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工事請負契約書の印紙税額一覧【2026年版】変更契約・注文請書・電子契約まで

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この記事のポイント

工事請負契約書の印紙税は契約金額により200円から60万円で、100万円超は軽減措置により本則の半額程度になる。1万円未満の契約や電子契約は印紙不要、貼り忘れは過怠税として本税の3倍(自主申告時は1.1倍)が課される。

工事請負契約書の印紙は必要か・金額別税額一覧【2026年版】

「工事請負契約書に印紙は必要なのか、契約金額に応じていくら分貼ればいいのか分からず不安です。できれば印紙税の負担や貼る手間も減らしたいと感じています」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 工事請負契約書の印紙税額一覧
  • 印紙税の軽減措置と適用条件
  • 印紙が不要になるケースと削減方法

工事請負契約書の印紙税額は、契約金額によって決まり、軽減措置の適用有無でも変わります。

電子契約の活用など印紙税を削減する方法も紹介するため、読み進めることで無駄なコストや事務作業を減らせます。

工事請負契約書に印紙は必要か(要否の原則)

工事請負契約書には、原則として収入印紙が必要です。工事請負契約書が印紙税法上の課税文書に分類されているためで、紙で契約書を作成し当事者間で取り交わす限り印紙税の負担は避けられません。

ただし契約金額や契約書の形式によって、必要な印紙税額や印紙そのものの要否は変わってきます。この記事では印紙税とは何か、なぜ工事請負契約書が課税対象になるのか、紙とPDFや電子契約で扱いがどう違うのかを順に解説します。

印紙税とは

印紙税は、印紙税法で定められた特定の文書を作成した際に課される国税です。契約書や領収書など経済取引に伴って作成される文書には経済的な価値や証拠力が認められるため、作成者に一定の税負担が求められています。

印紙税額は文書の種類と契約金額によって細かく分類されていて、工事請負契約書は請負に関する契約書として印紙税法別表第一に規定されています。工事請負契約書 印紙という観点で最初に押さえるべきなのは、この分類のルールです。

課税文書に該当するかどうかは、文書のタイトルや形式的な表現ではなく記載されている内容の実質で判断されます。国税庁の指針でも、文言の実質的な意味を汲み取って課税文書かどうかを判断するとされていて、契約書という名称がついていなくても内容が請負契約に該当すれば課税対象になります。

工事請負契約書が課税文書になる理由

工事請負契約書が課税文書になるのは、印紙税法別表第一の第2号文書、いわゆる請負に関する契約書に該当するためです。建設工事の完成を約束し、その対価として工事代金を支払う旨を定めた契約書は、この請負契約書に分類されます。

注文書と注文請書のやり取りで契約が成立する場合の注文請書も、同様に課税文書として扱われる点に注意が必要です。

契約金額が100万円を超える建設工事請負契約書には、租税特別措置法に基づく軽減措置が適用されます。軽減措置の対象期間は平成26年4月1日から令和9年3月31日までとされていて、2026年に契約書を作成する場合もこの軽減税率がそのまま適用されます。

一方で契約金額が100万円以下の場合や契約金額の記載がない場合は軽減措置の対象外となり、印紙税額は一律200円です。

工事請負契約書 印紙 100万 以下のケースを整理すると、次のようになります。

  • 契約金額が100万円以下、または記載なし、印紙税額200円
  • 契約金額が100万円超200万円以下、軽減後の印紙税額200円
  • 契約金額が200万円超300万円以下、軽減後の印紙税額500円
  • 契約金額が300万円超500万円以下、軽減後の印紙税額1000円

なお当初契約の変更契約書や工事内容の追加に伴う補充契約書についても、記載金額が増額される場合は同様に課税文書として印紙税額 一覧の対象になります。減額のみの変更契約書は、変更前の契約書を特定できる記載があれば記載金額のないものとして扱われ、税額は200円となる点も覚えておくとよいでしょう。

契約書の形式による違い(紙・PDF・電子)

契約書の形式によって印紙税の扱いは大きく変わります。紙で契約書を作成し当事者双方が押印や署名をして取り交わす場合、その紙の文書自体が課税文書となるため収入印紙の貼付が必要です。

