の割合を示す指標です。建設業では厚生労働省が公表する労務費率表をもとに労災保険料を算定するため、まず自社が行う工事の事業の種類と労務費率表を正しく照らし合わせることが出発点になります。あわせて業種別の目安と自社の数値を比べれば、労務費率が高いのか低いのか、客観的な視点で判断できます。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 労務費率は労務費を売上高または請負金額で割って求め、建設業では労災保険料の算定にも使われる
  • 建設業の労務費率は工事の種類ごとに定められており、製造業やサービス業とは水準の見方が異なる
  • 労務費率が高いまま放置すると利益率の圧迫や見積精度の低下につながるため、人員配置や原価管理の見直しによる改善が必要

労務費率を正しく理解し、業種別の目安と自社の数値を比較できれば、見積もりの精度が上がります。利益を圧迫する要因にも早い段階で気づけるようになります。

人員配置や作業時間の見直し、原価管理システムの活用を組み合わせれば、労務費率を無理なく改善していけるはずです。

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労務費率に関するよくある質問

参考文献

  1. 厚生労働省「令和8年度の労災保険率について(令和7年度から変更ありません)」
  2. 厚生労働省「令和8年度の労災保険率等について」(労災保険率・労務費率の表)
  3. 厚生労働省「令和8年度事業主の皆様へ(一括有期事業用)労働保険年度更新申告書の書き方」
  4. 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」
  5. 国土交通省「労務費に関する基準」
  6. 国土交通省「建設業法等の一部を改正する法律 新旧対照条文」
  7. 中小企業庁「中小企業白書 第6節 労働生産性と分配」

執筆者

Construction DX 編集部
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