これに対してPDFデータをメールで送付する方法や、電子契約サービスを使って契約を締結する方法では、紙の文書を作成しないため印紙税は課税されません。

この違いは印紙税法における課税文書の作成の定義に基づいています。印紙税法基本通達では、課税文書となるべき用紙などに課税事項を記載し、これをその文書の目的に従って行使することを作成と定めていて、電子データのやり取りはこの作成に該当しないとされています。

国税庁も質疑応答事例で、電磁的記録は印紙税の課税対象となる文書に含まれないと回答しています。

紙と電子契約の違いを表にまとめると、次のとおりです。

契約書の形式課税文書への該当性印紙税の要否
紙で作成し押印や署名で締結該当する必要
PDFをメールで送付して締結該当しない不要
電子契約サービスで締結該当しない不要

工事請負契約書 印紙 不要にしたい場合は、契約自体を電子契約に切り替えることが最も確実な方法といえます。ただし発注者側の社内規程や取引慣行によっては紙の契約書を求められる場合もあるため、電子契約への切り替えは事前に契約相手と合意しておくことが大切です。

工事請負契約書の印紙税額一覧(金額別)

工事請負契約書の印紙税は、契約金額の区分ごとに税額が定められています。区分と税額を正確に把握しておけば、印紙の貼り忘れや過大な負担を防げます。

ここでは契約金額別の税額表、税込みと税抜きどちらで判定するかの基準、注文請書や変更契約書の扱いを順に説明します。

契約金額別の印紙税額表

工事請負契約書は印紙税法上の第2号文書にあたり、契約金額に応じて税額が決まります。建設工事の請負契約書は軽減措置の対象になるため、実際に貼る印紙は本則税率より低い金額になるケースがほとんどです。

軽減措置は契約金額が100万円を超えるものに適用され、2026年時点でも継続しています。契約金額別の本則税額と軽減後税額は次の表のとおりです。

契約金額本則税額軽減後税額
1万円未満非課税非課税
1万円以上100万円以下200円軽減措置対象外(200円)
100万円超200万円以下400円200円
200万円超300万円以下1000円500円
300万円超500万円以下2000円1000円
500万円超1000万円以下1万円5000円
1000万円超5000万円以下2万円1万円
5000万円超1億円以下6万円3万円
1億円超5億円以下10万円6万円
5億円超10億円以下20万円16万円
10億円超50億円以下40万円32万円
50億円超60万円48万円

契約金額が100万円以下の工事請負契約書は軽減措置の対象外となり、本則どおり200円の印紙税がかかります。一方で契約金額が1万円未満の場合は非課税です。

この軽減措置は、平成26年4月1日から令和9年3月31日、つまり2027年3月31日までに作成された契約書が対象です。2026年中に作成する工事請負契約書についても、軽減後の税率がそのまま適用されます。

上の表の本則税額は国税庁の「No.7102 請負に関する契約書」、軽減後税額は「No.7108 建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」によります(2026年9月30日に確認)。

印紙税額の判定は税込みか税抜きか

印紙税額の判定は、契約書に消費税額を区分して記載しているかどうかで扱いが変わります。契約金額の記載方法次第で印紙税の区分が変わり、負担額に差が出るため注意が必要です。

契約書に本体価格と消費税額を分けて記載し、かつ消費税額が明らかにわかる場合、印紙税額の判定は税抜き価格で行います。たとえば契約金額が330万円(うち消費税30万円)と明記されていれば、判定対象は税抜きの300万円です。

一方、契約書に「330万円(消費税込み)」のように税込み総額のみを記載し、消費税額が区分されていない場合は、記載された税込み金額で判定します。この違いにより税額の区分が一段階変わることもあるため、契約書作成時には次の点を確認してください。

  • 本体価格と消費税額を分けて記載しているか
  • 消費税額が具体的な金額で明記されているか
  • 「消費税等相当額を含む」など曖昧な表現になっていないか

消費税額を区分記載するだけで印紙税額の区分が下がる場合もあるため、契約書のひな形を見直す価値があります。

注文請書・注文書の印紙税

建設工事では、契約書を取り交わさずに注文書と注文請書のやり取りで契約を成立させることがあります。この場合、印紙が必要かどうかは文書ごとに判断します。

注文請書は第2号文書として課税される

注文請書は、発注者からの注文を受注者が承諾したことを示す文書です。国税庁は、請負者だけが署名押印する工事注文請書も印紙税法上の契約書にあたり、第2号文書(請負に関する契約書)に該当するとしています。

注文書や請書の建設業向けテンプレートなどを使って書面で交付する場合は、作成者である受注者が、記載された契約金額に応じた印紙を貼ります。一般住宅や店舗などの解体工事の契約書を注文請書で代える場合も扱いは同じで、建設工事の請負で契約金額が100万円を超えれば軽減後の税額が適用されます。

注文書は原則不要だが課税される例外がある

注文書は契約の申込みを示す文書のため、原則として契約書にはあたらず印紙は不要です。ただし印紙税法基本通達第21条は、次のような注文書を契約書として扱うとしています。

注文書の内容印紙の要否
基本契約書や約款に基づく申込みで、注文書を出すだけで自動的に契約が成立すると書かれている必要(別に請書を作ると書かれていれば不要)
受注者が作った見積書などに基づく申込みであることが書かれている必要(別に請書を作ると書かれていれば不要)
発注者と受注者の双方が署名・押印している必要(請書を作ると書かれていても必要)

一方、基本契約に「注文書を交付し、受注者が承諾することで個別契約が成立する」と定めている場合、その注文書は申込みの文書で契約書にはあたらないというのが国税庁の見解です。下請業者へ注文書を出す際は、基本契約書の条項と注文書の記載をあわせて確認しておきます。

変更契約書の印紙税(増額・減額・内訳変更)

工期の延長や追加工事で契約内容を変える変更契約書も、原則として印紙が必要です。印紙税額の基準になる記載金額は、変更前の契約書を特定できる記載があるかどうかで変わります。印紙税法基本通達第30条・第31条の考え方を整理すると次のとおりです。

変更の内容変更前の契約書を特定できる記載がある場合特定できる記載がない場合
契約金額を増額する増加した金額が記載金額変更後の金額が記載金額(変更金額だけを書いたものは変更金額)
契約金額を減額する記載金額のないものとして200円変更後の金額が記載金額(変更金額だけを書いたものは変更金額)
総額を変えず内訳だけ変更する記載金額のないものとして200円記載金額のないものとして200円

特定できる記載とは、変更前の契約書の名称・文書番号・契約年月日など、どの契約書を変更するのかが分かる記載のことです。増額の変更契約書にこれを書いておけば増加額だけが記載金額になるため、変更後の総額で判定するより税額を抑えられる場合があります。

契約金額を増額する変更契約書や補充契約書も建設工事の請負契約書にあたるため、記載金額が100万円を超えれば軽減後の税額が適用されます。金額以外でも、支払方法など請負契約の重要な事項を変更する覚書は第2号文書として課税される点に注意が必要です。

工事請負契約書の印紙税の軽減措置

工事請負契約書には、租税特別措置法に基づく印紙税の軽減措置があります。記載された契約金額が一定額を超える建設工事の請負契約書について、本来の税率より低い税率を適用する制度です。

対象条件、税率、対象外となるケース、適用期限を順に見ていきます。制度を正しく理解すれば、契約金額に応じた印紙税額を誤りなく判定できます。

軽減措置の対象となる条件

軽減措置の対象は、建設工事の請負に係る契約に基づいて作成される契約書のうち、記載された契約金額が100万円を超えるものです。建設工事以外の請負事項が併記されていても、建設工事請負契約書に該当すれば契約書全体が対象になります。

対象文書には次のようなものがあります。

  • 建設工事の請負契約の締結当初に作成する契約書
  • 工事金額の変更に伴い作成する変更契約書
  • 工事請負内容の追加に伴い作成する補充契約書

当初契約だけでなく、契約金額を増額する変更契約書や補充契約書も軽減措置の対象に含まれます。

軽減後の税率

軽減後の印紙税額は、契約金額の区分ごとに定められています。本則税率と軽減後の税率を比較すると次のとおりです。

契約金額本則税率軽減後の税率
100万円超200万円以下400円200円
200万円超300万円以下1,000円500円
300万円超500万円以下2,000円1,000円
500万円超1,000万円以下10,000円5,000円
1,000万円超5,000万円以下20,000円10,000円
5,000万円超1億円以下60,000円30,000円
1億円超5億円以下100,000円60,000円

契約金額が上がるほど税額は段階的に増えますが、どの区分でも軽減後の税額は本則税率のおおむね半額です。契約書を作成する際は、契約金額がどの区分に該当するか確認してから収入印紙を用意します。

軽減措置の対象外となるケース(100万円以下など)

契約金額が100万円以下の建設工事請負契約書は、軽減措置の対象になりません。この場合の印紙税額は本則どおり200円です。

契約金額の記載がない契約書も軽減措置の対象外となり、200円の印紙税がかかります。

契約金額が1万円未満の契約書は、軽減措置とは別の扱いとして非課税です。契約金額の区分は次の3パターンに整理できます。

  1. 契約金額が1万円未満の場合は非課税
  2. 契約金額が1万円以上100万円以下の場合は軽減措置の対象外で200円
  3. 契約金額が100万円を超える場合は軽減措置の対象で契約金額に応じた軽減税額

契約金額が100万円前後では軽減措置の有無による税額差は小さいものの、200万円を超えるあたりから差が広がっていきます。

軽減措置の適用期限と2026年以降の見通し

建設工事請負契約書の印紙税の軽減措置は、平成26年4月1日から令和9年3月31日、つまり2027年3月31日までに作成される契約書が対象です。2026年の時点では、軽減措置は引き続き適用されている期間内にあります。

軽減措置はこれまでも複数回延長されており、令和6年度税制改正でも令和9年3月31日までの延長が決まりました。令和9年3月31日以降にさらに延長されるかどうかは、2026年時点では未確定です。

今後の税制改正によって、期限が延長される可能性と、期限どおり終了して本則税率に戻る可能性の両方が考えられます。

軽減措置の延長状況は、国税庁の発表や税制改正大綱で確認できます。契約書の作成時期が期限に近い場合、作成時点で適用される税率を国税庁の最新情報で確認しておくと安心です。

工事請負契約書に印紙が不要なケース

工事請負契約書には原則として収入印紙が必要ですが、条件によっては印紙が不要になるケースがあります。契約金額が少額な場合、税務署長の承認を受けた場合、無償で請け負う場合に加え、電子契約で締結する場合です。

ここでは紙の契約書で印紙が不要または別の納め方になる3つのケースを根拠とあわせて整理し、電子契約は次の見出しで取り上げます。

契約金額が1万円未満の場合

工事請負契約書は印紙税法別表第一の第2号文書に分類され、契約金額が1万円未満であれば非課税となります。小規模な補修工事や簡易な作業依頼など、契約金額が少額に収まる案件では印紙税そのものが発生しません。

ただし非課税になるのは、契約書に1万円未満の金額が明記されている場合に限られる点に注意が必要です。契約金額の記載がない契約書は記載金額のない文書として扱われ、200円の印紙税が課されます。

  • 契約金額を1万円未満と明記した契約書、非課税
  • 契約金額の記載がない契約書、印紙税額200円

工事請負契約書 印紙 100万 以下という検索も多く見られますが、100万円以下の契約は非課税ではなく軽減措置の対象外として200円の印紙税がかかる点で1万円未満のケースとは扱いが異なります。

税務署長の承認を受けた場合

課税文書を毎月継続して作成する事業者や、特定の日にまとめて多量の契約書を作成する事業者は、所轄税務署長の承認を受けることで印紙を貼らずに印紙税を納めることができます。これは書式表示による申告納付の特例と呼ばれる制度です。

承認を受けた場合、契約書には一定の書式表示を行い、印紙を貼付する代わりに金銭で納付します。具体的には毎月作成した課税文書の課税標準数量と納付すべき税額を記載した印紙税納税申告書を、翌月末日までに税務署長へ提出し、同じ期限までに税額を納付する流れになります。

この制度は個々の契約書に印紙が貼られていない状態を生むため、工事請負契約書 印紙 控えの保管方法や社内での確認手順をあらかじめ整えておくことが実務上のポイントになります。

無償の請負契約の場合

報酬の支払いを伴わない無償の契約書は、請負に関する契約書(第2号文書)には当たりません。国税庁は請負を「当事者の一方がある仕事の完成を約し、相手方がこれに報酬を支払うことを約束することによって成立する契約」と説明しており(No.7102)、報酬の定めがない契約はこの定義に当てはまらないためです。ただし、文書の内容によっては別の課税文書に当たる場合があるので、判断に迷うときは税務署に確認してください。

例えば親会社が子会社の施設補修を無償で引き受けるようなケースです。この場合は、契約書に無償で施工する旨を明記しておきます。報酬を支払う請負契約なのに金額を書いていない契約書は、「契約金額の記載のないもの」として200円の印紙税がかかります。

工事請負契約書 印紙 どちらが 負担するかという疑問もよく聞かれますが、印紙税法上は契約当事者が連帯して納税義務を負うと定められています。実務では発注者と受注者が話し合い、印紙代を折半したり、契約書を1通のみ作成して片方が全額負担したりする運用が一般的です。

工事請負契約書 印紙 税込みの契約金額で判断する場合も、記載された金額そのもので課税区分が決まるため、消費税を含めた総額での確認が欠かせません。

電子契約なら工事請負契約書の印紙は不要

契約金額にかかわらず、電子契約サービスを使って締結した工事請負契約書には収入印紙が不要です。印紙税法は紙の文書を課税対象としていて、電子データのやり取りはこの課税文書の作成に該当しないためです。

国税庁は質疑応答事例で、建設工事の受注時に注文請書の代わりに電子署名付きのデータをメールで送った事例について、電磁的記録は課税対象となる文書に含まれないため印紙税は課されないと回答しています。印紙税法上の作成とは、課税文書となるべき用紙に課税事項を記載し、その文書の目的に従って行使することを指しており、電子ファイルの送信や交付はこれにあたりません。

紙の契約書と電子契約の違いを整理すると、次のとおりです。

契約書の形式課税文書への該当性印紙の要否
紙で作成し押印や署名で締結該当する必要
電子契約サービスで締結該当しない不要

注意したいのは、電子契約で締結した契約データを印刷しただけでは複製にすぎず、そのままでは課税文書にならない一方、印刷物に双方の署名や押印、原本証明を加えると課税文書とみなされる可能性がある点です。工事請負契約書 印紙税 抜きで進めたい場合は、印刷後の運用ルールまで社内で統一しておくと安心です。

工事請負契約書の印紙代は誰が負担するか

工事請負契約書に貼る収入印紙の代金は、発注者と受注者のどちらが負担するのか迷う人が少なくありません。結論を先に言うと、印紙税法上は契約当事者双方が連帯して納税義務を負います。

実務では契約書を1通作成するか2部作成するかで、負担の形が変わります。ここでは原則の考え方、2部作成する場合の扱い、負担を取引先に依頼する方法の順に整理します。

原則は契約当事者双方の負担

印紙税法第3条第2項では、2人以上の者が共同して一つの課税文書を作成した場合、その全員が印紙税について連帯して納税義務を負うと定められています。工事請負契約書は発注者と受注者が共同で作成する文書にあたるため、この規定がそのまま当てはまります。

連帯納税義務には次の特徴があります。

  • 印紙税の全額について、共同作成者それぞれに納税義務が成立する
  • そのうち1人が納税すれば、他の作成者の納税義務は消滅する
  • 誰がどの割合で負担するかは、印紙税法そのものには定めがない

法律上は、どちらか一方が印紙代を全額負担しても、双方で折半しても構いません。負担割合は当事者間の合意で自由に決められるため、契約金額や取引の力関係を踏まえて発注者と受注者が話し合って決めるのが基本です。

契約書を2部作成する場合の負担

工事請負契約書 印紙 どちらが 負担するかという疑問は、契約書を2部作成し双方が原本を保有するケースで特に多く聞かれます。契約書を2通作成して各自が1通ずつ保管する場合、課税文書に該当する契約書であれば原則として2通とも収入印紙の貼付が必要です。

実務で広く行われているのが、各当事者が自分の保管する1通分の印紙代をそれぞれ負担する方法です。発注者が保管する契約書には発注者が印紙を貼り、受注者が保管する契約書には受注者が印紙を貼ることで、結果として印紙代を折半したのと同じ形になります。

契約書の作成通数と印紙の要否を整理すると、次のとおりです。

契約書の作成方法印紙の要否負担の実務例
原本を2通作成し双方が保管双方の契約書に必要各自が自分の保管分を負担
原本を1通作成し一方が保管、他方はコピーを保管原本のみ必要保管する側が全額負担、または特約で調整

契約書の原本が1通で、もう一方が単なる写しやコピーを保管する場合、そのコピーには収入印紙が不要です。工事請負契約書 収入印紙 金額 一覧を確認する際は、作成する契約書が原本なのか写しなのかによって必要な通数が変わる点も押さえておきましょう。

印紙代の負担を取引先に依頼する方法

印紙代の負担割合は当事者間の合意で決められます。相手方に負担を依頼したい場合は、契約書上に特約として明記しておく方法が実務ではよく使われます。

工事請負契約書 印紙 控えとあわせて負担の取り決めも書面に残しておけば、後日の認識違いを防げます。特約を設ける際に押さえておきたいポイントは次のとおりです。

  1. 負担者と負担割合を契約書の条項として具体的に記載する
  2. 口頭のみの合意にせず、書面またはそれに準じる形で残す
  3. 契約締結前に相手方の了承を得ておく

注意したいのが、立場の弱い当事者にのみ印紙代の全額負担を求める特約です。発注者が優越的な地位を利用して受注者に一方的な負担を強いる特約は、独占禁止法が禁じる優越的地位の濫用にあたるおそれがあります。なお、建設工事の請負契約には取適法(旧下請法)ではなく、建設業法が適用されます。

特に建設業では下請事業者への不当なコスト転嫁が問題視されやすい傾向にあります。負担を依頼する場合でも、折半など双方が納得できる条件を提示することが望まれます。

印紙代の負担そのものをなくしたい場合、電子契約サービスを利用して工事請負契約書を締結する方法も選択肢になります。電子データでやり取りする契約は印紙税法上の課税文書の作成にあたらないため収入印紙が不要になり、負担割合をめぐる調整自体が要らなくなります。

工事請負契約書に印紙を貼り忘れた場合のリスクと対処法

工事請負契約書は印紙税法上の課税文書にあたり、記載金額に応じた収入印紙の貼付と消印が義務づけられています。押印や製本作業に気を取られ、印紙の貼付をうっかり失念してしまう担当者は少なくありません。

ここでは貼り忘れが発覚したときに課される過怠税の仕組み、契約自体への影響、貼り間違えた場合の還付手続きを順に解説します。

過怠税が課される

工事請負契約書に必要な印紙を貼らなかった場合、税務調査などで発覚すると過怠税が徴収されます。過怠税の金額は本来納付すべき印紙税額とその2倍に相当する額を合わせた、当初納付額の3倍が原則です。

たとえば本来1万円の印紙が必要な契約書であれば、合計3万円の過怠税を納める計算になります。

一方、税務調査を受ける前に不備を自主的に申し出た場合は、この負担が軽くなります。所轄税務署長へ印紙税不納付事実申出書を提出し、その申出が税務調査を予知したものでないと認められれば、過怠税は納付すべき印紙税額の1.1倍まで軽減されます。

自主的な申告なら本税に10パーセントを上乗せした金額で済むため、両者の差は次のとおり大きく開きます。

対応のタイミング過怠税の倍率
税務調査で発覚した場合印紙税額の3倍
調査前に自主的に申し出た場合印紙税額の1.1倍

貼り忘れに気づいたら放置せず、早めに税務署へ相談し申出書を提出することが得策です。なお過怠税は法人税や所得税の計算上、損金や必要経費に算入できない点も覚えておく必要があります。

貼り忘れても契約自体は無効にならない

収入印紙の貼り忘れに気づくと、契約そのものが無効になってしまうのではと不安になる担当者も多いようです。しかし印紙税は契約書という文書に課される税金であり、契約の成立要件とは別の話です。

民法第522条第2項は、契約の成立に書面の作成その他の方式を要しないと定めています。工事請負契約は当事者間の合意によって成立するものであり、印紙の有無が契約の効力を左右することはありません。

契約の効力と印紙税の納付義務は、次のように性質の異なるものとして切り分けて考えると整理しやすくなります。

  • 契約の効力は当事者間の合意によって生じ、印紙の有無には左右されない
  • 印紙税の納付義務は課税文書を作成した事実に基づいて生じる、契約の効力とは別の税務上の義務

したがって印紙を貼り忘れた工事請負契約書であっても、工事代金の請求や契約解除といった契約上の権利義務に影響は及びません。契約書がないまま工事代金が未払いになった場合と比べれば、印紙を貼り忘れていても、契約書があること自体が合意内容の証拠として役立ちます。ただし過怠税という金銭的な負担は別に発生するため、気づいた時点ですみやかに対応する姿勢が求められます。

貼り間違えた場合は還付を受けられる

貼り忘れとは逆に、必要な金額を超える印紙を貼ってしまった場合や、印紙を貼る必要のない文書に誤って貼ってしまった場合には、還付を受けられる制度が用意されています。これを印紙税の過誤納還付といいます。

還付を受けるには、印紙税過誤納確認申請兼充当請求書に該当する文書を添えて、納税地を所轄する税務署長へ提出します。提出後は税務署による審査を経て、過誤納となっている印紙税額の還付か、他の納付税額への充当のいずれかが行われます。

申請書は書面での提出のほか、e-Taxソフトを使ったオンライン提出も選べます。

還付を申請できる期間は、過誤納となった文書を作成した日などから5年以内です。この期限を過ぎると還付を受けられなくなるため注意してください。

なお次に挙げるケースは還付の対象外となります。

  1. 貼り付けた印紙を切り取ったり用紙からはがしたりしたもの
  2. 契約成立後に契約が解除または取消しされた場合の契約書
  3. すでに相手方へ交付した領収書や手形

工事請負契約書で貼り間違いに気づいた場合は、印紙を貼付した状態のまま文書を保管し、早めに所轄税務署へ相談したうえで申請手続きを進めるとよいでしょう。

工事請負契約書の印紙税を削減する方法

工事請負契約書の印紙税は、知識があれば合法的に減らせます。方法は主に3つで、電子契約サービスの導入、契約書の一本化、消費税額の区分記載です。

それぞれの仕組みと注意点を見ていきます。

電子契約サービスを導入する

工事請負契約書の印紙税を削減する方法のうち、効果が大きいのが電子契約サービスの導入です。印紙税は課税文書を作成した場合にかかる税金で、電子データは課税物件表に掲げる文書に含まれません。

国税庁は、請負契約の注文請書を電磁的記録に変換してメール送信した場合、紙の現物が交付されない以上は課税文書の作成にあたらず、印紙税の課税原因は発生しないという見解を示しています。工事請負契約書も締結から完了まで電子契約サービス上で完結させれば、この考え方があてはまり印紙が不要になります。

工事金額が大きい建設業では1件あたりの印紙税額も高額になりやすく、電子契約への切り替えによる削減効果は他業種より大きく出やすい傾向にあります。印紙の貼付や消印の作業がなくなり、事務負担の軽減にもつながります。

  • 印紙の貼付や消印の作業が不要になる
  • 契約書の郵送や持参のやり取りがなくなる
  • クラウド上で契約書を一元管理でき検索や保管がしやすくなる

注意したいのは、紙で作成した契約書をスキャンしてPDF化しただけでは納税義務が消えない点です。印紙が不要になるのは契約の締結段階から電子データとして完結させ、紙での作成や交付を一切行っていない場合に限られます。

電子契約サービスを選ぶ際は、この要件を満たす運用フローかどうかを事前に確認しておくとよいでしょう。

契約書を分割せず一本化する

工事に関連する契約は内容ごとに契約書を分けたくなりますが、印紙税の観点では一本化のほうが有利になることがあります。建設工事請負契約書には契約金額が100万円を超える場合に印紙税額を軽減する措置があり、2014年4月1日から2027年3月31日までに作成される契約書が対象です。

この軽減措置の要点は、建設工事の請負に関する事項が記載されていれば、建設工事以外の請負事項が併記されていても契約書全体が対象になることです。建物の建設工事と設計業務を同一の契約書にまとめて記載した場合、契約金額は工事分と設計分を合算した金額として扱われ、その合算額に応じた税率が適用されます。

契約を分割して個別に契約書を作成すると、それぞれに印紙が必要になり、合計の印紙税額が一本化した場合より高くなることがあります。次のようなケースでは、一本化による削減効果を確認する価値があります。

  • 本体工事と付帯工事を別契約にしている
  • 工事請負契約と関連する設計や監理業務を分けて契約している
  • 追加工事や変更工事のたびに新規の契約書を作成している

当初の契約書に加えて作成する変更契約書や補充契約書も、工事内容や金額の変更を定めるものであれば建設工事請負契約書として扱われ、軽減措置の対象です。契約書を新規に作り直すか、変更契約書として一本の契約関係の中で処理するかによっても印紙税の総額は変わるため、案件ごとに契約書の作成枚数を棚卸ししておくとよいでしょう。

消費税額を区分して記載する

契約書に記載する金額の書き方を工夫するだけでも、印紙税額を抑えられる場合があります。印紙税額は契約書に記載された契約金額をもとに決まり、消費税額が明確に区分されている場合は、消費税額を含めない金額が記載金額として扱われます。

この取り扱いは第1号文書、第2号文書、第17号文書に共通するルールです。工事請負契約書は第2号文書にあたるため、区分記載の効果がそのまま反映されます。

記載方法によって印紙税額の扱いは次のように変わります。

記載方法印紙税の記載金額の扱い
契約金額1100万円のうち消費税額100万円と明記消費税額を除いた1000万円が記載金額
契約金額1100万円、税抜価格1000万円と併記消費税額を除いた1000万円が記載金額
消費税10%を含むと記載するのみで税額を明記しない消費税額を含めた1100万円が記載金額

契約金額が印紙税の税率区分の境目に近い場合、消費税額の区分記載の有無で税率区分が1段階変わり、印紙税額に差が出ることがあります。契約書のひな形を作成する際は、消費税額を本体価格と分けて明記する書式にしておくと余分な負担を避けられます。

既存のひな形を使っている会社は、消費税の記載方法が区分記載になっているかを点検しておくことをおすすめします。

まとめ:工事請負契約書の印紙は契約金額に応じて正しく貼れば安心

工事請負契約書の印紙は、契約金額によって税額が変わり、軽減措置や不要になるケースもあります。本記事では印紙税額の一覧から軽減措置、印紙が不要なケース、負担者の考え方、貼り忘れたときのリスクと対処法、そして削減方法まで整理しました。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 契約金額ごとの印紙税額と軽減措置の適用条件を確認し、正しい金額を貼ることが基本です
  • 1万円未満の契約や電子契約、無償契約など、印紙が不要になるケースを把握しておくと余計な負担を避けられます
  • 印紙代は連帯納税義務があるため、発注者と受注者で事前に負担割合を決めておくとトラブルを防げます

工事請負契約書 印紙 不要のケースや軽減措置、負担のルールを理解しておけば、契約のたびに印紙税額で迷うことがなくなります。貼り忘れによる過怠税のリスクも避けられ、電子契約の活用など印紙税を削減する方法も選べるようになります。

契約金額から印紙税額を確認できる早見表(Excel・PDF)は、以下から無料でダウンロードできます。新着記事はメルマガでお知らせしています。

工事請負契約書 印紙に関するよくある質問

参考文献

  1. 国税庁「No.7102 請負に関する契約書」
  2. 国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
  3. 国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
  4. 国税庁 質疑応答事例「工事注文請書」
  5. 国税庁 質疑応答事例「工事注文書等」
  6. 国税庁「印紙税法基本通達 第30条・第31条」
  7. 国税庁 質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」
  8. 国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン(第12版)」

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